HRDworld

 

タイロッド角度とバンプステア特性

2008-02-06 | アライメント関係
少し前の話になりますが、兄がミラ(L250)を買いました。
しかもバンのMT。驚く無かれ、愛知県限定車49.8万円!!国産で一番安い新車です。
通勤車にしていたエブリーが寿命を迎えたため、とりあえず壊れないアシ車が欲しいということだったらしいのですが、純正足のあまりの頼りなさに参ったのか、足回りをグレードアップすることにすることになりました。
んで、用意した足はなんと

車高調+前後社外スタビ(!)
 

えーと、たしか車両価格が49.8万円でしたよね?
軽は部品が安いとはいえ今回組んだ足回りの部品だけで余裕で10万超えてます…(^-^;)

ま、何はともあれこれらの部品を組むことになり、作業したわけなんですが、その際表題のトー変化について少し思うところがありました。

車高調を組む際、最初はとりあえずメーカーの推奨値に合わせました。たしか35mmダウンくらいだったと思います。そこを基準に好みの車高にしてみよう、という考えです。
とりあえず組んでみていったん試走してみると、足はさすがにスタビも無いようなグニャグニャの純正から車高調+社外スタビなので激変していますが、ハンドリングがやたらダルくなっています。初期がダルくて後半でぐいっと切れ込む感じ、トーイン過大と思われます。何台か車高を下げるのをみていますが、車高を下げるとトーアウトになると思っていたのでちょっと意外な感じ。
それに車高ダウンによってタイロッド角度が変わるため、トーが変化することは承知していましたが、35mmダウンに対しては大きく変わっているような。まあ軽だからタイロッドもナックルアームも短いため、少しの変化に敏感なんでしょう。
とりあえずトーはあとで、と思っていたのでこの時点ではあまり気にしていませんでした。

その後、やっぱ35mmじゃ物足りないということで結局もう30mmくらい下げた(結局べったんこ)のですが、するとどうでしょう、さっきのハンドリングが一転、軽快になっています。
かと言ってハンドルがやたら軽いようなことも無く、そこそこ良い感じなのです。あれ?

…不思議に思ってタイロッドを見てみると、ラック側よりもアップライト側が高い「ちょっとバンザイ」状態、でもアップライト側とラックとの差はパッと見で20~30mmってとこでしょうか。

なるほど、これで謎が解けました。
つまり、先ほどの35mmダウンの際に大体タイロッドは水平で、純正ではタイロッドはアップライト側が低いのです。

車高が変化してトーが変化する、というのはサスのバンプステア特性によるものです。バンプステア特性とはサスのストロークに対してトーがどう変化するか、というもので、これはタイロッドの角度や長さ、ピボット位置などによって決まっています。
設計次第ではこれを限りなくゼロに近づけることも出来ますが、乗用車ではフロント周りの位置の制約が多い(特にFF車は)ため達成は難しいのだと思います。

で、そのバンプステアは普通、F:バンプトーアウト、R:バンプトーインになっているものと思っていました。なぜなら、その方が安全だからです。

バンプする、ということは荷重がかかっているということですので、たとえばコーナリング中だと外側ということになります。コーナーに進入して、徐々に荷重が外側へ、それに伴い外側のサスが沈み車体はロールしていきます。
この際、フロントはトーアウトに、リアはトーインにそれぞれ変化すると、クルマは曲がりにくくなります。いわゆるアンダーステアというやつです。
弱いアンダーステアなら、少しステアリングを切り足せば安定して曲がることができます。

もしこの逆の変化をするとクルマはオーバーステア方向となり、ドライバーが意図したよりも大きくクルマが向きを変える可能性があり危険です。

そんなわけで、車高を下げるとフロントはトーアウトになると思っていたのです。(リヤのトーは変化しない車種もあります。ミラもそうです。)
昔初めてダウンサスで自分のクルマの車高を下げたとき(クルマはカロゴンでした。1500でMTの!)にはそんなことは知らずに「車高を下げたらトーアウトになった」ということだけでしたが、その後上記の理由で納得していました。

ところが、今回のミラ(L250)の場合、純正では1G状態からストロークしていくとだんだんトーイン方向に変化し、タイロッドが水平になった時点で今度はだんだんトーアウト方向に変化するものと思います。うーん、なんだかセオリーと違うなあ。そもそもコーナリング時の姿勢など二の次なのだろうか。でも安全性にかかわることだと思うし。むむむ。
ま、でも今回車高をべったり落としたことで普通のバンプトーアウトになったからいっか?!

その後トーは測って調整しなおし一軒落着。ともあれ、一連の部品を組んだミラはまるっきり別の車になりました。
見違えるような運動性と安定性です。車高調は街乗り重視のものですが、強化スタビとのマッチングが案外よかったのかもしれません。
あ、そうそう純正ではなんと12インチ(!)の鉄ちんですが、ムーヴ純正の14インチアルミも装着されました。

足回りのレベルアップですっかり快適になったミラ。
これからどんな方向に進んでいくのでしょう?わが兄ながら謎です。

 

             スタビも無い純正。              →            真っ赤なスタビが若々しい!

スタビライザーの無いグレードでもブラケット用のねじ穴はちゃんとあります。(ミラに限らずムーヴやタントなどでも同じだと思います)
こんな棒一本でかなり快適になります。お買い物にいくようなスピードでも十分体感できるのでお母さん達の特売仕様にもお勧めです。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 堀ちえみさん万歳! | TOP | 青春 »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | アライメント関係