管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

号外!!

2011年08月23日 | 日記
日付が変わったので、 昨日 (8月22日)、 第25回管理栄養士国家試験追加試験の合格発表がありました。



3月20日の国家試験まであとわずかという3月11日、 仙台は東日本大震災で震度 6~7 の揺れに襲われました。

仙台白百合女子大学でも、 100名以上の学生が帰宅できずに泊まり込みました。

国試対策セミナー中だった管理栄養専攻の4年生は、 学生食堂に残っていた食材、 芋煮会などで使用する鍋、 カセットコンロなどを使い、 栄養のバランスを考えて献立を作成し、 テキパキと炊き出しを行いました。

日を追うごとに被害の全容が明らかになり、 4年生の中にも実家が流失した人、 自宅が半壊した人、 教科書やノートがグチャグチャになった人などが何人もいました。

卒業式が中止となり、 国家試験が延期となり、 年度が変わって、 4年生は卒業生として就職先での勤務を開始しました。

やがて、 国家試験の追加試験が7月31日に行われるとの知らせがありました。

国試対策を行おうにも、 大学に来れる人はわずかでした。

大学として、 学科として、 何ができるか、 考えました。

3月の本試験の問題について、 学科の教員がそれぞれの担当科目の解説を書き、 さらに激励のメッセージを添えて、 全員に郵送しました。

教員はこのほか、 メールで激励を繰り返し、 また質問に答えていました。

6月、 7月に開催される模試を全員に受けてもらいました。 大学に来れる人は大学で受けてもらい、 来れない人には郵送しました。 もちろん、 すべて大学の経費で行いました。

私は、 自分の担当分野である生化学と基礎栄養学について、 ブログを立ち上げました。

卒業生は、 仕事で疲れた体に鞭打って頑張り続けました。



結果、 52名受験で42名合格。

3月に東京で受験した1名が合格しているので、 これを合わせると53名受験で43名合格。

合格率 81.1% という、 今までにない数字を出しました。

卒業生のみなさん、 震災に負けずに頑張りましたね。

ほんとうに、 おめでとう!

25回追加試験 基礎栄養学の解説

2011年08月06日 | 日記
第25回管理栄養士国家試験追加試験の基礎栄養学の解説です.

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76=(3)
(1) 誤 脚気は, ビタミンB1の不足によって起こる.
(2) 誤 骨粗鬆症は, 成人期以降にカルシウムおよびビタミンDの不足によって起こる.
(3) 正 亜鉛の不足によって, 味覚障害, 免疫能低下, 創傷治癒障害などが起こる.
(4) 誤 甲状腺腫は, ヨウ素の欠乏や過剰によって起こる.
(5) 誤 くる病は, 若年期にカルシウムおよびビタミンDの不足によって起こる.

77=(2)
(1) 誤 レプチンは食欲を低下させ, エネルギー消費を増加させる.
(2) 正 食欲はストレスによって影響を受け, 強いストレスは食欲を低下させる.
(3) 誤 食欲は血漿グルコース濃度 (血糖値) の影響を受け, 血糖値が低下すると空腹感とともに食欲が引き起こされることが多い.
(4) 誤 食欲は, 大脳機能の影響を受ける. たとえば五感刺激は大脳に伝えられ, これまでの食体験などが統合されて, おいしさや好き嫌いが判別される.
(5) 誤 食前のアルコールは胃腸の働きを刺激し, 食欲を増進させる.

78=(3)
(1) 誤 リパーゼは膵液だけでなく唾液 (舌リパーゼ) や胃液 (胃リパーゼ) にも含まれており, 成人においても摂取したトリアシルグリセロールの 20% 程度は舌リパーゼや胃リパーゼで消化される.
(2) 誤 胃酸は壁細胞から分泌され, ペプシノーゲンは主細胞から分泌される.
(3) 正 ヒト小腸の上皮細胞には各種の膜消化酵素があるが, トレハロースを加水分解するトレハラーゼもそのなかに含まれており, トレハロースは膜消化を受けて2分子のグルコースとなって吸収される. なお, トレハロースとは昆虫などに存在する二糖類で, グルコース2分子がともに1位のアノマー性水酸基同士で α-1,α-1 結合した構造のため, 還元性を示さない. 食品の保湿剤などに利用されている.
※ 26回にも出るかも.
(4) 誤 脂溶性ビタミンは摂取脂肪に溶解して存在しており, その吸収には摂取脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸を必要とする.
(5) 誤 ビタミンB12は, 最終的に胃から分泌されるキャッスル内因子と小腸内で結合し, 回腸で吸収される.

