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◎イスラーム 11 六信 4

2015-06-06 00:39:30 | 宗教
イスラーム 11 六信 4

★六信は、ムスリムがその存在を信じることが義務であるとされているものである

1、神(アッラー)
2、天使
3、啓典
4、使徒(預言者)
5、最後の審判の日および来世
6、定命(神の予定)


6、定命(神の予定(カダル))

○神があらかじめ定めた運命を信じること

決定論と自由意志

・「自由意志」とは自分で運命を決定することのできる能力である(「超訳「哲学用語」事典、小川仁志 PHP文庫」)

●イスラーム神学においては、人間の自由意志よりも神の予定が重要視される傾向がある
 神によってすべてがあらかじめ決定されているという考えが優勢になっている

●クルアーンには、神の予定と人間の自由意志の両方を支持する記述があることから、「神の予定」についての議論が生じた

○ジャブル派…神の予定を強調した人々

カダル派…人間の自由意志を強調した人々
 カダル派は名称はカダル(運命)派であるが、運命を否定して人間の自由意志を肯定した
 カダル派はムウタズィラ学派に継承された

・ハディース学者を中心とする伝承主義者はムウタズィラ学派に反対して、人間の運命はすべて、あらかじめ神によって決定されていると考えた

アシュアリー学派
 アシュアリー学派はムウタズィラ学派と伝承主義者の中間をとった
 人間の行為は神によって創造され、人間によって獲得されるという「獲得理論」を主張したが、結局は伝承主義者の決定論に近い

 アシュアリー学派神学は多数派のスンナ派の主要な神学となっていった

 アシュアリー学派は「この世には神の望まないものは決して存在しない」と主張する(「イスラームの人間観・世界観」、塩尻和子 筑波大学出版会)

●自由意志を肯定するムウタズィラ学派が衰退し、アシュアリー学派が主流となり決定論の勝利に終わり、神の予定を信じることは「六信」の1つとして組み込まれた

人間の運命と「天の書」

・「天の書(「護られた書板」、「明瞭なキターブ」)」は、天にあるとされる「書(キターブ)」で、すべての運命があらかじめ書かれているとされるほか、クルアーンの原型だと考えられている
 クルアーンには「天の書」という名称は登場しない

●人間の自由意志によると思われる言動も、実はあらかじめ決定されていて変えることはできないというようであるが、「天の書」の部分的書き換え、すなわち「運命の書き換え」がなされ得るという立場もある
 幸・不幸・生・死の4つの事柄を除くすべてのことについては、「天の書」の書き換えがなされ得るとする
 祈禱句を唱えることにより「運命の書き換え」を願うのである(「聖典「クルアーン」の思想」大川玲子、講談社現代新書)

仏法では人間の運命を決定する人格神的存在を否定している

 仏法により「運命の書き換え」、運命の転換が可能となる