Carpe Diem-Seize the Day-

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亡くなった

2011年04月20日 04時08分57秒 | 訃報
5~7年振りに
自宅に戻り
まず、最初にした事は
庭周りの草抜きでも
部屋の片付けでもなかった。

真っ先にゆきの友達が
付近に居ないか何と無く
探して居た。。。

自宅北西側10メートル弱程先に
4軒の平屋借家がある。
あぁ、まだあの家、健在だったんだ、
と気にも留めずに庭に出る
度に目に入る程度であった。

自宅に戻り、直ぐ耳に
入って来たのは、恐らく大型犬
だと思われる子の遠吠えの様な
呆けに因る吠えの様な切ない声
であった。

声だけはかなり鮮明に聴こえるが
何処の子だかは解らず。。。
ずっと吠え続けて居るワケではなく、
朝、夕方頃、夜に近い夕方。。。

本当に近くで鳴く声に、道行く方々も
恐らく知って居るであろうと
数人に聞くも、誰も何処の子か
判らず。

そんな折、早い時期に
リュウ君
蕩けてしまいそうに優しい初老の
パパ飼主さんと会う。
確かまだ真夏の早朝頃。

ひょんな事から、彼の家が、自宅
から見下ろせる、ほんの数メートル
先のその賃貸一軒家だと知る。

それから、散歩時、又飼主一人でも
彼に会いに行って居た。
飼主パパさんは知らなかった様だ。

特別に美味しいクッキー等を持って。

それからも散歩で会うと彼は
飼主パパさんが、不思議がる程、
こちらに好意的に寄って来た。

彼は、ゆきに会うと嬉しそうに
それまで下がって居た尻尾を
持ち上げ、更に時折、美味しい
何かをくれるゆき飼主にも
近付いて来る。
その時の彼の視線はけしてこちらの
目を見るのではなく、手を見て居る。
何か持って居ないだろうか、と。
時には撫で様とするその手の指を
ソーセージとでも勘違いしたのか
パクッとする。

飼主パパさん曰く、
もの凄い食欲、だそうであった。

それから数ヶ月、彼が飼主さんを
呼ぶ声は時折聴こえて居た。

あの声を聴くと、あぁ、元気なのだ、
良かった、と安心をした。

相変らず、ゆきと、或いは飼主だけ
彼の元へ会いに行く。

めっきり散歩では会わなくなった
彼の所へ行くと、相変わらず凄い
食欲は変わらず、しかし左側上唇に
良からぬデキモノが見える。
それが垂れ下がって居たが食べる事
に不便は無かった様だった。

形状は黒い瘢痕の様な、盛り上がった
モノ。。。悪いモノであれば
メラノーマにも見える。

それから2日後、彼のあの切ない声
が聴こえなくなった。

心配になり即、様子を伺いに行くと
何という事か、既に彼の居た場所の
小屋は片付けられ、彼が掘ったで
あろう縁側下の穴も埋められ、
勿論、ボウルも何もかも跡形も
無くなって居た。
ショックだった。。。
このたった2日で全てが無くなる事、
彼の居た痕跡すら消されて居た。

明らかに亡くなった、と判る。
2日前に会ったのが最期だったのか。
年齢からすれば、長患いもせず、
恐らく最期まで食欲も衰えず
苦しまず、と考えたい。

飼主さんは、もしかしたら、寂しさ
からの思いがあり、早く彼の存在を
消したかったのだろうか。。。
恐らくそういった方々も居るかも知れない。

最後に会ってからあっと言う間に
居なくなってしまった。
そんな事であれば、ゆき用に作った
牛肉ご飯も持って行き食べて欲しかった。

パンもあげても良かっただろう。。。
余所様の子であるから、余計な事は
出来ないが、こんなに直ぐに亡くなる
と判って居たなら。。。

大人しく、食欲旺盛で、若い頃は
さぞ可愛く、穏やかであったろうと
想像をさせる、テリア混の雑種。。。

怖くて飼主パパさんには彼の事を
聞く事が出来ない。
亡くなったのは明らかであろうが。。。

彼が少なくとも苦しまずに
亡くなって行った事を想像するしかない。

恐らく、家族の居る折の見守られ乍ら
の死ではなかったろうと想像する。

彼の存在した事すらも無になって
しまったかの様な彼の居場所。
何事も無かったかの様な無になった
場所。

ここに記す事に因り、少なくとも
彼が存在をした証としたい。