B級会社員のOFF日記(現在無職です)

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昔の助左衛門、南国へ行く事(その二)

2016-09-19 20:52:04 | 紳士・淑女の昔物語

この女たちは毎日長いこと昼寝をする。

顔はかわいらしいが、寝入るたびに、何となく疎ましいように見える。

助左衛門は

気味悪い顔を見て、合点がいかず、そっと起き上がって、不思議に思われたので、方々を歩くと、いろいろな仕切りがある。

あるところに、一つの離れがあった。

土塀は高い。戸には錠が強くさしてある。

塀の角から登って中を見ると人が大勢いる。

あるいは死に、あるいは呻き声を出している。

助左衛門は一人の生きている人を招き寄せて

「あなたは誰ですか。どうしてここにいるのですか」

と問うと、その男は答えて言う。

「私は天竺の人間です。宝物を探しに海を渡る者です。悪い風が吹き、この島に着きました。

世にも愛らしい女たちに囲まれて、帰ることも忘れて住むうちに、産む子も産む子もみんな女だ。

限りなく愛おしいと、住むうちに、別の商人が寄ってくると、元の男をこんなふうにして、私ら男を日々の食料としている。

あなたたちも別の船の男が来ると、こういう目にあうことだろう。

なんとしてでも、早くお逃げなさい。

この鬼は昼6時間ほど昼寝をする。この間にうまく逃げれば、逃げられるだろう。

四方の塀は高く、固めてある。私は膝の後ろの筋を切られてしまっているので、逃げるすべがない。」

と泣く泣く話す。

助左衛門は

「どうも変だと思ったが、・・・」と帰って残りの商人にこのことを話すと、

皆は仰天して女の寝ている間に浜に出ていった。

 

(次回へ続く)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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