創造せよっ!

アップル社とアイポットのクリックホイールの件で特許訴訟中の発明家齋藤憲彦が物申します。主に延々と続いている訴訟について。

クリックホイールになる前のタッチホイールとの出会い。

2014-10-11 20:23:52 | 訴訟
富士河口湖のおサルさんから

皆さんごきげんよう

前回からの続き

それからどのくらいが経過したであろうか、
ぼんやりと、自分の出願した接触操作型入力装置も全部で6本もあるし、6本分の請求項も合計で100を超えているから、審査請求なんて自分でする資金はとうてい出せないし、もうすぐ審査請求期限切れだし、こりゃあこの特許はゴミ箱行きだなぁと、頭の中でゴミ箱の中に入った特許公開公報をイメージしながら考えていたのであった。

ところが、ある日、東京へ出向いて、友人のうっちゃんとファミレスで食事をしていた。
すると、うっちゃんが、斉藤さんこんど僕こういう物買ったんですよと、
リング状のタッチセンサーのついた旧型のIPOD(クリックホイールになる前のタッチセンサーで出来たリングのついたやつ)を見せてくれた。
そして、その便利な使い方の講釈をしてくれたのである。
そして、その装置を見せられた私は、一瞬声を失った。
驚いた事に、そこには、自分の発明のコンセプトをそのまま実体化させた製品があったのである。
「クリックホイールになる前のタッチホイールの時点ですでに私の出願書類ではそれもカバーされていた。」
少しそれをさわらせてもらいながら、やはり、これは私のコンセプトそのものだと確信していた。
そして、なぜか、あきらめともつかぬ情けない気持ちになったのである。
”やれやれ、ついに俺の発明も、大手の企業に無断で使われちゃって、世の中が私に追いついてきちゃったんだな”と。
まったく、戦意が起こらなかったのであった。

たぶん、当時は、M電子部品の営業も失敗して、まったく人生に手がかりを失い、次の発明も考えてはいるものの、出願する気力も失い落胆の日々が続いていて、気力が萎えていたのだと思う。どのくらい気力が萎えていたかというと、当時住んでいた河口湖を一周して対岸に行ってみたことも無かったのである。まるで出かける気力も金も無かったのだ。

そういう事があってからしばらくして、東京の母から電話があった、カテキンを使った洗浄剤がテレビCMに出ている。
その会社に問い合わせて特許出願番号を伝えて検討してもらっている。と、
”これはあたしの特許だから、なんとか手をうってくれ”というので、”まだ審査請求していないのだから、審査請求しなくちゃ駄目だよ”と答えると、”じゃあさっそくやってくれ”と言う。
ものすごい戦闘的バイタリティである。
そのバイタリティに影響を受けて、そういえば、俺も接触操作型入力装置という物がIPODに使われていたなと思い出したのである。いっちょやってみるかと言う気になってきた。

それで、まだ一度も審査請求というものをやったことがなかったので、河口湖から一番近い発明協会をさがしたのである。
あったあった、甲府に発明協会がありました。(正確には、山梨県工業技術センター内、山梨県知的所有権センター)
それで、甲府の発明協会に行って相談してみることにした。
すると、甲府の発明協会のリサーチアドバイザー(正確には、特許情報活用支援アドバイザー)の方が、甲府の商工会議所でやっている発明相談会で弁理士の先生が相談に乗ってくれるから、そこへ行って相談にのってもらうとよいと教えてくれた。そして、相談会の日にちと場所と時間、申し込み連絡先を教えてくれたのである。
さっそく、スケジュール通りの日にちに予約をいれて、相談会にいってみた、
弁理士の浅川先生がいた。
まず、母のカテキン入り洗浄剤の特許公開公報を見せて、内容の説明を行い、どうでしょうと尋ねると、過去の出願の中に同じ物があるか調査しなくてはならないでしょう。と
そして、“まあこんな簡単な物だから、だめじゃないですかねぇ”と言うと、”まあやってみない事もないでしょうな”との回答である。
淡々と、質疑応答が続いたのである。
それが終わって次に、”これは母が考えた物なんですが、私が考えた物もあるんですよ、
実は、これは今アップルさんが発売していて話題のIPODのリング状の入力装置とその小型携帯端末の特許なんですよ”と、ついでに持って行った自分の方の出願書類6通を見せてみたのである。
それで、”ほら、この請求項の何番を読むと確かにタッチホイールの機能構造を包含してますでしょ”と、言うと、
渡した公開公報を読みながら、
”あっホントだ、たしかにこれはIPODのまるいとこの入力装置の事を言っているね、
斉藤さん!すごいのも出してるぢゃないの!”と、
さっきまでの調子とはうってかわって、驚いた様子で、のたまわった。
実は、その様子を見て、このとき私もうれしかったんですよ。しかも自信が出てきて勇気百倍。
とりあえず、相談に乗ってくれたお礼を言い、その場を辞し帰宅した。

そして、甲府の発明協会にはその後、何度か行くことになった。
まず、リサーチアドバイザーの方に相談に乗ってもらって、カテキンの関連する過去の特許の調査の方法を教わり、おいてある調査用のデータベース端末を使ってリサーチしてみた。
すると、なんてこった、こちらの出願半年前に、カテキンを使った洗浄剤の特許らしき物の出願情報がヒットしてきたのである。
残念でした。
次に、接触操作型入力装置の特許の情報をリサーチしてみた、いろいろと出てきたけれど、ど真ん中をついて、同じ物は見つからなかったのであった。
そして、今私の持っている特許はアップルのIPODの特許であって、アップルとライセンス契約をしたいのですと力説すると、事情をわかってくれて、それでは、企業と特許権者の橋渡しをすることが担当の特許流通アドバイザー還田さんを紹介してくれた。

さらに、あくまでも特許情報検索のスペシャリストではない私がリサーチしてみただけなのでこころもとない。そういってリサーチアドバイザーの方に相談すると、プロに頼んでリサーチするとかなりお金がかかるのだと言う。
とりあえず、その日はそれで帰った。

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