私は戻っていた。
---------
澄んだ闇が星霜重なり光は透過せず
底は暗く、暖かい澱が柔らかな粒子と
集まり、それが私の今の在処である。
微粒の昏い泥の中に。
時折。
何かが目覚めさせる。
身動ぐと渦が起き私の欠片がふと
舞い上がり闇をすり抜け上へゆく
上へ …。
-----------
私の中芯には潮汐力があり
時に引き寄せ次に膨張する。
その拍動が褥と私を分けた。
前のように融けることは無く
私は変わっていた。
-----------
降る …。
遙か遙か眼の上で暗黒が白く閃く。
それは長く光跡を引きながら 落ちる。
幾つか層を通過して減衰し …消える。
それを見つめながら、私は
ただ私という「塊」ではなくて
私という「形」を持ったことを
不意に思い出す。
今はろくに動けないけれど。
稀に極稀に全ての闇の層を
砕け散りながら突き抜けて
私の元まで降る輝きがある
蛋白石のような月長石のような炎を立てて燃える。
まだ形を成しきらない「手」で拾おうとする。
「指」で摘もうと …
炎は揺らめいて朧な「指」の間で散ってしまう。
深い声を残して。
声は隠隠と音のない場所に響いて長く残るから
同じようにそれを現してみたいと、幾々度も試み
もどかしく繰り返した。
------------
… いつか。
ここを出てこの声の主を見つける。
この気になる音の意味を探し出す。
満ち足りた安逸から抜け出しても聞きたいという願いが何故
この声から私に生まれるのか …知りたい。
/clear missing mass (明確な行方不明の質量:暗黒物質
---------
澄んだ闇が星霜重なり光は透過せず
底は暗く、暖かい澱が柔らかな粒子と
集まり、それが私の今の在処である。
微粒の昏い泥の中に。
時折。
何かが目覚めさせる。
身動ぐと渦が起き私の欠片がふと
舞い上がり闇をすり抜け上へゆく
上へ …。
-----------
私の中芯には潮汐力があり
時に引き寄せ次に膨張する。
その拍動が褥と私を分けた。
前のように融けることは無く
私は変わっていた。
-----------
降る …。
遙か遙か眼の上で暗黒が白く閃く。
それは長く光跡を引きながら 落ちる。
幾つか層を通過して減衰し …消える。
それを見つめながら、私は
ただ私という「塊」ではなくて
私という「形」を持ったことを
不意に思い出す。
今はろくに動けないけれど。
稀に極稀に全ての闇の層を
砕け散りながら突き抜けて
私の元まで降る輝きがある
蛋白石のような月長石のような炎を立てて燃える。
まだ形を成しきらない「手」で拾おうとする。
「指」で摘もうと …
炎は揺らめいて朧な「指」の間で散ってしまう。
深い声を残して。
声は隠隠と音のない場所に響いて長く残るから
同じようにそれを現してみたいと、幾々度も試み
もどかしく繰り返した。
------------
… いつか。
ここを出てこの声の主を見つける。
この気になる音の意味を探し出す。
満ち足りた安逸から抜け出しても聞きたいという願いが何故
この声から私に生まれるのか …知りたい。
/clear missing mass (明確な行方不明の質量:暗黒物質