社会保険庁改革

年金記録漏れ5000万件・・・
参議院選挙を控えた政治の世界では、そんな「お粗末」な社会保険庁をめぐって無責任や人たちの野次や罵声が飛び交っている。昨日のニュースなどを見ると、ボクはそう感じています。
衆議院厚生労働委員会の採決の仕方なんて、最低でしたね。強行採決を進める与党に対し、委員長の口を塞ぐ（でも、噛まれるのが嫌なのか？唾がつくのが嫌なのか？実に中途半端な口の塞ぎ方がボクには印象に残っています。）などの強行採決阻止の野党。どっちも、どっちですよね。民主主義国家とは思えない無様な姿でした。

それにしても、社会保険庁改革法案・・・

今は厚生労働省の外局、つまり国の組織の一部であるものを、大きく分けて、年金と健康保険の二つの機能ごとに分割・解体する。
つまり、社会保険庁と言う国の機関を、「日本年金機構」「全国健康保険協会」という二つの非公務員型公法人に分けるというのが今回の改革の骨子だと思います。

これだけ日本の民間の保険会社が「お粗末」だと分かってきたにも関わらず、
年金の制度的な問題は棚上げして、とりあえず非公務員化すれば解決するだろうと言う単純な「民尊官卑」の改革姿勢。
何と言えばよいのでしょうか。。。

そもそも「年金記録漏れ5000万件」もすっかり安倍首相をはじめ政府も、与野党の政治家も「社会保険庁」だけの責任のように言っているようにボクには聞こえますけど・・・
年金制度上、つぎはぎだらけのスパゲッティ状態の仕組みにしてきた政治の責任もありますし、
国の根幹を担う制度であるにも関わらず、ここまで社会保険庁に投げっぱなしにしてきた国の責任もあるでしょうし、
また、年金の記録は保険料の収納や記録の一部の事務を担ってきた地方自治体（もちろん結果責任は社保庁なんですけど）の責任も大きいでしょう。
それを組織や社保庁の職員だけに責任を押し付けて、「ハイ、これで改革は順調に進みますヨ」と言わんがばかりの態度は無責任としかボクには思えません。

そして、「年金記録漏れ5000万件」への対応・・・
こういうことを言うと、怒られそうな気もしますけど、あえて言いますけど、

今の年金受給者はもらえるだけで羨ましいよな、と。
ボクらは払った保険料分だけでももらえるかどうか分からないのに・・・
数億円かけて、時効を無視してまで、そこまでの力を注いで対応すべき問題なのか、ボクには疑問です。

今朝の日経新聞の社説にも次のように記載があります。
「記録漏れの救済は大切だが、未納を減らすために何が必要かを議論するのが先決ではないか。」
ボクも同意見です。年金制度の不信の原因には、このような過去の記録上の問題ももちろんありますけど、それ以上に未来の年金の安心感という年金制度自体の問題のほうが大きいわけです。
そういう意味では、年金漏れ問題のドサクサに紛れて、大した議論もなく、「社保庁の非公務員化」という表面的な体裁を取り繕うだけの法案が通ってしまうことが、とても恐ろしく思います。
そして、組織を変えるだけで、さまざまな書類の組織の記載を変えたり、年金手帳を変えたり、莫大な費用がかかることをボクらは忘れてはいけません。

国民年金制度は、その法律第一条の目的で「共同連帯」によって支えられると定められています。（ボクはこの「共同連帯」という言葉がすごく好きなんですよね。）
「自助」の制度ではなく、「共同連帯」の制度なんですよ。
この点から、そして年金だけでなく健康保険も含めて、日本の根幹を担う制度を本当に国から切り離しても良いのか？？？とボクは思います。
防衛庁が防衛省になったように、社会保険庁も社会保険省にするという改革案ならばボクは大賛成なんだということも、ついでに書いておきます。

みなさん、ハローです。ホディです。

自らの組織の一部の問題を、まるで他の組織の問題のように、他人事としてコメントしている首相をはじめとする内閣の人たちには少し幻滅しています。
確かに直接的な責任はないと思いますけど、政府が責任を持たなければ誰が持つのか？？？
そして、最後は切り離される・・・
未来の人たちに向けて教育的にも、あまり良い話にはボクには思えません。

一方で、このどさくさに紛れて（？）少年法の改正案のほうは成立しているようですね。

少年犯罪が「凶悪化」してきている背景があり、
少年院送致などの年齢引き下げなどの「厳罰化」が必要、
というのが改正の目的のようなんですけど・・・

「凶悪化」してきているかどうかは今日は棚に上げますけど、
「厳罰化」が本当に有効なのかとボクは思います。

「個人の罪」として罰することは、ある意味では「個人とその個人の犯罪」を「周囲の責任」から切り離すことも含んでいるボクは思っています。
少年が少年だけの責任で罪を犯すと思えば、今回の厳罰化も有効でしょう。
でも、どうなんでしょう？

少年の犯罪は社会の責任、
社会保険庁の話と同じになりますけど、切り離しても良くなるとは限らない・・・

難しいですね。