その他ニュース
写真:WHOは主要国が火花を散らす舞台になっている=ロイター 「テドロス博士への公開レター」。そんな表題の動画が世界的な反響を呼んでいる。9日にユーチューブにお目見えしてからの再生回数は21日までに175万を超えた。宛先は世界保健機関(WHO)のトップ、テドロス・アダノム事務局長。差出人は英国に留学中の台湾人女学生、ヴィヴィ・リン(林薇)さん。前日の記者会見で事務局長が「いわれなき非難」を台湾に浴びせたとして、訂正と謝罪を求めている。たしかに8日のテドロス氏の発言はひどかった。3カ月前から脅迫や人種差別的な攻撃を受けている、としたうえで、具体的には「台湾から来ている」と述べたのである。台湾の外交部(外務省)がそうした攻撃に関与している、とも示唆した。なんら根拠を示さない、いわば一方的ないいがかりに近い。当然のことながら台湾外交部はすぐに反論し、訂正を求めた。蔡英文総統は訂正を要求すると同時に、事務局長を台湾に招待したい、と表明した。「ご自分の目で台湾を見ていただきたい」と。不可解なのは、なぜテドロス氏が国際機関のトップにふさわしからぬ台湾攻撃に踏み切ったのか、である。 その後は台湾について沈黙していることもあり、発言の真意は謎である。ただ、背景にWHOにおける台湾の地位という政治問題があるのは、容易に推察できる。親中派の馬英九氏が総統だった2009年から15年まで、WHOは台湾を総会のオブザーバーとして招待した。だが、中国と距離を置く蔡英文政権が発足した16年以降は招待を取りやめている。これに対し日本や米国などは、感染症対策に「地理的空白」が生じるのは適切でない、といった理由を掲げオブザーバー参加を支持してきた。新型コロナウイルス対策で台湾が大きな成果をあげているため、そうした声は一段と高まっている。いうまでもなく中国は反対の立場だ。WHOは毎年5月に総会を開く。今年はテレビ会議方式になるとみられるが、やはり来月の開催が見込まれる。そこに台湾のオブザーバー参加を認めるか――。WHOは今まさに主要国が火花を散らす舞台となっているのである。常軌を逸したテドロス氏の発言も、板挟みの苦境の表れと解釈できるかもしれない。(* 日経 記事より)
その他ニュース(04/22_夕) | ||||||||
国際 | ||||||||
企業 | ||||||||
科学IT | ||||||||
国内 | ||||||||
市場 | ||||||||