
今回の「かもめ」----キャストが贅沢です

主人公の「トレープレフ」----生田斗真
父親がいない環境での
母親へ対する愛の大きさも、今回のお芝居の鍵
恋人ニーナへの失恋で最後には命を自ら断つのですが
もしかすると それはだれかに愛されたい思い
の強さによる究極の自己愛ではないかと
思われます・・・
生田斗真さんがまた純真に、悩めるトレープレフを演じています。

トレープレフの母親「アルカージナ」-----大竹しのぶ
本能に素直な女性----それは、息子より愛人トリゴーリンへ
常に意識が向いている事からも分かります

トレープレフの恋人「ニーナ」------蒼井優
女優志望で、アルカージナの愛人、作家トリゴーリンに恋をして
しまいます。最後はトリゴーリンとその子供も失い
トレープレフにも自ら別れを告げるのですが
女優として生きる、自分の人生の目的を全うしていく
強さを見せてくれます

そして「トリゴーリン」-----野村萬斎
作家である彼は、
書かなければ・・・という意識にいつも囚われ
取り憑かれています
アルカジーナやニーナの愛以上に
彼にとっては、大切なものがあるようです。。。
これは、チェーホフ自身の分身です
かもめの登場人物には大抵、実在のモデルとなるひとがいます
トレープレフはニーナと母親が大好きで 母親とニーナはトリゴーリン
に夢中になり----その他の登場人物も
思いが空回りし、まったく噛み合うことがないのです。。。。
生田斗真演じるトレープレフ、蒼井優演じるニーナ、いずれも
(かもめ)のように
若くて自由に空を飛び回りながら
まったく違った人生を選択していきます。。。
医学部を卒業したチェーホフは、医師として働きながら
作家活動を続けるのですが、30代に手がけた「かもめ」
がぺテルブルクで大失敗します。
「たとえ700年生き永らえようとも
もう戯曲は書かない」とその時、
彼はこころに決めたといいます
しかし、2年後、モスクワの前衛的、演劇集団の公演で
「かもめ」が演じられ、それが大成功をおさめるのです
そこからは周知のとおり、伝説的 劇作家チェーホフの誕生でした。
44歳で亡くなった若き作家はそれまでに
言わずと知れた
多くの名作を生み出します。
「人生をあるがままに描く」と言っていた作家は
医師として働く傍ら「孤独と自由」を
人生の本質と捉え、そこに必要なものが「ユーモア」
であると感じていたようです。。。
これが「かもめ」が喜劇といわれる所以であり
人生は一生懸命生きるほど滑稽なのかもしれません。
しかし、どうせ生きるなら少し 滑稽なくらいがいいですよね。。。。
登場人物の一部分に、自分や周囲の人物を重ね合わせ
------100年以上にもわたって、観客はこの
戯曲に夢中になってきたのかもしれません
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