日々の寝言~Daily Nonsense~

即時的等価交換の罠

内田樹さんの本で出てきた、
「無時間的・即時的な等価交換
によって市場を特徴づける」
という考え方は、汎用性がありそうだ。

それと対立するのが、
即時的でない非等価交換。

かつてはそれが普通だったが、
安定で安全な市場の整備によって、
即時的等価交換が可能になった。

そして、今ではそれがあたりまえになっている。

人が「交換」に飢えている、ということは、
電車の中で憑かれたようにメールしている
人たちを見てもよくわかる。

メッセージの即時交換。そこにもまた、
即時に応答が返って来ることの快感がある。

そうやって、ショートタームの決済が
あたりまえになり、ロングタームの、
価値がすぐにわからないもの、が嫌われ、
忘れ去られる。

すべてがそういう方向に動いている。

決済のみならず、キャンセル、変更
もまたリアルタイムだ。

自由度の高い自己決定の便利さ。

時間をかけなくては
いけないこともある、
自由さを犠牲にしても、確保して
おかなくてはいけないものもある、
ということが忘れられている。

今までずっと、商品市場の最大の弊害は、
投機的取引だと思っていたが、
この、即時的取引への過剰適応、
もまた、深刻かもしれない。
無意識的である分、より危険に思える。

公共性、共同体を殺したのも、
そうした無意識の力かもしれない。

それから、
恋はショートタームで、
愛はロングターム、
というのはどうだろう?

恋はショートタームなので、
中毒性が高い。

愛はロングタームなので、
実現されることは稀だ。

恋は駆け引きで、
愛は無償だ。
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