花がいっぱい。

どんな花も無心に
咲いているから素敵なんだって。
無心になんかなれないよ。
どれもこれも気になっちゃってるんです

錦秋名古屋 顔見世

2014年10月24日 | 歌舞伎
御園座の入る建物ただ今建て直し中とのことで
名古屋の顔見世は、今年も日本特殊陶業市民会館。
初めてでかけましたが、御園座に比べると古いけど規模としては観やすいのかもと思ったのが最初の印象。
18日土曜日通しでみてきました。

昼の部
「車引」が、序幕
松王丸 権十郎
梅王丸 亀三郎
桜丸 梅 枝
杉王丸 萬太郎
藤原時平 團蔵

顔見世とは銘打ってるけど花形ともつかずアンダー的な感じのする配役での車引。
はじめ登場した梅王丸と桜丸。新鮮さがあり、声も堂々として、
亀三郎の梅王丸は、元気がよく、桜丸の梅枝に上品さがあるけど、
共に芝居として、もう一つ心が欲しい。というのは、ちょっと変なのだけれど、いちばんほしいところの魅力に欠けてるのね。
場数、経験不足とうことが大きいのかも。とくに亀三郎。
この人もっと芝居できるんじゃないのかな、ってくらいに
今回は、パターンは出来てるけど。。。。
ファーストフード店で「いらっしゃいませ」「なにになさいますか?」の基本形はあるものの、気持ちが入ってない!ってよくいわれるじゃないですか。
あれにちかいんですよね。梅王丸って芝居にもっと入ってもいいなじゃいか?って
思わず。
若手2人に対し杉王丸の萬太郎のやんちゃさぶりがよかったかな。
あまりにも我が道をいってしまう若手芝居もいやだけど、お行儀よすぎてやることだけやってるのもな。と今回思わず。

「棒しばり」
次郎冠者  松緑
曽根松兵衛 亀寿
太郎冠者  菊之助
こちらは、曽根松兵衛の亀寿が新鮮なんだけれど、これまた行儀が良すぎて二人の主人にみえず。
太郎冠者や次郎冠者にいっぱいくわせようという主人のしたたかさがほしいかんじ。
一方、太郎冠者や次郎冠者の松緑、菊之助は、二人で踊る回数もおおいいだろうし、次郎冠者の松緑は、回数も重ねて、舞台に華だけでなくコミカルさを十分に見せてくれていた。
滑稽さ、コメディというものの、あざとくてもいけないわけだが、一生懸命さが妙にみえてもいけないという難しいものだと思う舞台。
そこを今迄ポイント、ポイントには、滑稽さをみせていたものの、つなぎの時点でふと力がぬけて酔っぱらいでなくなっていた松緑。
今回はまさに酔っぱらいがおもいっきり楽しんでいるようで踊りも謡も巧みにこなしていた。ゆえにこちらも本当に楽しい。
観てる方に力が入らない。リラックスして笑える舞台にしてくれていた。
そして思わず、ジャッキーチェンの酔拳が頭に浮かんだ私。

「人情噺文七元結」
左官長兵衛 菊五郎
女房お兼 時蔵
角海老女房お駒 菊之助
手代文七  梅枝
娘お久 右近
角海老藤助 團蔵
鳶頭伊兵衛 松緑
和泉屋清兵衛 左團次
これこそ菊五郎の数ある中の代表作の一つじゃないか?ってくらい菊五郎の長兵衛さんは江戸っ子かたぎで左官屋として腕はあるけど、遊び好きって姿が、板についてる。
出てきたとたん、この人何かやらかしゃったね。
家にもどったとたんのおっかあとのやりとり。
立て板にみずのごとくぽんぽんぽんよくしゃべる。
登場人物の現在の状況をみているものに理解させてくれる。
長屋にすんでておおやさんをはじめいたるところに借金あり。近所でも評判のしっかりした娘が一人いる。そのしっかり者の娘が朝から家をでてかえってこない。
みんなが探しているのにのんきのもので、長兵衛は遊んで帰ってきた。

ってこの文七元結三遊亭圓朝の創作落語っていうんだから落語の巧みさすごいねえ。って落語じゃなくて、この舞台。
今迄なら菊之助が手代文七を演じてたところ、今回菊之助は角海老女房お駒というのだからやはり時が経ってるんですねえ。
ってだったら長兵衛さんのおっかあお兼って役もあるけど、菊之助はおっかあって感じがしない。なんだろう?それこそ姉の寺島しのぶさんだったらばっちりこなしそうなのね。
遊び人の父親に50両というお金っで借金を返し、しっかり働いて娘を引き取りにこいっていう女将さん。

この女将さんにほだされて50両かりて替える途中、身投げしようとするの若造にであってしまって、ここでまた江戸っコ長兵衛さんの粋すぎる人の良さがでて「人の命は金じゃかえねえ」って50両って大金渡しちゃうのは、ばくちでもぽーんとつぎ込んじゃう性格がここに出てるのね。

ありえない人の良ささけど、ここをありえないんじゃなくて、長兵衛さんならやちゃうってところを自然に見せる菊五郎。

いい人っていう人の前にこの人らしいって思わせる。
で家に帰って、おっかあに大家さんも入って、ひと騒動おきてるところに
昨日の若者が主人と主に飼ってくる。

この主人を左團次。ここが又いい人醸し出してるんですよね。

昼の部 3本充実しておりました。
ただしここでこの劇場やはり古い。
トイレまわりに古さをかんじたものの、
換気が悪いのか、食後の会場。弁当のにおいが、充満。なかにいると気がつきにくいけど1度外に出てなかにはいるとプーン。ってね。

また役者さん達がなにげに、咳をしてるのも乾燥のせいかな?っと。

このホール、当日大きいホールで、さだまさしが、コンサートしていたけど、コンサートとして1日まあ3時間がいいところかなって雰囲気。

役者のみなさん健康維持につとめてください。って昼の部で思ってしまい外に出た。

夜の部 
「十種香」
見た目は美しい。
でもなんで時蔵の八重垣姫に、勝頼の菊之助、濡衣の梅枝だったのかなあ?
時蔵の八重垣姫っていうのが、若造の勝頼になんてほれてる?年上女が若造に手をだすか?ってみえてしまったのは、眠たさもあったのだけろうけれど、魅力をそそられず。
菊之助って綺麗なのにどうしてそれ以上ないのかな?って宝塚の男役さんの清潔さが先に立ちきれいだけどさあ、という前にすでに睡魔に襲われてまあいいっか。で休憩に。

その次は「身替座禅」
これ、たのしいって期待のわりにまあまあか。

最後の「伊勢音頭恋寝刃」
むむっ。仁左衛門の貢よかったよなあ。團十郎さんもけっこうよかったかも、と過去を思い出してしまったこの舞台。

なんだろう、貢は、忍ができてる人だけど、ふとしたはずみで狂気をみせて事件はおこる。
その狂気も自分のなかの狂気というより刃物の力によるものでってある種オカルト芝居
この見せ場が菊之助綺麗だけど、スイッチの切り替え弱い。
数こなせばいいのかな?

昼に比べて夜はちょいっとものたりないそんな気持ちで錦秋名古屋 顔見世をみてきました。