イマキュレー・イリバギザ作「生かされて。」を読む。
ルワンダで大虐殺が始まって、1人のツチ族女性の幸せだった日々は終わりを
告げた。家族と離れ離れになり、小さなトイレに身を隠し、恐怖に怯え、
時に怒り、悩み苦しんだ。しかし、神に祈り続けることを忘れず、未来への
希望を捨てずにいた彼女は、神の声に耳を傾け、数々の奇跡を目の当たりにし、
再生する・・・というような話。
これもまた被害にあったツチ族の人が書いた本なのだが、この作者のすごい所は、
加害者を最終的に赦していることにある。この前の「ルワンダ大虐殺」を読んだ
時に、加害者を赦すなんで、とてもできたものではないと感じた。
赦すにはものすごい心のエネルギーが必要になると思う。
虐殺を目の当たりにして、心に深い傷を負った人には、難しいと思った。
でも、イマキュレーさん(作者)は、篤い信仰心で、憎しみから自分を解放した。
本当にすごいことだと思う。
憎しみ続けることは、赦すことと同じくらいエネルギーを使うんじゃないかと
思う。だから前に「ルワンダ大虐殺」を読んだ時、憎しみから逃れられずに
苦しんでいる作者に、早く心が安らげる日が来るように祈らずにはいられ
なかった。赦すことで次のステップへ進んだイマキュレーさんのように
なってほしいと心から思う。
この本からも、家族に対する愛情がすごく伝わってくる。彼女の両親は、
困った人達には手を差し出すことを惜しまない人だった。そんな両親と共に
暮らし、深い愛情に包まれて育ってきた作者だからこそ、ここまで強く
生きて来られたんじゃないかと思う。
辛い時や絶体絶命の時でも、笑顔を忘れず、決して諦めないこと。
自分で夢を強く思い描くのを忘れないこと。
生きる上で、とても大切なことをたくさん、この本から受け取った。
普段の生活の中でそのことを忘れそうになったら、またこの本を開こうと思う。