山の頂から

やさしい風

一期一会

2008-06-09 06:00:12 | Weblog
桜の頃に90歳代のご婦人から電話を貰った。
20年前に訪れた太平山。店名がうろ覚えなのだが、どうしても行きたい。
県の観光課に電話したが埒があかず、栃木の観光課を紹介されたと仰る。
その口調は矍鑠たるもので、決して痴呆老人ではないことは明らか。
電話口に出た夫は何度もそう言った。
 だが、シーズン中にそのようなご婦人はみえなかった。

 そして今日、腰のひどく曲がった老婦人が大きな車から降り立った。
連れの女性が、年寄りを待たせて呉と言い残し神社に向かった。
かなりお年を召しているとは感じたが、口調のしっかりした方だった。
お茶を差し出すと、4月に電話をした者だと仰った。
色々あって、やっと訪ねて来ることが出来たと重ねた。
桜川市からお越しらしい。懐かしい~懐かしい~と何度も仰る。

 娘さんが中々戻られないのを気にした様子に、心配ないからと宥める。
漸く戻られてホッとしたのか、焼き鳥を美味しそうに食べ満足した様子。
名物を土産に求め、帰り際に生きていたら、もう一度来るからと言われた。

 人生の出会いは【一期一会】を旨とすと、何かの本で読んだ記憶がある。
92歳だと言い残して車に乗ったその方に、必ずもう一度お越し下さいと
声をかけ、角で見送った。

 【一期一会】という言葉に重みを感じた日であった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