昨日の話のつづき。。。。
新しく社会人になり、忙しい日々を過ごしていた。新しい出会いが会った
りして。。。。なんて淡い期待をしていたが、職場はオッサンばかり。
それから早3ヶ月が過ぎ、とある駅でばったり「Tony」と再会(偶然です)
「ト、トニー?」とパニックになる私。
「Bonita?やぁ、元気だった?」
なんて変わらぬ、セクシースマイルにスィートボイスなの。。。癒し系だわ
私達は同じ電車に乗り、いままでの近況報告をした。
彼は相変わらず学校の方が忙しいが、この夏バケーションをとって
メキシコのカンクンに行くという。
「え?カンクン?ウソ~、私もこの夏メキシコ旅行考えてたのよ。」
なんて口からデマカセ、ウソ八百。メキシコに行きたいな~位にしか
考えていなかったが、Tonyのこの一言で私はメキシコ行き願望が強く
なった。
「え?そうなの?それじゃ、僕とカンクンにいかない?」
なんていともあっさりいってくれるわ。。。
「。。。そうねぇ。。。いいわよ、別に。。。」と気をもたせながら
言ってみた。心の中はガッツポーズ、Yes!!!
「じゃ、詳しい予定はまた今度。」といって電車を降りた。
電車の中でニヤニヤしながらひとりで空想にふけっていた。
きっと電車に乗ってた乗客はさぞ気持ち悪かっただろう。
トントン拍子で旅行の計画が立ち、毎日がルンルン気分だった。
私とTonyの関係って一体なんだろう?恋人?でもないし、友達?
だとしても一緒に旅行いくかな?
Tonyは一足先に故郷のL.Aに寄ってからカンクン入りした。
私はメキシコ シティに一泊してからカンクンに入る事にした。
だから、カンクンでTonyが先に行って待っててくれるということだ。
アメリカのダラス経由でメキシコ シティに入った。着いたときは
もう夜。タクシーの運ちゃんたちが必死に客を呼びとめ、値段交渉。
私もメキシカンの運ちゃんたちを物色しながら、大丈夫そうな人のタクシー
を選んだ。夜という事もあり、私は何かあっては怖いから用心にした。
なんたって、ここじゃ私、外国人だもんね。
タクシーの運ちゃんとは英語が通じず、(予想どおり)私の下手な
スペイン語炸裂。
「オテル マリオ、ポルファボ~(ホテル マリオにお願い)」
「Si、(了解)」
タクシー運ちゃん 「ところでアンタどっからきたの?」
わたし 「。。。(ハポン=日本)とういと割り増しされると
嫌だからアメリカからよ。」
わたし 「あのさぁ、英語ちょっとくらい喋れない?」
タクシー運ちゃん 「だめ、喋れない。。。」
スペイン語、全然自身ないよ~。変なとこ連れていかれたらどうしよう!
そんな私の心情なんておかまいなしで、喋り捲ってくる。半分くらい
何言ってんのかわからない。。。が、適当に相槌をいれ会話は成立する。
そうこうしてホテルへ到着。
「ほら、着いたよ。ここだよ。観光するなら、明日オレ、迎えにくるよ。」
と運ちゃんは言ったが、「まだ、考えてないから。」
やっぱ女ひとりでメキシコシティーに泊まるのは怖いので、割とランク
の高いホテルにした。ホテル内では英語が通じたし、その夜は疲れて巨大
ベッドに大の字になって寝た。
しかし、時差ボケとTonyと会えることに興奮し、あまり眠れなかった。
カンクン行きの便は明日の朝しかでない。時間はあまりないが観光
にでもいこうとおもって外にでた。見覚えある顔。。。
夕べのタクシー運ちゃんが外で待っていた。
「待ってたよ~、観光だろ!乗って、乗って」と私をいいカモだと思ってる。
美術館と博物館に行こうとおもってた私は距離があるのでどうしようかと
おもってた矢先だった。
ぼったくられるの嫌だな。値段交渉開始。
「アンタのタクシーに乗ってあげてもいいけど、1日お抱え運転手
としていくら?」
「アメリカドルで$50だな。」と顔がニヤつく。
「冗談でしょ。$20だね。それ以上出さない。」と私は譲らない。
「。。。。わかったよ。」としぶしぶ交渉成立。
「とりあえず博物館へいって!」とタクシー博物館へ。
みんなにジロジロみられながら、しばしの観光。旅行にいったら美術館
に必ず立ち寄る私。「やっぱ、落ち着くわ~」
「次、ショッピングにいくから!」とタクシーはショッピングモールへ。
あるレストランで食事をオーダーしたら、山盛りタコチップがサービスで
ついてくる。これは 嬉しい。ビールがすすんだ。
本当は遺跡なんかもみに行きたかったが、時間がなくて断念。
そして翌朝、大丈夫か?っていうくらい小型飛行機でリゾート地
