言われるまでもなく、ガーデンの木陰のベンチに座る。涼しくて心地いい。ベンチに座って、このホテルをキャンセルできないかということを考えた。
けれどアゴダから引き落とし手続きがされる。あるいは、このホテルにチェックインしたままさっきのモーテルに泊まってしまうということも最悪ありかもと考える。少なくとも明日の宿はさっきのモーテルにしよう。早速電話する。
「はい、泊まれます」と言って名前も聞かれず切れるのでもう一度かけ、名前を言って念を押す。いわゆる安宿系のところは行き当たりばったりでそのときその場にいる客を入れるから不安なのだ。予約完了。
ほっとして、周りを見回した。ほどよい密度で高い木が生え、下は芝生や草地になっている。木陰のベンチから湖が見える。園内は遊歩道がめぐらされている。が、誰も遊んでいたりしない。
この広い庭園をこのように手入れするのは相当大変だろう。レストランもやたら広いけれど客はなく閑散としている。この施設、大丈夫なのだろうか。
どうしてこのホテルはこんなに客がいないのだろう。宿泊サイトにちゃんと載っているのに。さっきのモーテルは載っていなかったのににぎわっていた。不思議だ。経営次第でこんなに差が出てしまう。このホテルをこのまま維持していくのはきっと困難だろう。来年営業しているかどうかすら分からない。レストランには3、4人のスタッフがいてぶらぶらしている。受付には2人のスタッフがいる。そのほか、庭を掃除する人などがいる。経費がかかりすぎる。
と、余計なお世話なことを考える。きっとこのホテルの経営者は大金持ちで、趣味でこのホテルをやっているだけなんだろう。
トイレを探した。フロントの向こうの、1階建の長屋みたいな建物の奥にみすぼらしいトイレらしき小屋があるのが分かる。行くついでにその長屋をのぞき見る。不潔ということではないが、あまりきれいとも思えない。1つの部屋にベッドが3つあり、誰かが泊まっているのか、黒ずんだシーツはぐしゃぐしゃに乱れている。タオルなど投げ出してある。誰もいない。
私が泊まるのはこのどれかの部屋なんだろう。かなりぞっとする。さらに、トイレに行くと、汚くはないけれどあまり心地よくない手動水流し式。シャワーも同じ。インドネシアで一番安価なみすぼらしいドミトリーに近い。
「ここに泊まるのはいやだ」とはっきり思った。
値段も結構いいのに、この設備はないだろう。何よりエネルギーが感じられない。どうしよう。とにかく、今日もさっきの象のいたモーテルの方に泊まろう。
電話を取って、かける。1回ベルを鳴らしかけ、すぐ切る。まだ迷っている。
迷い、迷って、もう一度かけようと電話を手にしたそのとき、受付女性が呼びに来た。お部屋の準備ができました、と。
私はいやな顔をしていたと思う。傲慢ないやな客に見えただろう。事実、見えただけでなくそのものだったかもしれない。不安な顔のまま、とりあえず部屋を見せてもらおうと思って女性についていった。
市場にて
近くのカフェ
けれどアゴダから引き落とし手続きがされる。あるいは、このホテルにチェックインしたままさっきのモーテルに泊まってしまうということも最悪ありかもと考える。少なくとも明日の宿はさっきのモーテルにしよう。早速電話する。
「はい、泊まれます」と言って名前も聞かれず切れるのでもう一度かけ、名前を言って念を押す。いわゆる安宿系のところは行き当たりばったりでそのときその場にいる客を入れるから不安なのだ。予約完了。
ほっとして、周りを見回した。ほどよい密度で高い木が生え、下は芝生や草地になっている。木陰のベンチから湖が見える。園内は遊歩道がめぐらされている。が、誰も遊んでいたりしない。
この広い庭園をこのように手入れするのは相当大変だろう。レストランもやたら広いけれど客はなく閑散としている。この施設、大丈夫なのだろうか。
どうしてこのホテルはこんなに客がいないのだろう。宿泊サイトにちゃんと載っているのに。さっきのモーテルは載っていなかったのににぎわっていた。不思議だ。経営次第でこんなに差が出てしまう。このホテルをこのまま維持していくのはきっと困難だろう。来年営業しているかどうかすら分からない。レストランには3、4人のスタッフがいてぶらぶらしている。受付には2人のスタッフがいる。そのほか、庭を掃除する人などがいる。経費がかかりすぎる。
と、余計なお世話なことを考える。きっとこのホテルの経営者は大金持ちで、趣味でこのホテルをやっているだけなんだろう。
トイレを探した。フロントの向こうの、1階建の長屋みたいな建物の奥にみすぼらしいトイレらしき小屋があるのが分かる。行くついでにその長屋をのぞき見る。不潔ということではないが、あまりきれいとも思えない。1つの部屋にベッドが3つあり、誰かが泊まっているのか、黒ずんだシーツはぐしゃぐしゃに乱れている。タオルなど投げ出してある。誰もいない。
私が泊まるのはこのどれかの部屋なんだろう。かなりぞっとする。さらに、トイレに行くと、汚くはないけれどあまり心地よくない手動水流し式。シャワーも同じ。インドネシアで一番安価なみすぼらしいドミトリーに近い。
「ここに泊まるのはいやだ」とはっきり思った。
値段も結構いいのに、この設備はないだろう。何よりエネルギーが感じられない。どうしよう。とにかく、今日もさっきの象のいたモーテルの方に泊まろう。
電話を取って、かける。1回ベルを鳴らしかけ、すぐ切る。まだ迷っている。
迷い、迷って、もう一度かけようと電話を手にしたそのとき、受付女性が呼びに来た。お部屋の準備ができました、と。
私はいやな顔をしていたと思う。傲慢ないやな客に見えただろう。事実、見えただけでなくそのものだったかもしれない。不安な顔のまま、とりあえず部屋を見せてもらおうと思って女性についていった。
市場にて
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