たのかぜ 2号店

こっそりこっそり

7.5

2006年04月11日 05時03分02秒 | Weblog
「はぁー・・・。この神社はともかく、現実でも春だねぇ」
「外の世界を言われても妾には分からぬがな」
「うむ。ここほどじゃないけど桜の花がキレイなのよ」
「ほう。一度外の桜も見てみたいものじゃな」

「常世の春ってのもまぁ・・・」
「? どうしたんじゃ?」

「常世・・・変わることなく春のまま・・・・・・」
「・・・?」

「しまった!このままではめいぽが滅亡してしまう!!」
「な、なんじゃってー!?・・・というか、間を話せ。いきなり言われても分からん」
「のこちゃんもノリがよくなったね~」
「(誰のせいじゃ)また行数だけ増えるじゃろうが」
「おっと、そだった」

「まずはこれを見てほしいの」
「これは・・・ビクトリアアイランドの地図じゃな」
「そう、この世界の中心たる島。リスもヘネシスと同じく南とすれば、東西南北にバランスよく町が作られている」
「それは、ゲーム的に都合がよいからじゃろう?」
「まぁメタな発言をすればそうなるよね。一定の距離を保つことによって、バランスを成り立たせている。そう、『ビクトリアアイランド』では、ね」
「どういうことじゃ?」

「まずは西の町、カニングシティー。ここから飛んでこれるのは常世の『春』、キノコ神社」

「次に南の町、リス。南方に浮かぶのは『夏』のフロリナ」

「最後に東の町、エリニア。この先には『冬』の象徴たるエルナスがある」

「春、夏、冬・・・。む? 一つ季節が足りぬようじゃが」
「そう、この世界には『秋』がない。日本において秋といえば、紅葉。そして紅葉といえば?」
「!!? 椛に楓か!?」
「そしてこのゲームのタイトルは『MapleStory』! すなわち『秋』をつかさどる世界ができたとき、めいぽは滅亡するんだよ!!」

「な、なんじゃってー!?」

「むう、じゃが! 例えばMapleStoryは東南アジアでも展開されておる。中韓には四季があるとて、あちらにはそうでない地方もあるのではないか!?」
「確かに、雨季と乾季の二季しかない国もある・・・けどね、のこちゃん。ジパングは日本限定マップなんだよ!」
「な、なんじゃってー!?」
「これはまさしく、めいぽの滅びは日本から生じるという予言なんだよ!!」

「な、なんじゃってー!?」

「しかしじゃな。フロリナにはオルビス、ルディブリアムから行けるようになっておるぞ。これについてはどうなんじゃ!?」
「なんだって――!? 四季の一つを表しながら、他の地域からも行ける・・・!!?」
「どうした!?」
「・・・」
「? 本当にどうしたんじゃ?」
「・・・・・・」
「ま、まさかそなた」





「私にだって・・・・・・分からないことくらい・・・・・・ある・・・」






「・・・・・」





がつん☆

7.4

2006年03月08日 03時21分37秒 | Weblog
「さてと」

縁側で散る桜を見ながらのんびりとしていたその時に、彼女は立ち上がった。

「どうしたんじゃ?」
「そろそろ行かないと」
「そうか」


「こっちのお祭りも相変わらず面白いね~」
「妾はこちらしか知らぬがの」
「あはは、そだったね」


「それじゃ、のこちゃん」
「うむ」
「バイバイ」


ざあっと、一陣の風が桜を舞い上げ。
次に目をやった時、果たして彼女の姿は消えていた。

「そなたらしいのぅ」

のこは、湯飲みを流しに持っていき。

もう、縁側には誰もいなかった。

7.3

2006年03月07日 14時24分26秒 | Weblog
「ひな祭り・・・じゃな」

境内を掃き清める手をふと休め、のこはつぶやいた。
目の前には、質素ながら想いのこもった人形をかき抱いて、ショーワへ向かう冒険者の姿が見える。

「――ほんに、冒険者はどんな依頼でも受けねばならんのじゃな」
「そだね」

ぽつり、とつぶやいたセリフに返答があると思いもよらず。
どこか聞きなれたその声に驚いて振り返ってみれば、

「や、のこちゃん。久しぶり」

いつか見た弓使いの姿があった。



「そなた・・・。この世界から還ったのではなかったのか?」
「まあ、お祭りだし?」

いつものように、いつか見たあの顔で。

「――そなたは、そういうヤツじゃったのぅ」
「・・・その言い方はひどいよ、のこちゃん」

7.2

2006年02月25日 13時58分32秒 | Weblog
24時間3交代制――力仕事ですが、メルを稼げます!
体力自慢のアナタ、短期のバイトにいかが?

XX:XX~XX:XX XXXXメル/h
XX:XX~XX:XX XXXXメル/h
XX:XX~XX:XX XXXXメル/h

連絡はXXX-XXX-XXXX 担当まで



農家の三男坊、クレイ=ロック君はチラシを見て思いました。
農作業を手伝っている自分は、幸いなことに力に自信があると。

ロック家で栽培している農作物のひとつが、イチゴ。
今年は「ほわいとでー」とやらがあるらしく、全世界のイチゴ農家さんがそりゃもう忙しい日々を送っています。
彼の家もご多分に漏れず、今まさに繁忙の真っ盛りなのですが。

クレイ君はこのまま農家で人生を終えるつもりはありません。
いつかアレックスお兄さんのように、世界中を旅するのが夢なのです。

――あわよくば自分もNPCに格上げだ!

