※猿島の台地では稲が成長し、出穂期に備えて灌水が始まっています。
思えば、中学二年生の時に【宮沢賢治様】と出逢って、私の【神様】に昇華しました。
社会に出て、初めての赴任地が岩手県花巻市豊沢町で、何かしら因縁めいたものを感じて生きてきました。
【書籍】
宮沢賢治詩集
【作品】
「春と修羅 第三集」
1082番
あすこの田はねえ
あの種類では窒素があんまり多過ぎるから
もうきっぱりと灌水を切ってね
三番除草はしないんだ
…一しんに畔を走って来て
青田のなかに汗拭くその子…
燐酸がまだ残っていない?
みんな使った?
それではもしもこの天候が
これから五日続いたら
あの枝垂れ葉をねえ
むしってとっていまふんだ
…せはしなくうなづく汗拭くその子
冬講習に来たときは
一年はたらいたあととは云へ
まだかがやなか林檎のわらひをもっていた
いまはもう日と汗に焼け
幾夜の不眠にやつれている…
それからいいかい
今月末にあの稲が
君の胸より延びたらねえ
ちょうどシャッツの上のぼたんを定規にしてねえ
葉尖を刈ってしまふうんだ
…汗だけでない
泪も拭いているんだな…
君が自分でかんがへた
あの田もすっかり見て来たよ
陸羽一三二号のはうね
あれはずいぶん上手に行った
肥えも少しもむらがないし
いかにも強く育っている
硫安だってきみが自分で播いたらう
みんながいろいろ云うふだろうが
反当三石二斗ならもうきまったと云っていい
しっかりやるんだよ
これからの本当の勉強はねえ
テニスをしながら商売の先生ら
義理で教はることではないんだ
きみのやうにさ
吹雪やわづかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
まもなくぐんぐん強い芽を噴いてどこまでのびるかわからない
それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ
ではさやうなら
…雲ならも風からも
透明な力が
そのこどもに
うつれ…
思えば、中学二年生の時に【宮沢賢治様】と出逢って、私の【神様】に昇華しました。
社会に出て、初めての赴任地が岩手県花巻市豊沢町で、何かしら因縁めいたものを感じて生きてきました。
【書籍】
宮沢賢治詩集
【作品】
「春と修羅 第三集」
1082番
あすこの田はねえ
あの種類では窒素があんまり多過ぎるから
もうきっぱりと灌水を切ってね
三番除草はしないんだ
…一しんに畔を走って来て
青田のなかに汗拭くその子…
燐酸がまだ残っていない?
みんな使った?
それではもしもこの天候が
これから五日続いたら
あの枝垂れ葉をねえ
むしってとっていまふんだ
…せはしなくうなづく汗拭くその子
冬講習に来たときは
一年はたらいたあととは云へ
まだかがやなか林檎のわらひをもっていた
いまはもう日と汗に焼け
幾夜の不眠にやつれている…
それからいいかい
今月末にあの稲が
君の胸より延びたらねえ
ちょうどシャッツの上のぼたんを定規にしてねえ
葉尖を刈ってしまふうんだ
…汗だけでない
泪も拭いているんだな…
君が自分でかんがへた
あの田もすっかり見て来たよ
陸羽一三二号のはうね
あれはずいぶん上手に行った
肥えも少しもむらがないし
いかにも強く育っている
硫安だってきみが自分で播いたらう
みんながいろいろ云うふだろうが
反当三石二斗ならもうきまったと云っていい
しっかりやるんだよ
これからの本当の勉強はねえ
テニスをしながら商売の先生ら
義理で教はることではないんだ
きみのやうにさ
吹雪やわづかの仕事のひまで
泣きながら
からだに刻んで行く勉強が
まもなくぐんぐん強い芽を噴いてどこまでのびるかわからない
それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ
ではさやうなら
…雲ならも風からも
透明な力が
そのこどもに
うつれ…