79=(2)
(1) 誤 唾液には糖質および脂質の消化酵素は含まれているが, たんぱく質の消化酵素は含まれていない.
(2) 正 胃液の分泌は, 味覚など五感の刺激によってもおこる. 五感の刺激によって副交感神経が刺激され, 神経末端から分泌されるアセチルコリンによって胃液 (塩酸) が分泌される. これを脳相 (頭相) という.
(3) 誤 膵液にはアミラーゼは含まれているが, 二糖類の消化酵素は含まれていない. 二糖類の消化酵素は, 小腸上皮細胞表面に膜消化酵素として存在する.
(4) 誤 膵液の分泌は, 摂食後しばらくして胃内容物が十二指腸に移動する際に, セクレチンやコレシストキニンによって亢進する.
(5) 後 胆汁には, 消化酵素は含まれていない.

80=(2)
(1) 誤 血糖値が上がるとインスリンによって筋細胞などにグルコースが取り込まれ, 筋細胞ではグルコースからのグリコーゲンの合成が促進される.
(2) 正 絶食時には絶食ストレスによってグルココルチコイドが分泌され, 骨格筋細胞などではグルココルチコイドによってプロテアーゼの一種であるカルパインが誘導される. カルパインによって骨格筋たんぱく質から生成したアミノ酸はアミノ基転移反応などによって主としてアラニンとなり, 肝臓に運ばれる. 肝臓では, アラニンなどのアミノ酸から糖新生によってグルコースが合成される.
(3) 誤 (2) の解説参照. 絶食時には, 筋肉からアミノ酸が放出される.
(4) 誤 糖質などエネルギー源の摂取量が多いと, たんぱく質は本来の目的である体たんぱく質の合成に利用されやすい.
(5) 誤 糖質の摂取量が多いと, ビタミンB1の必要量が増す.

81=(3)
(1) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 脳ではグルコースの取り込みが増加する.
(2) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 膵臓ではインスリンの分泌が促進される.
(3) 正 糖質を多く含む食事を摂取した後, 脂肪組織ではインスリンによってグルコースの取り込みが促進される.
(4) 誤 肝臓でケトン体の産生が促進されるのは, 糖新生によってオキサロ酢酸が不足する飢餓時などである. 糖質を多く含む食事を摂取した後, 肝臓ではクエン酸回路に十分量のオキサロ酢酸が供給されるため, 脂肪酸はケトン体になることなくクエン酸回路で代謝される.
(5) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 骨格筋ではインスリンによってグルコースの取り込みおよびたんぱく質の合成が促進される. 骨格筋からアラニンの放出が促進されるのは, 飢餓時である.

82=(2)
(1) 誤 空腹時には, 脂肪組織ではグルカゴンによってホルモン感受性リパーゼが活性化され, トリアシルグリセロールの分解が亢進して脂肪酸の放出が亢進する.
(2) 正 空腹時には, 肝臓では脂肪組織から放出された脂肪酸のβ酸化が促進されている.
(3) 誤 空腹時には, 肝臓では脂肪の合成よりも分解が優位となるため, VLDL分泌は抑制される.
(4) 誤 空腹時には, 小腸では食事性の脂肪が枯渇するため, カイロミクロン (キロミクロン) 分泌は起こらない.
(5) 誤 空腹時には, 骨格筋では糖質よりも脂肪をエネルギー源とするため, 脂肪酸のβ酸化が亢進する.

83=(5)
(1) 誤 アミノ酸プールのアミノ酸は, 体たんぱく質の合成に利用されたり, 窒素化合物に変換されたり, 分解されてエネルギー源として利用されたりする.
(2) 誤 食後には, インスリンによって筋肉たんぱく質の合成が促進される.
(3) 誤 たんぱく質の多い食事により, アミノ酸プールから溢れたアミノ酸の異化が亢進する結果, 尿中に排泄される窒素量が増加する.
(4) 誤 たんぱく質の摂取量が多いと, 吸収されたアミノ酸からの筋肉たんぱく質の合成が促進される.
(5) 正 エネルギー摂取量が不足すると, 同時に摂取したたんぱく質に由来するアミノ酸がエネルギー源として利用されるため, アミノ酸の異化は亢進する.

