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共犯マジック / 北森鴻

2005-12-06 23:43:42 | 読書
北森鴻さんの『共犯マジック』です。
失礼ながら著者の人は全然知りませんでした。
タイトルに惹かれ買ってみた本です。
まずはいつもの内容紹介から。

「フォーチュンブック」
これは著者も由来もよくわからない謎めいた占いの本である。
ただし普通の占いの本とは違う。
この本はありとあらゆる幸福を否定し、不幸と災いのみを予言する本なのだ。
しかもその的中率がものすごく高いのである。
この本で未来を占い、避けられぬ不幸を知り多くの人が自殺をした。
その為、この本は販売自粛に追いやられ書店から姿を消した。
しかし!
この本をまだ売っている本屋があった。
何人かの男女がこの本屋でフォーチュンブックを買っていった。
この店でフォーチュンブックを買っていった彼らは
自分たちの未来で起こる不幸の縁が奇妙に繋がってしまったことを
この時、まだ知らない。


この小説、第二話まで読み終えた時点では
各話が全く関係なく、しかも
あやふやで中途半端な終わり方だったので
何なんだこの本は
とかと思ってしまい、不満でした。
ところがこの不満はこの先、第三話以降を読んで一気に消えました。
一見ばらばらに見える各話の話が
実は繋がりがあるんです。
話を読み進めていくと少しずつ各話が繋がっていくんです。
読んでいくうちに段々と、そしてもの凄く面白く思えてきました。
これが解説にも書いてあった「連作」というものなのか。
読書暦が浅い(字だけの本のね)
僕にとっては今まで読んだことのない初めて感覚で新鮮でした。
北森鴻さん、今まで全然知らなかったけど
この『共犯マジック』を読んでとっても好きになりました。
この人の別の本も読んでみたいなぁ~

話を『共犯マジック』の感想に戻します。
上に書いたように一見ばらばらな話が少しずつ繋がっていくこの小説の展開は
とっても面白いです。
あれ、この人って確か…。
この人が実はあの…!
そういうことだったのか!
てなことが読んでいくうちにどんどん発生します。
前半に溜まったもやもやが消えていくこの小説の展開、ホントに面白かったです。
でも、『共犯マジック』の魅力はそれだけじゃありません。
この小説では誰もが知ってるような昭和の大事件がストーリーに関わってきます。
昭和に実際に起きたあの事件とあの事件とあの事件です。
みなさん、きっと知ってます。
(3つの事件の内、一つは知らんかったけど)
小説中のまさかの展開(真相)に驚きます。
まぁ一番驚いたのはサクラダ(=蜷川哲治だったこと←ネタバレ要反転
について。
衝撃だ。

『共犯マジック』とっても面白かったです。
機会があったらぜひ一度読んでみて下さい。


余談:本屋で気になった本、この記事の『共犯マジック』の他に
『渋谷一夜物語』って本も気になりました。
こっちはタイトルじゃなくてカバーに書いてあった簡単な説明を読んで。
うろ覚えですが
オヤジ狩りにつかまってしまった主人公が開放されるために
才能の限りを尽くして面白い話をした。
あらゆるジャンルが収録されたすごい小説。
確かこんな感じだったかな。なんか面白そうです。
その後本屋から消えてしまって(売り切れ?)気になったまんまです。
いつか読んでみたい本です。
以上、ホントに余談でした。


『共犯マジック』 / 北森鴻 / 徳間文庫
ジャンル:小説(連作ミステリ)
おすすめ度:★★★★
は最大で5つです)


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