日本では、首相を決めることになる、民主党の代表選挙がまもなく行われますが、誰が代表になり、どんな組閣を行うことになるのでしょうか。直接選挙ではないので、党員・サポーターではない国民は、ただ見守るしかありませんが、ぜひ政権交代へ込めた多くの国民の夢・希望を形にしていってほしいものです。
その点、フランスの大統領は直接選挙によって5年ごとに選ばれますから、国民の声が直接的に反映されやすいですね。同じ大統領の続投を望むのか、あるいは大統領を交代させたいのか・・・最終的には大統領選挙でその声が集約されるわけですが、事前の世論調査も、その時点その時点での大統領に対する国民の評価を表してくれます。この点は、日本の世論調査も同じですね。小沢内閣になった場合、支持率0%とか3%とかからのスタートになる、と予想する人もいて、これはこれで従来にないカタチで、語弊はありますが、面白い。
さて、サルコジ大統領の支持率ですが、就任当時はスタートダッシュよく、かなりの支持率を集めたのですが、息切れが早く、ここしばらくは30%前後とフランス大統領としては低空飛行が続いています。
しかも、もし今大統領選挙が行われたとしたら、あなたは誰に投票しますか、という質問に対しては、サルコジ陣営がさらにショックを受ける結果になっています。大統領選挙をはじめフランスの選挙では、第1回投票で過半数を制した候補者がいない場合、上位2名による決選投票が行われ、その勝者が当選となります。大統領選挙の場合、候補者が多く、票がある程度割れるため、通常は政権与党の候補者と野党第1党の候補者による決選投票になります(例外は、2002年の選挙で、野党第1党の社会党候補・ジョスパン氏が極右・国民戦線のル・ペン氏の後塵を拝し、決選投票に進めませんでした)。
決選投票が現職のサルコジ大統領vs社会党候補になった場合、現状ではどうなるか・・・25日のル・モンド(電子版)が紹介しています。TNS=Sofresによる世論調査によると、その社会党候補が、現在IMF専務理事を務めているストロス=カーン氏(Dominique Strauss-Kahn)の場合は、59%対41%でストロス=カーン氏の圧勝。社会党第一書記のオブリ―女史(Martine Aubry)の場合は、53%対47%でオブリー女史の勝利!
後者の場合、接戦のように思えますが、投票数ではかなりの差になります。2007年大統領選の結果が、ちょうど53%対47%でした。勝ったサルコジ現大統領と破れた社会党・セゴレーヌ女史の得票数の差は220万票。けっこうな差ですね。現状では、サルコジ大統領に再選の目はない!
もうひとつ別の調査によると・・・Ipsosによる調査ですが、次の大統領選挙に、サルコジ大統領が立候補することを希望するかという質問に対しては、62%の調査対象者が、望まない、と答えています。しかも、もし立候補した場合、勝利するだろうと予測するのはわずか38%で、敗れるだろうと思っているのは57%。この調査でも、勝ち目はない!
こうした調査結果に対し、専門家は、サルコジ大統領にとって足枷となっているのは、その示威的な態度に対する有権者の異常なまでの嫌悪感だ、と述べています。横柄な言葉使い、派手なパフォーマンスが反感を買っているというわけですね。専門家はさらに続けて、他の欧州諸国に比べて、フランスは経済危機にうまく対処しているのだが、今フランスが直面しているのは、モラルの危機だ。そしてこのモラルの危機をもたらしているのが、サルコジ大統領自身だ。たとえば、治安や移民に対する政策、特に国連からヴァチカンまでが激しく非難した、最近のロマの国外追放、そして年金受給開始年齢の引き上げを含む退職制度改革など・・・
もうひとつ別の調査、IFOPの世論調査によると、世論は治安や退職制度に関する現政権の政策に必ずしも反対ではないが、富裕層を優遇する不公平な政策を遂行する現政権とは一線を画したい! 最近では、べタンクール事件がありましたね。富裕層の、富裕層による、富裕層のための政治・・・
弱者、特に移民や高齢者を切り捨てようとしていると現政権を非難する人々。一部金持ち層が自分たちにとって都合のよい政治をしているのはけしからんと怒っている人々。日本にも、同じような思いを抱く国民が多くいるのではないでしょうか。世界同時進行の「気持ち」なのかもしれませんね。「時代」が政治家を生み、育てるのでしょうか。
こうした状況を打破するためにサルコジ大統領がすべきことは・・・専門家曰く、10月に内閣改造を予定しているが、これだけで支持率が回復できるわけではない。もっと大切なことは、任期の切れる2012年春までの、サルコジ政治のロード・マップを示すことだ。ニコラ・サルコジは、難問に直面した際、果敢に挑戦し、解決しようとすることには長けているが、場当たり的で、確かな将来計画を提示できない。これが問題だ。
ロード・マップ、あるいは計画のフレーム・ワークを提示することに長けているのがフランス人だと思っていたのですが、サルコジ大統領は、そこが弱点。長所は、その場その場で目先の難問に果敢に挑戦し、解決していくこと。これでは、まるで、日本人・・・急に、親近感がわいてきてしまいますが、フランス人にとっては、トップにはふさわしくないと思えるのでしょうね。野におけ、ニコラ・サルコジ、なのでしょうか。それでも、花を咲かせるだけ、永田町という別世界でふらふらしている人たちよりは、立派なのかもしれません。
