この女たちは毎日長いこと昼寝をする。
顔はかわいらしいが、寝入るたびに、何となく疎ましいように見える。
助左衛門は
気味悪い顔を見て、合点がいかず、そっと起き上がって、不思議に思われたので、方々を歩くと、いろいろな仕切りがある。
あるところに、一つの離れがあった。
土塀は高い。戸には錠が強くさしてある。
塀の角から登って中を見ると人が大勢いる。
あるいは死に、あるいは呻き声を出している。
助左衛門は一人の生きている人を招き寄せて
「あなたは誰ですか。どうしてここにいるのですか」
と問うと、その男は答えて言う。
「私は天竺の人間です。宝物を探しに海を渡る者です。悪い風が吹き、この島に着きました。
世にも愛らしい女たちに囲まれて、帰ることも忘れて住むうちに、産む子も産む子もみんな女だ。
限りなく愛おしいと、住むうちに、別の商人が寄ってくると、元の男をこんなふうにして、私ら男を日々の食料としている。
あなたたちも別の船の男が来ると、こういう目にあうことだろう。
なんとしてでも、早くお逃げなさい。
この鬼は昼6時間ほど昼寝をする。この間にうまく逃げれば、逃げられるだろう。
四方の塀は高く、固めてある。私は膝の後ろの筋を切られてしまっているので、逃げるすべがない。」
と泣く泣く話す。
助左衛門は
「どうも変だと思ったが、・・・」と帰って残りの商人にこのことを話すと、
皆は仰天して女の寝ている間に浜に出ていった。
(次回へ続く)
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