84=(3)
a 正 ビタミンAの活性体 (レチノイン酸のこと?) は, 遺伝子発現の調節に関与する.
b 誤 ビタミンDは, 肝臓でコレステロールに転換されることはない. コレステロール合成の中間体である 7-デヒドロコレステロールから, 皮下で紫外線によってビタミンDが合成される.
c 誤 ビタミンEは, 生体膜の抗酸化に関与するが, 血液の凝固に必須ではない. 血液の凝固に必須な脂溶性ビタミンは, ビタミンKである.
d 正 ビタミンKは, 腸内細菌によって合成される.

85=(2)
(1) 誤 ビタミンB2が欠乏すると, 口唇炎や口角炎がおこる.
(2) 正 有酸素運動量が多いと, 有酸素性エネルギー産生系の補酵素の前駆体であるビタミンB1, ビタミンB2, ナイアシンの必要量が増加する.
(3) 誤 ナイアシンを大量に摂取すると, 皮膚の紅潮, 頭痛, 吐き気, 下痢などの過剰症がおこる. アスリートのなかにはサプリメントとしてナイアシンを過剰に摂取する例がみられるが, 副作用として皮下血流の増加 (皮膚の紅潮) による強い痒み (ナイアシン・フラッシュ) が知られている.
(4) 誤 ビタミンCを大量に摂取すると, 脂質の抗酸化の結果生成した酸化型ビタミンEがビタミンCによって効率よく還元型に戻るため, ビタミンEの必要量は減少する.
(5) 誤 カルシウムの摂取量が多く, 血中カルシウム濃度が高くなると副甲状腺ホルモン (パラソルモン) の分泌が低下し, 活性型ビタミンDの生成も低下する. このような状態では, ビタミンDの必要量は減少する.

86=(1)
(1) 正 鉄欠乏の早期では, 血清フェリチン値が低下するが, 血中ヘモグロビン値に変化はない.
(2) 誤 鉄欠乏の後期では, 血清鉄飽和度が低下してヘモグロビン合成が低下するが, まだ血中ヘモグロビン値に変化はない.
(3) 誤 鉄欠乏の後期を過ぎて組織鉄欠乏状態になると, 鉄欠乏の後期ですでに血清鉄飽和度が低下しているのに加え, 非貯蔵性組織鉄も減少する.
(4) 誤 非ヘム鉄の吸収は, 動物性たんぱく質の摂取によって促進される.
(5) 誤 非ヘム鉄の吸収率は, ヘム鉄の吸収率よりも低い.

87=(4)
a 誤 摂取した水分の大部分は, 小腸および大腸 (特に小腸) で吸収される.
b 正 血清アルブミン値が低いと, 膠質浸透圧が低下して水が血管から組織間に漏出し, 浮腫がおこる.
c 正 体水分量が不足すると, 水の損失を防ぐ目的でバソプレシン (抗利尿ホルモン) の分泌が促進される.
d 誤 外界温度が上昇すると水の気化が促進されるため, 不感蒸泄によって失われる水分量は増加する. 外界温度が 30 ℃ から 1 ℃ 上昇すると, 不感蒸泄量は 15% 増加する.

88=(5)
(1) 誤 体重当たりの基礎代謝量 (=基礎代謝基準値) は1~2歳で最も高く, その後は加齢に伴って減少する.
(2) 誤 一般に男性のほうが除脂肪体重が大きいため, 体重当たりの基礎代謝量は男性に比べて同じ年齢の女性の方が低い.
(3) 誤 日本人の食事摂取基準では, 睡眠時のエネルギー代謝量は基礎代謝量に等しいとされている.
(4) 誤 安静時のエネルギー代謝量は, 基礎代謝量に消化・吸収や姿勢の維持などに必要なエネルギー量が加算されるため, 基礎代謝量よりも多くなる.
(5) 正 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 除脂肪体重 (筋肉量) の減少が関与する.

89=(3)
a 正 エネルギー代謝に関与する遺伝子の中には, 多型 (個人差) が見られるものがある.
b 誤 肥満関連遺伝子のみならず, 遺伝子の多型は次の世代に遺伝する.
c 誤 個人の遺伝子多型は先天的なものであるため, 食生活によって変化しない.
d 正 生活習慣病の発症には, 遺伝素因と環境要因が関与する.

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さて, これからのことですが, ネタづくりのため今月いっぱい休みをください.

25回追試の問題や96回薬剤師国試の問題 (呼吸商について, おもしろい出題があったんですよ) などを取り込んだ正文集の改訂, 模擬問題集の改訂に加え, 生化学や基礎栄養学のしくみ, 捉え方, 考え方とか, 頻出あるいは重要事項のまとめとかも載せてみたいのです.

ということで, 9月になったらお目にかかりましょう.

