ベトナム南部、ヴィンロン、アンビン島。旅4日目の午前。
10時過ぎだったか、宿に帰ってきた。頭が少し痛い。揚げバナナを3つも食べたせいだろう。写真のことが頭をよぎった。宿の近くの垣根の道の風景がとても美しいのにさっき気づいたのだが、撮り忘れていたのだ。けれど撮りに行く気にもなれない。
昨日と同じ朝食を食べる。今日は砂糖を入れないでと頼んだコーヒーにお湯を継ぎ足しながら飲む。
本当に風が心地いいテラスだ。快適だ。しかし頭痛はどんどんひどくなっていく。
このホームステイではたくさんの人を雇っている。それを若い女主人がきりもりしていて、大したものだと思う。朝早くから掃除をするおばさんや女の子が2人ぐらいいる。この日はシーツを縫う子もいる。洗い場で肉を切っている子もいる。一人の女の子は気が強く、今朝はとんでもなく機嫌が悪くて見るからにむくれており全然仕事をしていないが、英語ができるので会計係や客への応対、夕食の有無を聞いたりする接待係をしている。バイクで客を送り迎えする男の人や、初日に会っただんなさんがいる。女主人はほぼ台所にいて料理を取り仕切り、場を離れないようにして全体を見ている。ついでに子どもの世話をしながら、いつも笑顔で穏やかでいる。親しみやすく頭がとてもよさそうで英語もでき性格がいい。本当はとても忙しいのだろうけど、そんな様子を見せない。すばらしい!
会計をすませた。女主人が対応してくれ、バイクで送ると言う。船は何時かと聞くと、いつでも、とのこと。いつのまにかバイクマンが登場した。船着場まで風を切って走る。
船着場に行くと舟はもう来ていて、すぐ乗り込むことができた。切符は誰も売っていなかった。どうやら無料らしい。この船は常時行き来していていつでも乗れるのだ。動く橋みたいなものだ。バイク専用というわけでもないらしい。
大量のバイクと自転車の群れと一緒になって、今日は私は一人でこの橋のような船に乗り込んだ。
岸近くを行く船は野菜を積んでいる。売りに行くようだ。