些細なんだか、オリジナルの一発キャラのくせに大胆なんだか分からない野望だって持っています。


農作業を手伝ってほしいと渋る両親をあの手この手で説得し。
めでたくクレイ君はアルバイト採用をゲットしたのでした。

7.1

2006年02月21日 08時56分27秒 | Weblog
その日は、どこを見ても雨だった。

画面のこっちの私たちには見えないけど。
その日は確かに雨だった。

赤青緑のデンデンたちが駆け回り、スポアはバラバラと胞子を振りまく。
元おもちゃたちは体の錆を気にし、アンデッドたちは陰気な空気を喜んだ。

――今日は客の入りが悪くなるな。

漁に出れぬ恨めしげな船乗り達を横目に、バイソンはそっとため息を吐いた。
フロリナ行きのリゾート客に船を出して生業とするこの男ではあるが、誰が好き好んで雨のリゾート地に出かけるものか。
こんな雨の中そんな物好きは――

「おやじ。フロリナ行き3人分だ」

こんな流れの冒険者しかいない。

――大方、赤蟹でも狩るんだろうがな。

ちらりと装備に目を走らせ、そうひとりごちる。
冒険者相手に長く船を出している彼は、物腰から大体を察することができるようになっていた。

「さて、フロリナビーチに行きたいなら一人1000メルだ……と」

言いかけた彼の眼前に突き出される『何か』。
フロリナの観光協会が発行したフリーパスとやらだ。

昔はリスからの連絡船しか、フロリナへ行く手立てがなかったのだが。
いつの頃からか、ルディブリアムの船会社が入ってきたのだ。

仮にも王国相手ということで、しがないいち漁師が逆らえるはずもない。
あれよあれよと、この妙なタダ券の導入が決まってしまったわけだ。

「あー、フリーパスな…。はいはい、ちょっと待っててくれよ」

これを使われると、お代のメルは協会からの後払いとなる。
しっかりと使われた記録を取っておかなければ、その分の稼ぎが消えてしまうのだ。

――アガリの受け渡しのほうが楽だったぜ……。

さらさらと自らの名を記入する冒険者たちを眺めつつ、一服。
さすがの冒険者様も雨の中、金を払ってまでフロリナに行く気はないらしい。

――ツケでびしょ濡れか。ついてねぇな。
 
だから、雨の日は嫌なんだ。
 

0.11

2005年12月31日 11時01分45秒 | Weblog
「ネタもないのに更新'05~'06年すぺしゃる~!!!」

SE(歓声)

「はい、てなわけで。今年もやってまいりました、年末年始に渡ってお送りするスペシャルのお時間!」
「・・・ちょっと待て」
「なんと、今回はネタがないという番組史上最大のピンチを迎えておるわけですが! 果たしてどうなっちゃうんでしょうか!?」
「・・・いや、『今回は』も何も初めてじゃろうし、そもそも番組じゃ――」
「さあ、それでもたっぷり中身の詰まってないホントに行き当たりばったりな企画! 今年もスタートで~す」



(CM中)

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

――しばらくお待ちください――



「・・・と、というわけで・・・。お、お・・・」

ばたり。

「・・・ふん」

――もうしばらくお待ちください――



「えー、せっかくですね。2号店開店させましたんで、年末年始はなんか書こうかなとですね。思ったわけなのですよ;」
「はじめからそういえば良いものを・・・」

「ちょっとー。あたしの出番まだなのー!?」
「ああああああ! ちょ、登場キャラ3人しかいないからバレるだろうけど、まだ出てきちゃダメ~;」
「えー」



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!今年終わりもグダグダかよー!!」

0.1 Ex

2005年12月25日 03時18分33秒 | Weblog
「このコーナーも久々じゃのぅ。何で今さらやることにしたんじゃ?」
「うむ。私も今はすっかり見習い巫女として、キノコ神社で働いている身ではあるのだけど」
「……相変わらず説明的じゃな」
「はぅあ。そ、そういうツッコミはよくないのですよ。のこちゃん」
「やれやれ」

「まぁぶっちゃけ、リクが来たっていうかね」
「何事も前向きに判断するのは、好い事と言えるじゃろう」
「って、なに? いきなりな――」
「………」
「何で無言を目をそらすかな~?」
「……言うてよいのか?」
「………」
「………」
「……はぅあ」

「また前置きだけで1回分終わりそうだ……」
「進歩がないの」
「だね…。このままだとあれだから、今回の調査内容だけでも言っておくかな」
「(こんな内容で引きを作られてものぅ)」
「なんか言った?」
「なんでもないぞ」
「なんか気になるところだけど、まぁいいか……」
「で、今回のネタはなんじゃ?」
「あ、そか。今回のネタは、

『なんでスライムじゃなくてスルラなの?』

ということを調査していこうかと」
「……オチは考えてあるんじゃろうな」
「………」
「………」
「………」
「………」
「けせらせら?」
「久々にみなの前で飛ぶか?」

ちゃき☆

「ア、アハハハハ、やだなぁ……; か、考えてるに決まってるナリよ;」
「ならばよいがの」
「(調査ネタだけで、オチどころか間も考えてないなんて言えない;)」

7

2005年12月22日 05時44分41秒 | Weblog
相変わらずの青い空に、白い雲がぷかぷかと流れていく。
すがすがしい風が心地よく吹く草原の上で、私は『彼女』の用意したホワイトボードの前に正座させられていた・・・って、なんでよ?

