管理栄養士国試のための基礎栄養学と生化学

管理栄養士国家試験のための基礎栄養学や生化学について, 勉強していきましょう.

25回追加試験 基礎栄養学の解説

2011年08月06日 | 日記
第25回管理栄養士国家試験追加試験の基礎栄養学の解説です.

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76=(3)
(1) 誤 脚気は, ビタミンB1の不足によって起こる.
(2) 誤 骨粗鬆症は, 成人期以降にカルシウムおよびビタミンDの不足によって起こる.
(3) 正 亜鉛の不足によって, 味覚障害, 免疫能低下, 創傷治癒障害などが起こる.
(4) 誤 甲状腺腫は, ヨウ素の欠乏や過剰によって起こる.
(5) 誤 くる病は, 若年期にカルシウムおよびビタミンDの不足によって起こる.

77=(2)
(1) 誤 レプチンは食欲を低下させ, エネルギー消費を増加させる.
(2) 正 食欲はストレスによって影響を受け, 強いストレスは食欲を低下させる.
(3) 誤 食欲は血漿グルコース濃度 (血糖値) の影響を受け, 血糖値が低下すると空腹感とともに食欲が引き起こされることが多い.
(4) 誤 食欲は, 大脳機能の影響を受ける. たとえば五感刺激は大脳に伝えられ, これまでの食体験などが統合されて, おいしさや好き嫌いが判別される.
(5) 誤 食前のアルコールは胃腸の働きを刺激し, 食欲を増進させる.

78=(3)
(1) 誤 リパーゼは膵液だけでなく唾液 (舌リパーゼ) や胃液 (胃リパーゼ) にも含まれており, 成人においても摂取したトリアシルグリセロールの 20% 程度は舌リパーゼや胃リパーゼで消化される.
(2) 誤 胃酸は壁細胞から分泌され, ペプシノーゲンは主細胞から分泌される.
(3) 正 ヒト小腸の上皮細胞には各種の膜消化酵素があるが, トレハロースを加水分解するトレハラーゼもそのなかに含まれており, トレハロースは膜消化を受けて2分子のグルコースとなって吸収される. なお, トレハロースとは昆虫などに存在する二糖類で, グルコース2分子がともに1位のアノマー性水酸基同士で α-1,α-1 結合した構造のため, 還元性を示さない. 食品の保湿剤などに利用されている.
※ 26回にも出るかも.
(4) 誤 脂溶性ビタミンは摂取脂肪に溶解して存在しており, その吸収には摂取脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸を必要とする.
(5) 誤 ビタミンB12は, 最終的に胃から分泌されるキャッスル内因子と小腸内で結合し, 回腸で吸収される.

79=(2)
(1) 誤 唾液には糖質および脂質の消化酵素は含まれているが, たんぱく質の消化酵素は含まれていない.
(2) 正 胃液の分泌は, 味覚など五感の刺激によってもおこる. 五感の刺激によって副交感神経が刺激され, 神経末端から分泌されるアセチルコリンによって胃液 (塩酸) が分泌される. これを脳相 (頭相) という.
(3) 誤 膵液にはアミラーゼは含まれているが, 二糖類の消化酵素は含まれていない. 二糖類の消化酵素は, 小腸上皮細胞表面に膜消化酵素として存在する.
(4) 誤 膵液の分泌は, 摂食後しばらくして胃内容物が十二指腸に移動する際に, セクレチンやコレシストキニンによって亢進する.
(5) 後 胆汁には, 消化酵素は含まれていない.

