
今回の記事は『フリージア』(2006年、監督:熊切和嘉)です。
"痛み"を失くした青年のドラマを描いたスタイリッシュなガンアクション。玉山鉄二が演じる主人公はかっこよくも切ないです。
■内容紹介
近未来。治安が悪化した戦時下の日本に、犯罪被害者が加害者に対して復讐できる法律「敵討ち法」が成立する。敵討ちという名目で殺人が合法的に認められたのである。
それに伴い、新たなビジネスが成立した。敵討ちの請負いである。
敵討ち執行代理人と呼ばれるプロが被害者に代わり敵討ちの対象者を殺すのである。
叶ヒロシはある日、ヒグチという女性にスカウトされ敵討ち執行代理人となった。
初任務の日、ヒロシは心ここにあらずという感じでボーっとしていた。その様子に先輩の溝口は苛立ち、山田は不安を感じていた。
しかし、いざターゲットが現れた時、ヒロシは超人的な拳銃さばきでその額を打ち抜いた。全くの無表情のままで…。
彼には"痛み"を感じる感覚がなかったのだ。15年前に起きたあの事件以来ずっと。
山の中をヒロシは歩いている。周りの木々は凍りついている。そんな冷たい世界でヒロシは1人の少女を見つける。
少女は手を伸ばし、何かをつぶやくが、ヒロシには聞こえない。
ヒロシは彼女に手を伸ばしてあげることができなかった…。
痛みも悲しみもない。渇いた世界で……


■感想
人間らしい感覚を失ってしまったという悲しい設定の主人公・ヒロシを玉山鉄二さんが繊細に演じています。
クールでメガネな暗殺者(暗殺ではないか…)というたまらなくイカしたスタイルの上、銃を構える様がとってもかっこいいです!
前半こそ何を考えてるのか分からない感じで、淡々と人を殺しているヒロシですが、後半では彼からは悲しみが滲み出ています。彼が感じるはずのない悲しみがです。それがとにかく切ない。
また、トシオを演じている西島秀俊さんも上手い。トシオは"痛み"の感覚がないヒロシと違って、彼が感じている心の痛みというものが直情的に伝わってきます。それがやっぱり胸を打ちます。
ああ、何て切ない映画なんだ。後半の2人の戦いが切なくてたまらない。
敵討ちでの人殺しを楽しんでやっている執行人・溝口が、『リターナー』の溝口と被ったのは僕だけですかね? 横暴な態度が似ているような。苗字も一緒だし。
でくの坊がホントに"でくの坊"だったことは微笑ましかった。あの風貌はナイスですね。
だけれども、この微笑ましいシーン以降は終わりまでずっと切ないシーンの連続です。
観終わった後、何だか物寂しい気持ちにひたれます。
映画データ | |
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題名 | フリージア |
製作年/製作国 | 2006年/日本 |
ジャンル | ドラマ/ガン・アクション/SF/切ない |
監督 | 熊切和嘉 |
出演者 | 玉山鉄二 西島秀俊 つぐみ 三浦誠己 柄本佑 竹原ピストル 鴻上尚史 嶋田久作 坂井真紀 大口広司 すまけい、他 |
メモ・特記 | PG-12 作品 原作は松本次郎の同名漫画です |
おすすめ度 | ★★★★ |
■Link
+⇒公式サイト
+⇒フリージア - goo 映画


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