「さあ、せいか。この世界を教えてあげる・・・それがあたしの役割」

そう言うと、彼女はキュキュキュとマジックで――

「ねぇ」
「ちょっと待ちなさい。質問は書き終わってからよ」
「いや・・・。そのホワイトボードってどこから出したの?」
「・・・」

何やらピタリと動きが止まる『彼女』。
ふと見えた横顔が何か思案げで、はて聞いてはいけないことだったのだろうか?
でも気になるしなぁ。

「・・・コ○ヨからパクったのよ」
「そっちの心配かよ!」

アンニュイな顔してなにを言うかと思えば。
まったく、『彼女』は分かってない。
私は汗を一筋たらした『彼女』に向かって言い放ってやった。

「こっちの世界にはコ○ヨがないから、盗んだことに気づかれるわけないじゃないの!」
「そっちのツッコミかい!」

スパコーンと、額にマジックが。
往年の千○男のようなでっかい黒丸と、じんじんと揺さぶられた頭がぐらぐらと。

気絶オチばっかりなら話進まないじゃん・・・。

それが私の最後の意識だった。

6.11 Ex

2005年12月06日 04時30分08秒 | Weblog
「・・・サボってるわよね?」
「サボってるねぇ・・・」

がつん☆

「いたっ!――何するのさ」
「中の人に喝入れ・・・かしら?」
「自分でも疑問系ならやらないでよ・・・」

控え室

どこにでもあるようなパイプ椅子と折りたたみ式の長机。
机の上には2つの湯飲みがあり、出がらしの番茶が切なげに湯気を立てている。

バリッバリッ・・・パキンッ

「ぅー」
「わ。ちょっと、カスがこぼれるって」

恐らく、ふーっとため息をつきたかったのだろうが、せんべいをかじりながらでは様にならない。
ぽろぽろと口からこぼれ出たカスをティシュでさかさかとかき集めて、せいかは一息ついた。

「いやぁ・・・1ヶ月ぶりだね」

ボリボリとせんべいを咀嚼し、お茶をぐっとひと飲み。
ドン!とテーブルの上に湯飲みを置きつつ、彼女は激昂した。

「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないでしょ!こんなわけのわからない楽屋裏みたいなことまでやらされてるのよ、私たちは!!!」

何やら言っちゃいけないことを言いつつ、がーっとまくし立てる彼女。
そんな彼女を冷静に眺めつつ、ずずっとお茶をすすり(湯飲みは片手を下に添えている)。
せいかは言い放った。

「ま、あれが作者だから仕方ないんじゃない?」
「・・・さすが中の人ね」


「・・・だから中の人じゃないんだってば」

きっとまた間が空いてこういうネタになるんだろうなぁと、ぼんやりと。
ふと窓から外を見れば、冬の澄んだ青空がやけにキレイだった。

6.1

2005年11月05日 06時13分00秒 | Weblog
「あなた『せいか』ね」
「へ?」


彼女はちょっと唐突だと思った。



「いやね。私も思ったんだけど」
アンニュイな表情をまといつつ、ふっと遠くを眺める『彼女』。
何を思って、『せいか』なのか。

――その前に、『せいか』ってなに?

盛夏? 特に夏ってわけでもない。
成果? 来たばっかりでんなもん上げれるかい。
製菓? あぁ、そういえばチョコパイ食べかけだったような……

「はい、毎度毎度思考そらさない」
スパーン!と小気味よい音とともに、スリッパで頭をはたかれる。

「痛いよ……」
「まじめに話してるんだから、聞きなさい」

私の涙目の抗議は、自己中心的極まりないセリフで敢え無く敗れ去ったようだ。
それはともかく、なにやらキリリとした表情をしているので、話を聞いてやることにする。
…決してスリッパが思ったより痛かったわけでも、『スリーピーホテル トイレ』と書いてあったわけでもない。

「『せいか』ってのは、あなたの名前ね」
「……はぁ?」

や、だから。
唐突だろ。

「あの」
「なにかしら」

そんな一人ですっきりした顔されましても、ねぇ?

「なんで外伝で私の名前が決まっちゃうんでしょうか………?」
「これ以上中身薄くなって、更新が滞るのもイヤだからでしょ」

ズバッと。
ああもうなんていうか。

「はぃ、『せいか』でいいです……」
「ちょ、何泣いてるのよ?」



いいから今はほっといて。