80=(2)
(1) 誤 血糖値が上がるとインスリンによって筋細胞などにグルコースが取り込まれ, 筋細胞ではグルコースからのグリコーゲンの合成が促進される.
(2) 正 絶食時には絶食ストレスによってグルココルチコイドが分泌され, 骨格筋細胞などではグルココルチコイドによってプロテアーゼの一種であるカルパインが誘導される. カルパインによって骨格筋たんぱく質から生成したアミノ酸はアミノ基転移反応などによって主としてアラニンとなり, 肝臓に運ばれる. 肝臓では, アラニンなどのアミノ酸から糖新生によってグルコースが合成される.
(3) 誤 (2) の解説参照. 絶食時には, 筋肉からアミノ酸が放出される.
(4) 誤 糖質などエネルギー源の摂取量が多いと, たんぱく質は本来の目的である体たんぱく質の合成に利用されやすい.
(5) 誤 糖質の摂取量が多いと, ビタミンB1の必要量が増す.

81=(3)
(1) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 脳ではグルコースの取り込みが増加する.
(2) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 膵臓ではインスリンの分泌が促進される.
(3) 正 糖質を多く含む食事を摂取した後, 脂肪組織ではインスリンによってグルコースの取り込みが促進される.
(4) 誤 肝臓でケトン体の産生が促進されるのは, 糖新生によってオキサロ酢酸が不足する飢餓時などである. 糖質を多く含む食事を摂取した後, 肝臓ではクエン酸回路に十分量のオキサロ酢酸が供給されるため, 脂肪酸はケトン体になることなくクエン酸回路で代謝される.
(5) 誤 糖質を多く含む食事を摂取した後, 骨格筋ではインスリンによってグルコースの取り込みおよびたんぱく質の合成が促進される. 骨格筋からアラニンの放出が促進されるのは, 飢餓時である.

82=(2)
(1) 誤 空腹時には, 脂肪組織ではグルカゴンによってホルモン感受性リパーゼが活性化され, トリアシルグリセロールの分解が亢進して脂肪酸の放出が亢進する.
(2) 正 空腹時には, 肝臓では脂肪組織から放出された脂肪酸のβ酸化が促進されている.
(3) 誤 空腹時には, 肝臓では脂肪の合成よりも分解が優位となるため, VLDL分泌は抑制される.
(4) 誤 空腹時には, 小腸では食事性の脂肪が枯渇するため, カイロミクロン (キロミクロン) 分泌は起こらない.
(5) 誤 空腹時には, 骨格筋では糖質よりも脂肪をエネルギー源とするため, 脂肪酸のβ酸化が亢進する.

83=(5)
(1) 誤 アミノ酸プールのアミノ酸は, 体たんぱく質の合成に利用されたり, 窒素化合物に変換されたり, 分解されてエネルギー源として利用されたりする.
(2) 誤 食後には, インスリンによって筋肉たんぱく質の合成が促進される.
(3) 誤 たんぱく質の多い食事により, アミノ酸プールから溢れたアミノ酸の異化が亢進する結果, 尿中に排泄される窒素量が増加する.
(4) 誤 たんぱく質の摂取量が多いと, 吸収されたアミノ酸からの筋肉たんぱく質の合成が促進される.
(5) 正 エネルギー摂取量が不足すると, 同時に摂取したたんぱく質に由来するアミノ酸がエネルギー源として利用されるため, アミノ酸の異化は亢進する.

84=(3)
a 正 ビタミンAの活性体 (レチノイン酸のこと?) は, 遺伝子発現の調節に関与する.
b 誤 ビタミンDは, 肝臓でコレステロールに転換されることはない. コレステロール合成の中間体である 7-デヒドロコレステロールから, 皮下で紫外線によってビタミンDが合成される.
c 誤 ビタミンEは, 生体膜の抗酸化に関与するが, 血液の凝固に必須ではない. 血液の凝固に必須な脂溶性ビタミンは, ビタミンKである.
d 正 ビタミンKは, 腸内細菌によって合成される.

