心理 カウンセリング 心の家庭教師

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コラム24 やりたいことをしたい?自分らしく生きる?

2008年10月21日 | カウンセリング
先日、TVのニュースで、「新入社員の35%が入社3年未満でやめる」という特集があった。中には入社1ヶ月そこらでやめる人たちもいてインタビューに答えていた。
「上司が何も教えてくれなかったから」というマニュアル育ちの受け身的な姿勢も気になったが、「やりたいことをしたいから」「自分らしく生きたいから」などと共通して答えていたのが印象的だった。
だから「3年も自分を押し殺して生きるくらいなら、自分らしく生きるほうが有意義だ」というのだ。

なるほど。。。実に面白い^^

というのもカウンセリングに来る若い人たちの中に同じようなことで悩む人が多くなってきているのだ。

以前多くのクライエントは、ずっと我慢して生きてきてその結果として今苦しみがこらえきれなくなって症状化した、といったものが多く、私自身、上記のような言葉をかけたものだった。「やりたいことやってみれば?」「自分らしく生きてみよう」・・・

もちろん今もそのような方が多いが、若い人の中には逆に「もっと我慢しろ」と説教に近いような指導をするケースが増えてきたのだ。
彼らは「やりたいこと」「自分らしさ」の美名のもとに会社を転々としたり、人間関係を突然切り捨てたり、すぐに自分の才能に見切りをつけたりする。もう少し我慢してたらもっといろんなことが見えてくるのに、と思うことが少なくない。

「やりたいことをしたい」という背景に「やりたくないことはしたくない」という言葉が見え隠れする。「やりたくないことはしたくない」つまり「面倒くさい」「かったるい」という単なる逃げにすぎないことを「やりたいことをする」「自分らしく生きる」という言葉にすりかえている気がする。

しかし「やりたいこと」を選択したとしてもそこでまた「やりたくないこと」にぶつかるだろう。その時にまた今までと同じような選択をするのか、あるいは我慢するのか、それを決めるのに悩む人が多いのだ。そんな人がカウンセリングにきている。

彼らは本当の自分を探しているのだ。本当の自分っていったいなんだろう。そんな自分探しをしている最中なのだ。

でもそれは仕事をしていく中で徐々に確立していくことなのかもしれません。

故松下幸之助は新入社員に向けて次のようなことばを残している。

「最初はつまらないと思えた仕事も何年間かこれに取り組んでいるうちにだんだんと興味がわいてくる。そしてそれまで自分でも気づかなかった適性というものが開発されてくる」


心理カウンセリング・心の家庭教師のイル・クオーレ

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2 コメント

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「やりたいこと」を求めるリスク (kaoru)
2008-10-24 01:42:59
お久しぶりです、宮井先生。
「やりたいことをしたい」という気持ち、若い世代の一人として強く共感します。一方で、その価値観もどうだろうか、とも思います。このような快楽追求的な人生的態度は、時代と環境によるものと思います。とにかく何でもいいから職について自立するのが当たり前だった世代の人たちにとっては、今の若い人たちは根性がない、などと思われるかもしれません。個人的には、最近、社会の情報化がこうした職業的倫理観、価値観を変えているように思えてきました。ある本で読んだのですが、特に今の若い世代の人たちは、ネットからの紙くずのような情報をポケットに蓄え、悩むこと、自分で考えることを拒否している、というのです。匙で与えられる情報・知識を求め、「ああすれば、こうなる」構図を先に描いてしまって、挑戦する前に諦めてしまう。「今、ここ以外の世界」にもっといい人生があるんじゃないか(例えば外国、他の仕事)、という想定などは、メディア依存社会の涵養によるものではないか、というのも大学の先生が仰っておりました。自分にも当てはまってしまい、なんて自分は主体性も信念がないのだろう、とひどく落ち込みました。「自分探し」というのも、今の就職活動の王道的方法ですが、ほとんどの大学生がみつける答えは単純で刹那的なものだと思います。4大新卒が就職では最も有利ですが、「理想の自己イメージ」とのギャップから退職してしまうのは勿体無いですね。さらに皮肉なのは、やりたいことを本当に追求する人たち(大学院生など)が結果的に職につけない、または低収入になる日本社会の特殊な構造だと思います。…こうやってまた諦めているのもメディアの影響なのかもしれませんが。。
一度きりの人生、やりたいことをやるのも一つの考えだと思います。ただ、消費行動の個別化多様化ゆえ「自己責任」を問われる現実の社会は厳しいですね。社会人として、他人に迷惑をかけてしまうのは辛いことですが、結局、唯一救いなのは、あらゆることについて、悩むことや考えることを肯定することではないかな、なんて暢気に考える今日この頃です。
長文失礼しました。
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ありがとうございます (ひろ)
2008-10-28 01:16:18
kaoruさん、コメントありがとうございます。
ネットからの紙くずのような情報を蓄える、というのはその通りだと思います。さらに言うならば彼らはその情報をよく吟味せずに発信している。言葉だけが独り歩きしている。そんな感じがします。
情報から得た観念と経験が乖離している場合、おっしゃるとおり経験を積んでいろいろ悩むことが大事だと思います。
それを周りがサポートしていくことも大切なんでしょうね。
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