詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

4回目ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』

2017-09-24 20:22:10 | 日記
東京公演も残すところ10回となったミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』の4回目を観てきました。ビリー役は世界最年少のビリーである木村咲哉くん。初ビリーも彼でしたが、その時はプレビュー公演の彼の初日。もう2か月前になります。

子供の成長とは凄いもので、初日とは比べものにならないほど素晴らしいパフォーマンスで驚きました。芝居も上手くなっていて登場した時から、最愛の母親を亡くし孤独感が漂っているの伝わってきました。ただ登場しただけだった7月とは比べものになりませんでした。実際にお客様の前に立つ事がいかに大切で成長を促すものか思い知らされました。

木村咲哉くんは、アクロバットが得意なようで振付にもふんだんに取り入れられているので派手な分、観客の受けはいいように思いました。タップダンスは他のビリー役と比べると幼い分力強さが足りないように感じました。それはタップダンスが怒りの表現に非常に適していると気がついたからです。

床を踏みしめる。床を蹴る。それだけで感情が表現できるダンスでした。バレエで同じことをしようとすると物凄いテクニックが必要ですが、タップダンスなら子供でもある程度はなんとかなるようです。

そして劇中の台詞にも出てくるようにテクニックだけではなく、何故踊りたいのかという気持ちが大事だということを今日のビリー役から教えられたような気がします。テクニックは後からつけることが可能ですが、ダンスへの情熱がなければ何事も始まらないですね。

物足りなく感じたのは、バレエの初心者のビリーのバレエが上達していく過程をもっと丁寧に描いて欲しいと思ったこと。炭鉱夫と警官隊の対立と子供達のバレエが交錯して踊る場面ではあるのですが、衣裳の変化で時間経過を表しているとはいえ、いきなりの上達が唐突だったかも。

父親のスト破りも、もっと葛藤があってもいいのではないかと思ったくらい盛り上がりに乏しい気がしました。

潔いと思ったのはウィルキンソン先生の二流の教えを忘れて、新しいバレエを一から吸収するように諭す部分。普通は自分の教えを守ってとか言ってしまいそうですが。

全体的に芝居もダンスも締まって完成度が高いです。あと1週間で東京公演が終わり、大阪公演以降は再演がしばらくないのは残念です。