HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第614話≪「学部6年制度」の薬学部とは≫

2008年10月17日 | 時事用語
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、日本の薬学部が「6年制度」を取り入れて、3年が経過しましたね。

 日本の医療関連に従事する人々はこれで大体「6年制度」に入ったでしょう。即ち、医学部、歯学部、獣医学部、薬学部のみが「学部6年制」をとり、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師という医療専門家を育成することを目的とする学部です。

 「学部6年制」をとっている理由は、座学で覚えた知識を実際の診断・治療に適用するために、病院での実習が欠かせないからです。

 しかし、薬学部のみ「6年制」と4年制」があります。

 「6年制」は、医療現場などで働く高度な薬剤師の養成が目的です。「4年制」は、医薬品の研究開発者や医薬品情報担当者(MR)の養成が目的です。

 この両制度を設置している大学の中には、入学後に選択できるところもあります。しかし、受験生のみなさんは、大学受験の段階で慎重に自分の将来を考えて選んでおくことが重要ですよ。

 「6年制」は薬剤師に求められる専門性が、もはや4年間では学びきれないほど高度になってきており、医療現場における薬剤師の役割の変化が現われてきております。

過去の薬学部卒業生は、その後資格を得る国家試験を受け、病院、薬局で薬剤師として調剤をする人、製薬企業で医薬品開発に関わる人、公務員として開発した薬の認可に関わる人、医薬品情報を病院・医師に伝え、購入を働きかける医薬品情報を(MR)担当する人、などどこかで能力を発揮しています。


特に、製薬企業で薬品の研究開発に携わる人は、薬学部を卒業後、大学院で修士あるいは博士の学位を取得した者ですが、この研究員は直接的には薬剤師資格は必要ありません。更に医薬品情報担当者(MR)も薬剤師資格所持者が多いですが、薬剤師資格がなくても活動できます。

 しかし、薬剤師免許が絶対条件である職種は、病院・調剤薬局の薬剤師や、学校で教室の空気やプールの検査や給食設備の衛生指導などに携わる学校薬剤師などです。


過去の「4年制度」の薬学部は、薬剤師だけを養成する学部ではなく、薬剤師も含めた多様な薬学の専門家を養成する学部でした。「6年制度」は、薬剤師を専門的に養成する学部にし、薬剤師には高度なスキルを身につけさせ、特に現場経験を投入し、薬剤師免許取得に繋げております。

 

 なぜ、薬学部だけが医療専門家から遅れたのでしょうか?

 それは、薬剤師という職業に関して日本特有の事情がありました。みなさんは、「医薬分業」という言葉を聞いたことがありますね。

 欧米での「医薬分業」が始まったのは13世紀の頃であり、薬の調剤や患者説明は薬剤師の仕事とされており、薬剤師の地位は非常に高いのです。が、日本では薬は医師が出し、患者は医師が出した薬を病院内で受け取っていました。この制度が日本で定着してきたのはつい最近のことなのです。

やっと最近日本の医薬分業率も高まり、薬剤師は、医師の処方箋にしたがって薬を調剤するだけでなく、その薬の効能、使い方などを、患者にわかりやすく説明する、「服薬指導」を行うようになってきました。

 そのため、日本の薬学部は、「6年制」で薬剤師のみを養成し、「4年制」で製薬会社などで薬品開発を担当したりできる、薬の研究者の養成が、日本の大学薬学部の大きな役割となったのはそういう理由なのです。

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