アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 助成・協力:東京都
Bunkamura オーチャードホール 2017年2月16日(木)
原作:William Butler Yeats 「 At the Hawk's Well 」
<能>
◆鷹姫(シテ方): 梅若玄祥
◆老人(シテ方): 観世喜正
◆空賦麟(狂言方):山本則重
◆囃子方 笛 : 藤田六郎兵衛 小鼓 : 大倉源次郎 大鼓 : 亀井広忠 太鼓 : 観世元伯
◆後見 小田切康陽 永島充
◆岩(地謡/コロス) 山崎正道 馬野正基 角当直隆 坂真太郎 松山隆之 谷本健吾 川口晃平 御厨誠吾 山本則秀 山本凜太郎
◆ <ケルティック・コーラス>アヌーナ 男性シンガー:7名 女性シンガー:6名
なんとも不思議な空間だった。音の響きと光の演出。
真っ暗になったホールの後ろの扉から黒いマントを纏った女性が手蝋燭を掲げて舞台に歩む。蝋燭の炎が揺らめく舞台に突如眩しい照明が天井から射し、スポットで華麗な衣装を纏った鷹姫が照らし出される。この上もなく透明感のある伸びのあるコーラス。そして地謡が語り、謡う。地謡もコーラスだけど違和感はあまり感じない。囃子方の笛・小鼓・大鼓・太鼓が要所に絶妙に響かせる。薪能のパチパチと音を立て燃える炎や、殺伐としてそれでいて幽玄な趣のする能の匂いやザラザラした感覚を一切フィルターにかけて純化されたような舞台。パンフレットにもあるように、「鷹姫」は「日本文化とケルト文化に通じあう思想が融合した極めて稀な能作品・・・」とあるけれど、コーラスの共演となると 、共通するものの純度がとても高くなるように思った。これぞ饗宴というかんじ。能を観たという印象でなく、トップクラスの能楽師達を配した本物の能を核としたオペレッタを観たという感じがする。それもこの優れたホールで。一夜だけの公演がおしい。一期一会・・・これも意識した公演だったのかな。引き込まれたようなひと時だった。