25回追加試験 生化学の解説

2011年08月05日 | 日記
お待たせしました.

なかなか問題が手に入らなくて・・・

では, 第25回管理栄養士国家試験追加試験の解説を行います.

今日は生化学です. 旧ガイドラインの生化学に該当する問題は少なかったですね.

なお, 問題はインターメディカル様のホームページからダウンロードできますので, ここには載せません. また, 解答速報は日本医歯薬研修協会様のホームページに掲載されています.

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21=(4)
(1) 誤 ヘモグロビンはα鎖2本とβ鎖2本からなる4量体であり, ヘムも4つある. したがって, 酸素結合部位も4つもつ.
(2) 誤 インスリンは, A鎖1本とB鎖1本が2つのジスルフィド結合で結合している. したがって, サブユニットを2つもつ.
(3) 誤 IgGは単量体で存在するので, 抗原結合部位は1つである. 抗原結合部位を5つもつのは, 5量体で存在するIgMである.
(4) 正 アドレナリン受容体はGたんぱく質共役型受容体であり, 膜貫通領域を7つもつ.
(5) 誤 血清アルブミンは, 分子量が 66,000 である. アミノ酸9つで分子量が 66,000 になるわけがない. 一次構造をつくるアミノ酸を9つもつのは, 過去25年間でたった1度だけペプチドとして取り上げられたブラジキニンである.

22=(2)
(1) 正 アデニンにリボースが結合したものがアデノシンである. したがって, リボースはアデノシンの構成成分である.
(2) 誤 ジヒドロキシアセトンは, 三炭糖 (トリオース) である. なお, 解糖系では, 六炭糖 (ヘキソース) であるフルクトース 1,6-ビスリン酸が2つの三炭糖 (トリオース) すなわちジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド 3-リン酸に分かれる過程がある.
(3) 正 リボースもデオキシリボースも, ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸から生成する五炭糖 (ペントース) である. ちなみに, 核酸を構成するリボースやデオキシリボースは, β型である.
(4) 正 乳糖は, D-グルコースとβ-D-ガラクトースが β-1,4 結合した二糖類である.
(5) 正 グリコーゲンは, 分枝 (分岐鎖) 構造をもつ. グリコーゲンは, アミロペクチンと比べて分枝の頻度が高く, それぞれの分枝の長さが短いのが特徴である.

23=(4)
(1) 誤 体脂肪は, 酸素と直接反応しない. 体脂肪 (トリアシルグリセロール) は, ホルモン感受性リパーゼによって加水分解され, 脂肪酸を放出する. 脂肪酸は (アシルCoAとかアシルカルニチンとかあるけど) β酸化を受けてアセチルCoAとなり, クエン酸回路に入る. アセチルCoAがクエン酸回路で酸化される過程でNADH+H+やFADH2 が生成し, 電子伝達系にH+を送り込む. 電子伝達系ではH+の濃度勾配によって生じるH+の流れと共役したATP合成酵素によってATP (エネルギー) が産生される. そして電子伝達系の末端では, 2H+と2e-が酸素 (1/2 O2) と直接反応してH2O (代謝水) を産生する. 道程は長い.
(2) 誤 体脂肪の酸化で生じた熱は, 体温の維持に使われたり, 体外に放射されたりする.
(3) 誤 ミトコンドリアのマトリックスでは, 脂肪酸のβ酸化は好気的条件下で進行する.
(4) 正 酸素は, ミトコンドリアの電子伝達系による水の産生に利用される. (1) の解説参照.
(5) 誤 呼吸商は, 二酸化炭素産生量を酸素消費量で除した値 (CO2/O2) である.

24=(2)
(1) 誤 グルカゴンは, 肝臓における解糖を促進し, またアミノ酸からの糖新生を促進することによって, 血糖値を上昇させる. このように, 血糖を上昇させるホルモンは複数のルートで血糖を上昇させる場合が多い.
(2) 正 アミノ酸誘導体ホルモンであるトリヨードチロニン (T3) は, 細胞膜を通過して核内受容体に結合する.
(3) 誤 プロトロンビンから生じたトロンビン (セリンプロテアーゼの1種) は, フィブリノーゲンのペプチド鎖の一部を切断し, フィブリンを生成させる.
(4) 誤 レニンは, アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシン 1 に変換する. アンギオテンシン 1 をアンギオテンシン 2 に変換するのは, アンギオテンシン 1 変換酵素である.
※ ローマ数字が表示されないので, アラビア数字で書きました.
(5) 誤 ピルビン酸脱水素酵素は, 解糖系の最終産物 (下流) であるピルビン酸をアセチルCoAにする酵素である. 同じ解糖系の最初のほうの中間体 (上流) であるフルクトース 6-リン酸によってフィード 「バック」 制御を受けるはずがない.