カンクンへ飛んだ。
空港ではTonyが迎えにきてくれてた。「やっと会えた~」とHug、Hug。
お互い別々のルートできて目的地で落ち会うって結構いいわね。
そして、私達のホテルでちょっと一休みしてからプールで泳いだ。
「お願い、時よ止まって~」って叫びたいくらいのロマンチックな時間
を彼と2人で過ごした。このころカンクンってそんなに知られない
リゾート地で日本人は1人しかみかけなかった。
夜はクラブで飲んで、踊りまくり、ショーを観たり、日中はビーチで遊び、
写真集でも出すのかといわんばかりにお互いの写真をとりまくった。
が、彼は買い物にはいつも独りで行っていた。買い物の時は別行動。
「つまんな~い」と思いながら、買い物は結構ひとりのほうが楽なんだよね。
でも私に見られたくない買い物もあるのかもしれない。詮索はしなかった。
カンクンから船で30分のとこにある小さな島にも行き、バイクで島を
一周し、スキューバーもどきで海を散策した。あ~海がキレイだった。
もっと滞在したかったが、もう10日も会社を休んできてるのでこれ以上
はムリだった。Tonyはまだカンクンで過ごすと言って、その後L.A経由
で帰る予定だった。なんか友達以上、恋人未満の関係に不完全燃焼な
気分でひとり寂しくカンクンを発った。
でもひとりより連れがいて楽しい休暇をおくれたんだ、良しとしよう。
そして、帰りもダラス経由で帰ろうと思ったら税関で捕まった。。。。
「ちょっと、アンタこっちきて!」と税関の人に呼ばれる。
え?何?私、なんか怪しい? もうひとりの女税関が
「この女、偽造パスポートよ、ぜったいそうよ!」と他の税関職員と何やら
ヒソヒソ。。。。
「私、日本人です。日本のパスポートもってるのよ!」と声を大にした。
「アンタ、どっからアメリカへ入ってきたの?」
「メ。。。メキシコから」怖いよ~
「アンタ、日本人じゃないでしょ!メキシカンでしょ!!」と疑いの目
で私を睨む。いくらなんでもそれはないでしょ~確かに浅黒いけどね。
そして私のスーツケースを開け、下着から化粧品のクリームからすべて
チェックし、
「ブツ(麻薬)は入ってないわね。」と一言。
え???麻薬もってるとおもってたわけ?ショック~
このぐちゃぐちゃにしてくれたスーツケースの中身どうしてくれんのよ~
スーツケースがなかなか閉まらなくて、30分格闘した。
それからダラスの税関は大嫌いになった。
でもよく考えたら、女ひとりメキシコに行くこと事態、疑われても仕方
ないのかしら。今思い出すと、とても今じゃ考えられないような格好して
たから、メキシカンに間違われてもおかしくないかも。。。
それからしばらく経ち、Tonyとの「不完全燃焼」な関係に気の毒に思った
同僚(のちに私の親友となる)が「ダブルデート」作戦しようと言ってくれた。
彼女Mちゃんの彼はブラザーで同棲していて、彼らの家に私はよくお邪魔
させてもらっていた。Tonyは私とふたりになるとぎこちなくなるから
彼女達と一緒にクラブにいったりして、私とTonyの関係を保ってもらって
いた。
ある晩、「メキシカンナイト」と称して、MちゃんカップルとTonyの
マンションの部屋でメキシカンディナーをする事になった。料理は全て
Tonyが作ってくれておいしかった。料理のできる男はいいな~
サルサ音楽で4人でサルサダンスレッスンをし、飲んで、踊って騒いだが、
なんかTonyの様子が変。すぐわかっちゃうんだよね。写真好きのTony
が私とのツーショットを拒んだ。笑って許したが、なんか変。
Mちゃんカップルは終電がなくなるからと言って、「Bonita帰ろう!」
と言われたが、その夜はどうしても帰りたくなかった。
「泊まっててもいい?」
「い。。。いいけど。。。。」とあまりいい返事ではない。
「今日なんか変よ、どうしたの?」
「あまり調子よくないんだ。。。」と元気ない。でもなんか変。
「スウェット貸してあげるからそれ着なよ。」といって奥から
ピンクのスウェットをもってきた
なんでピンクなの?男がピンク着ちゃいけない決まりはないが、
どうみても男ものではない。女いるんだ。。。
「これどうみても女物だよね?」
「。。。。。!!!」一瞬あせったTony。。。
「。。。。Bonita、実は長くつきあっている女性がいるんだ」と切り出した。
「(あ~やっぱり)それで、その人のこと好きなのね、いつから?」
「君と出会うずっと前から。それに彼女結婚してるんだ。」
え~!!!!!不倫ですか?