その点、フランスの大統領は直接選挙によって5年ごとに選ばれますから、国民の声が直接的に反映されやすいですね。同じ大統領の続投を望むのか、あるいは大統領を交代させたいのか・・・最終的には大統領選挙でその声が集約されるわけですが、事前の世論調査も、その時点その時点での大統領に対する国民の評価を表してくれます。この点は、日本の世論調査も同じですね。小沢内閣になった場合、支持率0%とか3%とかからのスタートになる、と予想する人もいて、これはこれで従来にないカタチで、語弊はありますが、面白い。
さて、サルコジ大統領の支持率ですが、就任当時はスタートダッシュよく、かなりの支持率を集めたのですが、息切れが早く、ここしばらくは30%前後とフランス大統領としては低空飛行が続いています。
しかも、もし今大統領選挙が行われたとしたら、あなたは誰に投票しますか、という質問に対しては、サルコジ陣営がさらにショックを受ける結果になっています。大統領選挙をはじめフランスの選挙では、第1回投票で過半数を制した候補者がいない場合、上位2名による決選投票が行われ、その勝者が当選となります。大統領選挙の場合、候補者が多く、票がある程度割れるため、通常は政権与党の候補者と野党第1党の候補者による決選投票になります(例外は、2002年の選挙で、野党第1党の社会党候補・ジョスパン氏が極右・国民戦線のル・ペン氏の後塵を拝し、決選投票に進めませんでした)。
決選投票が現職のサルコジ大統領vs社会党候補になった場合、現状ではどうなるか・・・25日のル・モンド(電子版)が紹介しています。TNS=Sofresによる世論調査によると、その社会党候補が、現在IMF専務理事を務めているストロス=カーン氏(Dominique Strauss-Kahn)の場合は、59%対41%でストロス=カーン氏の圧勝。社会党第一書記のオブリ―女史(Martine Aubry)の場合は、53%対47%でオブリー女史の勝利!
後者の場合、接戦のように思えますが、投票数ではかなりの差になります。2007年大統領選の結果が、ちょうど53%対47%でした。勝ったサルコジ現大統領と破れた社会党・セゴレーヌ女史の得票数の差は220万票。けっこうな差ですね。現状では、サルコジ大統領に再選の目はない!
もうひとつ別の調査によると・・・Ipsosによる調査ですが、次の大統領選挙に、サルコジ大統領が立候補することを希望するかという質問に対しては、62%の調査対象者が、望まない、と答えています。しかも、もし立候補した場合、勝利するだろうと予測するのはわずか38%で、敗れるだろうと思っているのは57%。この調査でも、勝ち目はない!
こうした調査結果に対し、専門家は、サルコジ大統領にとって足枷となっているのは、その示威的な態度に対する有権者の異常なまでの嫌悪感だ、と述べています。横柄な言葉使い、派手なパフォーマンスが反感を買っているというわけですね。専門家はさらに続けて、他の欧州諸国に比べて、フランスは経済危機にうまく対処しているのだが、今フランスが直面しているのは、モラルの危機だ。そしてこのモラルの危機をもたらしているのが、サルコジ大統領自身だ。たとえば、治安や移民に対する政策、特に国連からヴァチカンまでが激しく非難した、最近のロマの国外追放、そして年金受給開始年齢の引き上げを含む退職制度改革など・・・
もうひとつ別の調査、IFOPの世論調査によると、世論は治安や退職制度に関する現政権の政策に必ずしも反対ではないが、富裕層を優遇する不公平な政策を遂行する現政権とは一線を画したい! 最近では、べタンクール事件がありましたね。富裕層の、富裕層による、富裕層のための政治・・・
弱者、特に移民や高齢者を切り捨てようとしていると現政権を非難する人々。一部金持ち層が自分たちにとって都合のよい政治をしているのはけしからんと怒っている人々。日本にも、同じような思いを抱く国民が多くいるのではないでしょうか。世界同時進行の「気持ち」なのかもしれませんね。「時代」が政治家を生み、育てるのでしょうか。
こうした状況を打破するためにサルコジ大統領がすべきことは・・・専門家曰く、10月に内閣改造を予定しているが、これだけで支持率が回復できるわけではない。もっと大切なことは、任期の切れる2012年春までの、サルコジ政治のロード・マップを示すことだ。ニコラ・サルコジは、難問に直面した際、果敢に挑戦し、解決しようとすることには長けているが、場当たり的で、確かな将来計画を提示できない。これが問題だ。
ロード・マップ、あるいは計画のフレーム・ワークを提示することに長けているのがフランス人だと思っていたのですが、サルコジ大統領は、そこが弱点。長所は、その場その場で目先の難問に果敢に挑戦し、解決していくこと。これでは、まるで、日本人・・・急に、親近感がわいてきてしまいますが、フランス人にとっては、トップにはふさわしくないと思えるのでしょうね。野におけ、ニコラ・サルコジ、なのでしょうか。それでも、花を咲かせるだけ、永田町という別世界でふらふらしている人たちよりは、立派なのかもしれません。