25=(3)
(1) 誤 グルコキナーゼは肝臓の解糖系でグルコースをリン酸化してグルコース 6-リン酸にする酵素であり, 糖新生系の酵素ではない.
(2) 誤 中鎖脂肪酸も長鎖脂肪酸も, β酸化によってアセチルCoAになる. ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体による反応は不可逆反応なので, アセチルCoAは糖新生の基質であるピルビン酸になることができない. また, アセチルCoAがクエン酸回路に合流して糖新生の基質であるオキサロ酢酸になるまでの間に2か所でCO2が離脱するため, 実質的なオキサロ酢酸の供給にはならない. したがって, 中鎖脂肪酸は糖新生の基質にならない.
(3) 正 肝臓では, グリコーゲンの分解で生じたグルコース 1-リン酸がグルコース 6-リン酸となり, さらにグルコース-6-ホスファターゼによってグルコースに変換される. 筋肉にはグルコース-6-ホスファターゼがないため, 筋肉のグリコーゲンはグルコースになれない.
(4) 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成させる. 加水分解ではない.
(5) 誤 アセチルCoAからパルミチン酸までの脂肪酸合成は細胞質で行われ, パルミチン酸~ステアリン酸~オレイン酸の鎖長延長と不飽和化は, 滑面小胞体内で行われる.

26=(4)
(1) 誤 ステアリン酸は, 飽和脂肪酸である.
(2) 誤 トリアシルグリセロールは, 疎水性物質である. 両親媒性物質とは, リン脂質のように親水性部分と疎水性部分をもつ物質のことである.
(3) 誤 プロスタグランジン, トロンボキサン, ロイコトリエンを総称してエイコサノイドというが, 「エイコサ」 とは 「20の」 という意味である. エイコサノイドは炭素数20のアラキドン酸やエイコサペンタエン酸などから生成するのであり, 炭素数16のパルミチン酸はプロスタグランジンの前駆体とはならない.
(4) 正 グリセロリン脂質の1つであるホスファチジルコリンは, リポたんぱく質表層のリン脂質単層膜の構成成分となる.
(5) 誤 コレステロールは, 一部が生体膜構成成分となったりステロイドホルモンの材料になったりするが, 大部分は胆汁酸となる. ステロイド骨格が分解されないため, エネルギー源とはならない.

27=(1)
(1) 正 核酸を構成しているヌクレオチドは, 塩基と五単糖とリン酸が結合したものである.
(2) 誤 tRNA (転移RNA) は, アンチコドンをもつ. コドンをもつのは, mRNAである.
(3) 誤 mRNA (伝令RNA) は, DNAから転写された後, スプライシングによってイントロンが除去されてエキソンのみとなり, さらにキャップ構造やポリAの付加を受けて, 完成型となる.
(4) 誤 まず, ピリミジン塩基はシトシンとウラシルとチミンの3つである. アデニンはプリン塩基である. そして, RNAを構成するピリミジン塩基は, シトシンとウラシルである. チミンは, DNAを構成するピリミジン塩基である.
(5) 誤 リボソームでは, RNAの塩基配列に基づいてアミノ酸が順に結合し, たんぱく質生合成 (翻訳) が行われる. DNAを鋳型とするRNAの生合成 (転写) が行われるのは, 核である.

28=(5)
(1) 誤 ヘムの前駆体のアミノ酸は, グリシンである.
(2) 誤 尿酸の前駆体のアミノ酸は, グリシン, グルタミン, アスパラギン酸である.
(3) 誤 クレアチンの前駆体のアミノ酸は, アルギニンとグリシンである.
(4) 誤 グルタチオンの前駆体のアミノ酸は, システイン, グルタミン酸, グリシンである.
(5) 正 ノルアドレナリンの前駆体のアミノ酸は, チロシンである.
※ この問題は, 「アミノ酸からの生理活性物質の合成」 の超頻出事項である 「フェニルアラニン→チロシン→ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン」 を理解しているかどうかを試したかったのかな?

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すべて, これまでの基本事項や頻出事項を軽~くひねった程度の問題ばかりで, 難問はありませんでしたね.

26回を受験される皆さんも, こういった 「基本的な問題」 を絶対に落とさないよう, 数多くの問題を解いて頑張ってください.

明日は, 基礎栄養学の解説を行います.