自民党の憲法改正案には第9条以外にも、いくつか改正点がありますが、新たに条文が加わったのが「新しい人権」に関するものです。具体的には(1)名誉権(2)プライバシー権(3)肖像権(4)知る権利(5)犯罪被害者の権利などがあげられています。
いままでの基本的人権に加えるかたちで「新しい人権」が条文に規定されることはいいことだとは思います。しかし、(それぞれの「人権」について)その必要があるのかどうかは別に検討しなければならないでしょう。
たとえば、いま国会で物議をかもしている「人権擁護法」という法案がある。その名もずばり「人権」を擁護するための法律ということだが、とんでもない人権を抑圧する法案だという人もいる。
人権擁護法(じんけんようごほう)は日本の法律案(2005年11月現在)。日本国憲法第14条には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあるものの、被差別者の人権を守る実効的な法律が無い日本では初の人権擁護を目的とする法律案である。
この法案は、2002年の第154回国会に提出され、2003年の衆議院解散の際に廃案となった法案だが、2005年2月、突然政府・与党が一部修正を加えた上で再提出する方針を固めた。しかし、自民党内で反対意見が噴出。自民党執行部は、2005年7月に第162回通常国会での法案提出を断念した。だが、自民党の中川秀直国対委員長は2005年9月18日に放送されたサンデープロジェクトで法案が再提出されるであろうと言う見通しを示し、同年9月29日の参議院本会議では民主党の神本美恵子議員の人権侵害の問題に関する質問に対して、小泉純一郎総理が「人権擁護法案を、出来るだけ早期に、提出出来るように努めて参ります」と答弁して法案成立に意欲を見せた。
この法律案により設置される行政機関である人権委員会(仮称、以下同じ)に対して、その権限の大きさ、委員の選出過程の不透明さなどが批判の対象となっている。これについては国連人権小委員会より提案された国内人権機構の地位に関する原則に沿ったものとなることが求められている。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用)
<法案の抜粋>
第三条
何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一 次に掲げる不当な差別的取扱い
イ 国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ロ 業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)
二 次に掲げる不当な差別的言動等
イ 特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
ロ 特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
三 特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として
前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として
前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為
(引用終わり)
さて、この法案のどこが問題なのか考えてほしい。とくに、「差別的言動」に対する措置はどのような人権上の問題を含むことになるのか。(つまり、差別用語を使っただけで処罰される、というのは問題ないのか?)
いままでの基本的人権に加えるかたちで「新しい人権」が条文に規定されることはいいことだとは思います。しかし、(それぞれの「人権」について)その必要があるのかどうかは別に検討しなければならないでしょう。
たとえば、いま国会で物議をかもしている「人権擁護法」という法案がある。その名もずばり「人権」を擁護するための法律ということだが、とんでもない人権を抑圧する法案だという人もいる。
人権擁護法(じんけんようごほう)は日本の法律案(2005年11月現在)。日本国憲法第14条には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあるものの、被差別者の人権を守る実効的な法律が無い日本では初の人権擁護を目的とする法律案である。
この法案は、2002年の第154回国会に提出され、2003年の衆議院解散の際に廃案となった法案だが、2005年2月、突然政府・与党が一部修正を加えた上で再提出する方針を固めた。しかし、自民党内で反対意見が噴出。自民党執行部は、2005年7月に第162回通常国会での法案提出を断念した。だが、自民党の中川秀直国対委員長は2005年9月18日に放送されたサンデープロジェクトで法案が再提出されるであろうと言う見通しを示し、同年9月29日の参議院本会議では民主党の神本美恵子議員の人権侵害の問題に関する質問に対して、小泉純一郎総理が「人権擁護法案を、出来るだけ早期に、提出出来るように努めて参ります」と答弁して法案成立に意欲を見せた。
この法律案により設置される行政機関である人権委員会(仮称、以下同じ)に対して、その権限の大きさ、委員の選出過程の不透明さなどが批判の対象となっている。これについては国連人権小委員会より提案された国内人権機構の地位に関する原則に沿ったものとなることが求められている。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用)
<法案の抜粋>
第三条
何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一 次に掲げる不当な差別的取扱い
イ 国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ロ 業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)
二 次に掲げる不当な差別的言動等
イ 特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
ロ 特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
三 特定の者に対して有する優越的な立場においてその者に対してする虐待
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として
前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として
前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為
(引用終わり)
さて、この法案のどこが問題なのか考えてほしい。とくに、「差別的言動」に対する措置はどのような人権上の問題を含むことになるのか。(つまり、差別用語を使っただけで処罰される、というのは問題ないのか?)