猿島の台地から

360度山が見えます。

【あすこの田はねえ】

2009-07-21 12:26:34 | Weblog
※猿島の台地では稲が成長し、出穂期に備えて灌水が始まっています。

思えば、中学二年生の時に【宮沢賢治様】と出逢って、私の【神様】に昇華しました。

社会に出て、初めての赴任地が岩手県花巻市豊沢町で、何かしら因縁めいたものを感じて生きてきました。

【書籍】
宮沢賢治詩集

【作品】
「春と修羅 第三集」
1082番



あすこの田はねえ
あの種類では窒素があんまり多過ぎるから
もうきっぱりと灌水を切ってね
三番除草はしないんだ


…一しんに畔を走って来て
青田のなかに汗拭くその子…


燐酸がまだ残っていない?
みんな使った?
それではもしもこの天候が
これから五日続いたら
あの枝垂れ葉をねえ
むしってとっていまふんだ

…せはしなくうなづく汗拭くその子
冬講習に来たときは
一年はたらいたあととは云へ
まだかがやなか林檎のわらひをもっていた
いまはもう日と汗に焼け
幾夜の不眠にやつれている…


それからいいかい
今月末にあの稲が
君の胸より延びたらねえ
ちょうどシャッツの上のぼたんを定規にしてねえ
葉尖を刈ってしまふうんだ


…汗だけでない
泪も拭いているんだな…


君が自分でかんがへた
あの田もすっかり見て来たよ
陸羽一三二号のはうね
あれはずいぶん上手に行った
肥えも少しもむらがないし
いかにも強く育っている
硫安だってきみが自分で播いたらう
みんながいろいろ云うふだろうが
反当三石二斗ならもうきまったと云っていい
しっかりやるんだよ


これからの本当の勉強はねえ
テニスをしながら商売の先生ら
義理で教はることではないんだ


きみのやうにさ
吹雪やわづかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
まもなくぐんぐん強い芽を噴いてどこまでのびるかわからない
それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ


ではさやうなら


…雲ならも風からも
透明な力が
そのこどもに
うつれ…

56歳の憂鬱

2009-07-10 16:40:56 | Weblog
初めて【担々麺】を食べました。
この事により新たな56歳の憂鬱が始まりました。

普通にラーメンを欲する時、ノレンをくぐって心和む場面を想像致します。

あれも食いたいこれも食いたい。
ラーメンに始まってチャーシュー麺・味噌ラーメン・中華丼・チャーハン・餃子。
メニューを選ぶ楽しさは食欲を掻き立てる猛烈な力を有します。

それが…。

メニューが無い。
ノレンが無い。
無い無い尽くしの珍しい店と出会いました。

【担々麺】

これしか提供されません。
水海道一高東側。
旧294から西の坂道を登った所。

一種類しか無いので当然メニューを選ぶ事は有りません。
唯一辛さの程度を申告するだけの極めて単純な店です。
届いたドンブリの真紅の辛味が食欲をそそります。
しかし食べたら強烈な辛さでした。

箸休めにホウレン草やブロッコリーが数個スープに浮いたり埋没しています。

掬い上げては口中を癒すのですが、吹き出る汗は止まりません。

ひき肉を拾い、麺を片付けた時に今回の憂鬱が始まりました。

果たしてスープは最後まで飲み干すか否か?

残してもどの程度で止めるのか?

食後も何度かスープを未練がましくすすり続けて、結果3センチ程残してしまいました。

この担々麺に病み付きなりそうな自分が見て取れます。