さすがに私もあまりのショックに耐えられない。。。。
その不倫相手の女性は、彼が日本にきてからの仲で、スペイン語ペラペラの
日本人で旦那さんも日本人で子供なし。マンション借りる時も面倒みて
もらったり、相談ごとは全て彼女にしてたらしい。
私は一体なんだったんだろう。カナダ人彼と私が公園で破局をむかえるときも
Tonyとその彼女は車の中で私達の様子を伺ってたらしい。
今更こんな告白あるか?!もっと早く言ってもらいたかった。
その彼女のこと愛してるらしいが、彼女が「セックス拒否症」でその行為事態
ダメらしい。だから肉体関係になれないんだとか。一緒になりたいが旦那
と離婚できないとか言っている。
段々私も「みのもんた」状態で聞き入ってしまった。
「そう、それで?で、おたくはこれからどうしたいの?」
彼女との関係は続けたいが、どうしていいかわからないと言う。
もう完璧私達は終わったな。(彼の中ではとっくに終わってるんだよね)
もうこの部屋に来るのもこれが最後だ。
いつか彼と結婚したい、彼の子供がほしいと思ったこともあったな。
翌朝、私は彼のマンションから去っていった。「さようなら」
その一週間後、あることがきっかけでTonyに中国人の彼女がいること
が発覚した。まだ隠してることがあるのか!!!
その中国人彼女はバージンで化粧の仕方も知らない垢抜けない子だという。
そういう子を自分がいちから教えてあげたいといって彼女を選んだ
らしい。なんなんだ。てっきり派手な人が好きなんだとおもったら意外と
地味な人が好きなんだ。不倫の年上彼女も地味なカンジのひとだったし。
風の便りでその中国人の彼女のすぐに結婚したらしい。意外と気の強い
女だとその2人を知る友人が言ってた。
私はTonyと別れてから忘れるまで、4年かかった。その間、つきあった人
もいたが、まともな恋愛ができなかった。
そして、息子を産み、育児に忙しくなってTonyの存在も忘れた。
ある日、電話が鳴った。それは語学学校の友達のひとりだった。
「Bonita? 実はね○○ちゃん亡くなったのよ。」
え?まさか彼女が?うそ~!!!!!
彼女はTonyの事でもカナダにいるHerveのこともいつも相談に乗って
もらってて、一緒にカナダにも行った良い友達だった。
彼女は進行性のガンだったようだ。気がついた時は手遅れで手術するのを
拒んだらしい。それから3ヶ月後には逝ってしまった。
私と同じ27歳で、死ぬには若すぎるよ。私はお通夜に行き、
彼女の安らかな顔をみてたらアメリカ人の旦那さんは「苦しまなかった」
と言ってた。
おいおいおと泣いて帰ろうとした時にTonyと再び、6年ぶりに再会した。
まさかこんなとこで再会するとは。。。。。
「あなたも知らせをうけて?」と私は言葉を切り出した。
「うん。まさか君とここで会うとは思わなかった」
仕事が終わってすぐに駆けつけてきたのだろう。私が贈ったネクタイを
絞めてた。まだ持ってたのね。一番のお気に入りだったから。
息子が生まれて2歳になった話もし、子供はいないが彼も幸せに奥さんと
暮らしてる。
また風の便りで、というか友達のMr.Dとつい最近ばったり会ったとき、
「Tonyさ、また学校に戻って、講師やってんだよ。それとあいつパパ
になってさ。娘がすっごいかわいいんだ。
Bonitaの息子の名前なんだっけ?」
「○○だよ。」 そっかぁ~パパになったのね。
「え~!!!Tonyの娘と同じ名前だよ。」
うそ~!そんな偶然あるの~?
ちなみに息子の名前は男でも女でも両方いける名前。
「すんごい子煩悩だよ。遅くできた子だし、女の子だからなおさらだろ」
「もしTonyに会ったらBonitaが宜しくって伝えておいてよ。」
Mr.Dは渋い顔して、
「それはやめておくよ。君の名前出さないよ。。。。」と言った。
彼は私とTonyがまた復活したら困るとでもおもってるのか?
そんな事はぜったいないけど
「そうだね。私の名前ださなくていいよ」
もう向こうは私のこと忘れてるとおもうが、ある時期にくると彼のこと
思い出すんだよね。