矢島慎の詩

詩作をお楽しみください。

荒   地

2005-04-11 23:29:34 | Weblog
私は荒地で育った不幸な女

親の愛を、ひとかけらも受けることもなく
周りから優しくされた記憶もない

信じていた人からいっぱい裏切られ
幼い頃から大人の人生を知ってしまった

心のこもったものをもらった事がないから
誰が気持ちを込めた贈り物なんてするものか

支えてくれる人がいなかったから
どんどん坂を転げ落ちて

最後にぶつかって止まったところへ
駆け寄ってくれたって遅すぎるって

施設、ヤクザ、水商売と、お決まりのコースをたどって
身体だけ大人になって

高価なものを贈られても嬉しくも何ともない
優しい声をかけられても信じることができない

本当は愛がいっぱい欲しいけど
本当はいっぱい優しくされたいけど

どう人を愛するかが分からない
優しく接する方法が分からない

不幸に育った私だから
私にしか見えないものがある

せめてそのことを喜ぼうか