85=(2)
(1) 誤 ビタミンB2が欠乏すると, 口唇炎や口角炎がおこる.
(2) 正 有酸素運動量が多いと, 有酸素性エネルギー産生系の補酵素の前駆体であるビタミンB1, ビタミンB2, ナイアシンの必要量が増加する.
(3) 誤 ナイアシンを大量に摂取すると, 皮膚の紅潮, 頭痛, 吐き気, 下痢などの過剰症がおこる. アスリートのなかにはサプリメントとしてナイアシンを過剰に摂取する例がみられるが, 副作用として皮下血流の増加 (皮膚の紅潮) による強い痒み (ナイアシン・フラッシュ) が知られている.
(4) 誤 ビタミンCを大量に摂取すると, 脂質の抗酸化の結果生成した酸化型ビタミンEがビタミンCによって効率よく還元型に戻るため, ビタミンEの必要量は減少する.
(5) 誤 カルシウムの摂取量が多く, 血中カルシウム濃度が高くなると副甲状腺ホルモン (パラソルモン) の分泌が低下し, 活性型ビタミンDの生成も低下する. このような状態では, ビタミンDの必要量は減少する.

86=(1)
(1) 正 鉄欠乏の早期では, 血清フェリチン値が低下するが, 血中ヘモグロビン値に変化はない.
(2) 誤 鉄欠乏の後期では, 血清鉄飽和度が低下してヘモグロビン合成が低下するが, まだ血中ヘモグロビン値に変化はない.
(3) 誤 鉄欠乏の後期を過ぎて組織鉄欠乏状態になると, 鉄欠乏の後期ですでに血清鉄飽和度が低下しているのに加え, 非貯蔵性組織鉄も減少する.
(4) 誤 非ヘム鉄の吸収は, 動物性たんぱく質の摂取によって促進される.
(5) 誤 非ヘム鉄の吸収率は, ヘム鉄の吸収率よりも低い.

87=(4)
a 誤 摂取した水分の大部分は, 小腸および大腸 (特に小腸) で吸収される.
b 正 血清アルブミン値が低いと, 膠質浸透圧が低下して水が血管から組織間に漏出し, 浮腫がおこる.
c 正 体水分量が不足すると, 水の損失を防ぐ目的でバソプレシン (抗利尿ホルモン) の分泌が促進される.
d 誤 外界温度が上昇すると水の気化が促進されるため, 不感蒸泄によって失われる水分量は増加する. 外界温度が 30 ℃ から 1 ℃ 上昇すると, 不感蒸泄量は 15% 増加する.

88=(5)
(1) 誤 体重当たりの基礎代謝量 (=基礎代謝基準値) は1~2歳で最も高く, その後は加齢に伴って減少する.
(2) 誤 一般に男性のほうが除脂肪体重が大きいため, 体重当たりの基礎代謝量は男性に比べて同じ年齢の女性の方が低い.
(3) 誤 日本人の食事摂取基準では, 睡眠時のエネルギー代謝量は基礎代謝量に等しいとされている.
(4) 誤 安静時のエネルギー代謝量は, 基礎代謝量に消化・吸収や姿勢の維持などに必要なエネルギー量が加算されるため, 基礎代謝量よりも多くなる.
(5) 正 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 除脂肪体重 (筋肉量) の減少が関与する.

89=(3)
a 正 エネルギー代謝に関与する遺伝子の中には, 多型 (個人差) が見られるものがある.
b 誤 肥満関連遺伝子のみならず, 遺伝子の多型は次の世代に遺伝する.
c 誤 個人の遺伝子多型は先天的なものであるため, 食生活によって変化しない.
d 正 生活習慣病の発症には, 遺伝素因と環境要因が関与する.

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さて, これからのことですが, ネタづくりのため今月いっぱい休みをください.

25回追試の問題や96回薬剤師国試の問題 (呼吸商について, おもしろい出題があったんですよ) などを取り込んだ正文集の改訂, 模擬問題集の改訂に加え, 生化学や基礎栄養学のしくみ, 捉え方, 考え方とか, 頻出あるいは重要事項のまとめとかも載せてみたいのです.

ということで, 9月になったらお目にかかりましょう.

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