『かが元気塾』のコーディネーターを務めていただいている近藤修司先生から、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)で開講される『2009 地域再生システム論』のご案内をいただきました。先日このブログでもご紹介した『北國エグゼクティブカレッジ』にも飛び入りで参加させていただいたのですが、今回は大学院での講座。しかも土曜日が4回、朝から夕方までかかるし、毎回グループワークもあって、しかも最終回には発表もしなければならないとか。「う~ん、ちょっと難しそうだなぁ・・・」と思ったのですが、「講師は日本のトップレベルの方ばかりです」という先生の言葉にひかれて、「えいやっ」という気持ちで、申し込んでしまいました。そしてとうとう昨日(10/24)、その第一回講座が北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)で開講されたのです。
北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)と聞くと、なんだかずいぶんアカデミックで敷居が高い感じがするかもしれません。でも、このブログで今年の3/22と23の2回にわたって「伝統工芸の新しい風」として取り上げた「平成20年度産地MOT(技術経営)実践塾」も、じつはこの大学のプロジェクトのひとつです。
「伝統工芸の新しい風」(前編)http://blog.goo.ne.jp/hirano2009/e/9394d4b51d3f34b589e99a9794d909f4 「伝統工芸の新しい風」(後編)http://blog.goo.ne.jp/hirano2009/e/6ecef8cc2e2d13dccf3bab856ef1b0d4
今回の『地域再生システム論』という講座も、JAISTの学生さんたちだけが対象ではなくて、地域で頑張っておられる企業や団体、行政の方々が、JAISTという大学を核にして結びつき、実践を通して地域の活性化を図っていこう、というプロジェクトなのです。
たとえば、「白山ろくぼたん鍋プロジェクト」。これは昨年度の『地域再生システム論』に参加し、白山ろくという「中山間地」を何とか活性化できないか、というテーマで問題意識を共有したメンバーが核となって生まれたプロジェクトです。このメンバーが地域住民や農業、商工業、観光などの業界団体、そして大学や行政を巻き込んで発足させたのが「白山ろくぼたん鍋プロジェクト協議会」。「ぼたん鍋」といっても、大鍋でイノシシを料理するわけではありません。農地を荒らすイノシシ(マイナスのイメージ)を鍋の具材(プラスのイメージ)に転換し、白山ろくの地域を大きな「鍋」ととらえて、生産、加工、販売、交流といった各種の活動をも鍋の具材にみたて、活気あふれる白山ろくづくりを推進していこう、という活動なのです。
このグループが「地域再生システム論での研究成果を活かそう!」とチャレンジしたのが、国の「農山漁村地域力発掘支援モデル事業」http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/soutyo/pdf/080711-02.pdf この事業として採択されると、5年間にわたって補助金の交付を受けることができるというものです。ポイントは「自ら立案したふるさとづくり計画のもと、協働活動を実践する」ということ。「白山ろくぼたん鍋プロジェクト協議会」のみなさんは、自分たちの地域を再生し、さらに活性化させるために知恵を絞って事業計画を立案、申請にこぎつけたところ、今年の2月に無事、モデル事業として採択されたそうです。
上の写真は会場となった大講義室の様子(いずれも休憩時間中) 講座が始まると、この会場がいっぱいになります。
今回の講座では、中心となって活動されてきた代表の中山明設さんとアドバイザーの堀田哲弘さんが、このプロジェクトの取り組みについて、発表をしてくださいました。やはり実際に頭を使い手足を動かし、活動してこられた方々です。その発表からは多くのことを学べました。その中でも一番印象に残ったのは・・・
「白山百膳」を中心とするこのプロジェクトに対する補助金は、これまでの補助金と違って、その多くをあらゆるメディアを使っての広告・宣伝というプロモーション活動に使いました。あとの必要資金は、みんなの持ち寄りです。(中山代表)
「えっ、PRに補助金をほとんど使ってしまって、あとは大丈夫なのかな・・・」と思っていたのですが、中山さんのあとを受けて発表を続けた堀田さんの説明に納得。その説明とは、
プロモーション活動は、主体者の決意、覚悟を示す活動なのです。
なるほど、つまり「自分たちの地域で、何ができるんだろう」と「現状の姿」を見つめなおし、それを「ありたい姿」を宣言してしまうのですね。そのうえで、その「ありたい姿」を実現するために、個別の事業目標(「なりたい姿」)を定め、それを「実践する姿」としての活動に落とし込んでいく・・・まさに、近藤先生の提唱しておられる「四画面思考」にも通じる実践活動だと思います。
この「白山ろくぼたん鍋プロジェクト」については、新聞にも取り上げられています。
北陸中日新聞「白山ろく ぼたん鍋計画 まちづくり 4地域と先端大団結」http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/toku/genba/CK2009073102000184.html
さて、今回の講座では、この他にも、内閣府大臣官房審議官でJAIST客員教授の舘逸志先生の「温泉地と地域活性化策」、さらに(株)アセンダント代表取締役の大和田瑞乃さんの「温泉や微生物を活用した地域活性化」という発表がありました。いずれも机上の理論ではなく、事例に基づいた報告で、参加者からは熱心な質問が出されていました。その会場となった大講義室にはJAISTの学生、東南アジアからの留学生さんたちのほかにも、企業や行政、各種団体の方々がたくさん!とても大学の講義とは思えないこの講座の、裾野の広さを感じました。今後の展開がとても楽しみです。
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