おどるなつこ 「あしおとがきこえる?」

タップダンサー・振付家おどるなつこの日常から浮かびあがることばを束縛せず書きとめています。2005年開設。

文化芸術の役割

2017-03-14 | おすすめ!
3月5日まで4か月にわたり市民参加公演の振付としてかか渡せていただいた、岐阜県可児市文化創造センターalaの館長が”28年度芸術褒章文部科学大臣賞/芸術振興部門”を受賞された。確か本日が授賞式だったと思います。これまでの細やかな仕組み構築が認められたということ、本当におめでとうございます。

このことは、未来に向かって、とても大きな意味があると感じる。公立の劇場が、お金持ちだけでないすべての人が広く芸術に触れる機会をつくる町の拠点になる、という姿勢が国に評価されたのだ。

受賞理由/alaサイト


アーラのサイトには、とてもわかりやすく、こう書いてあります。

「元気なまちづくりとは何か。それは“市民が元気なまち” をつくることだとアーラは考えます。人々が出会い、思い出を共有し、お互いを理解する。そこから新しい絆と活力が生まれてきます。高齢者、子ども、外国人、障がい者といった様々な人々が住むこの可児市で、アーラは文化芸術の持つ力で市民に元気と明日への希望を届けています。」


劇場がまちづくりを打ち出して実践しているのです。
その理念通り、alaにはいつも可児の町の人が集っていたのでした。


* * * * *


日本の貧富の差がどれほどか、あまり感じていない人も多いようだけれど、貧困家庭の子は義務教育後の進学すら難しいし、ましてや文化芸術に出会うチャンスは非常に少なくなる。
でも、本当に日々に困っているようなときに、人を助けてくれるのは、定期的なお金か、創造力&想像力なのである。少しのお金があっても、創造力と想像力が育たないと、何かを生み出してはいけないのだから。

子育て仲間は知っていることだが、私は子育て中のある一年半ほど、離婚と借金と病気が重なって生活保護を受けた。毎月ずらっと並んでお金をもらいに行き、並んでいる人に丸聞こえの衝立越しに生活状況を細かに尋ねられ、パトロンなどがいないか確認する家庭訪問もある。屈辱的に感じたが、他の人の働いた税金で子が助けられるのだから......本当に助かった。そしてその間にママ友たちの助けもあって生計を立て直すことができたのだ。まだ十分受給資格内ですよ、と言われながらも、目処をつけて保護を抜けられたのは、ママ友らに子を預け、ダンスを仕事にできたからである。

そういう経緯もあって、飽和気味の都内ライブよりも、大した収入にならなくてもアウトリーチを長年やってきた。
「ダンスが社会にできること」を考えながら。小さな仲間による小さな輪で大きな影響力とはなれていないのだが。

我が家は救われたが、外国籍だったり、未認可難病だったり、見逃された軽度発達障害だったりして、制度の穴に落ちてしまう人もいる。
そんな生活環境の違いにさえ気付きにく無意識に分断されている日常に、ふと気づけるチャンスを作りたかった。

誰でもが、ふっと文化芸術と出会える場所が、すべての町にあったらいいのにと願っています。

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