一昨日、SONYの携帯オーディオWALKMAN開発者に光をあてたTV番組を見て疑問に思ったのでコメント。
昨年の8月第4週(24-30日)と翌第5週(8月31日-9月6日)の2週にわたってWALKMANがシェア1位を獲得したことは一般紙でもそれなりの記事で報道された。
ソースは「デジタル生活応援サイトBCNランキング」の携帯オーディオ主要メーカー別販売台数を週次でまとめたデータである。
上記サイトでもコメントされているが、WALKMANが1位を取った時、iPodは新製品の発売をひかえていたため市場への提供をその分おさえたというのがシェア逆転の大きな理由である。
がしかし、番組ではWALKMANが新製品を戦略的に発売し(これは事実)、それが功を奏しシェア1位を獲得したのはそれが主たる要因であるかのような解説がされた。
これは明らかに偏向報道である。
実際、同データによればiPodが新製品を発売した直後の9月第4週(9月28日-10月4日)にはiPodが68.3%、WALKMANが22.7%で45.6ポイントの差。
iPodの圧勝(直近の12月第1週(12月7日-13日)では、iPodが54.5%、WALKMANが37.7%で16.8ポイント差)である。
更にiPodの販売台数について言えば同機能を持つiPhoneの台数は含まれておらず、iTunes Store(アップルが運営している音楽配信、動画配信、映画配信、映画レンタル、アプリケーション提供などを行うコンテンツ配信サービス:Wikipedia)につながる端末の台数という本来の見方からすればその差はもっと大きくなる。
もともとネット配信、パソコンとの親和性にいち早く着目しiPodを開発したApple社だが、以前であればこの手の製品化はSONYが得意としていたはず。
どちらの会社にも個人的な恩義は無いが、Mac PC以外これといった製品の無いApple社がSONY社を完全に出し抜いたこと、一方のSONYは民生分野の凋落が目立ち開発当時の企業力の差がそのまま現在の製品シェアにあらわれていると思う。
またWALKMANに音楽ダウンロードするmoraには殆んどの音楽レーベルが配信をしているがiTune StoreにはSME(Sony Music Entertainment(Japan) Inc.のこと。アメリカのSONY MUSIC ENTERTAINMENTとは別)のソフトが未だ配信されていない。
多くの人気ミュージシャンを抱えるSMEがiTune Storeには音楽提供していないのだ。
moraでダウンロードした音源は一度CDに落としてからiPodに入れることはできる(他の方法もあるかもしれない)が、メジャーレーベルであるSMEがそれを確信的に行っていることはとても嘆かわしいことである。
この状況は一般のユーザーにとってとても不幸なことであると同時に音楽を演奏しているミュージシャンにとっても手軽に音楽提供できる筈のネット配信の利便性が損なわれているため発売枚数(って言わないか?)にも大きく影響していることが容易に想像できる。
ゲームソフトと同じ感覚で音楽ソフトを扱ってはいけない。
携帯オーディオのシェア争いにおける利害関係を音楽配信の制約をしてまで優位に立とうとするSONY社の姿勢は企業としての社会的責任も問われるべき。
※1月23日 7:49 一部加筆修正