
今回の記事は以前ご紹介いたしました「HALA」の続編です。
実はその際にハラの実で刷毛を作ろうと作業をしたのですが、カビに悩まされました。(ヘイノアノー・カラニ・カビカ)
今回はその対策を考えて大量生産に成功したレポートです。
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おさらいになりますが、ハラの樹はハワイやタヒチでポピュラーな樹で、先日RHCの工作講座に参加した「ラウハラ」というのはこの樹の葉を乾燥したものを素材として使っています。(「ラウ」は「葉」という意味です。)
この樹には季節を問わず(たぶん・・・・)パイナップルのような外観をした集合果が生ります。
この集合果が自然に分離して樹の足元にたくさん散らばったり
通路にばらばらと落下しますが、こちらのほうはすぐに「ゴミ」として掃き捨てられます。
果実の一個一個には中心部から栄養を伝える臍帯のようなもの(正式名称は知りません・・・)が付いています。
この果実には甘い果汁が含まれていて古代より飢饉の時にはこの果実をしゃぶって飢えを凌いだそうですが、それほど美味と言うわけではありません。(まぁ話のタネとして挑戦してみてください。)
この果実を輪切りにしてみると
ピーマンのような外皮があるのですが、ピーマンと違うのはこの外皮にもしっかりと繊維が通っていることです。
そこで乾燥させた果実を切断してみると
外皮部分を含めて無数の繊維があるのが分かります。そしてこれらの繊維の間に果汁が蓄えられているわけです。
古代からこの繊維を利用して刷毛を作成し、カパ(またはタパ)の着色用の刷毛として使われてきたとのことです。
果実を拾ってから数日で外皮が黒くなるとともに果実全体に黒いカビが全体に広がるのが最初に書いた「カビの問題」です。
こうなってしまうと洗っても洗ってもカビが除去できないので、結局破棄するしかありません。
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今回あらたに刷毛を製作するに当たってカビ対策をいろいろと検討しました。
前回の挑戦では、ある程度乾燥させてから外皮を含めた繊維部分を取り出していたのですが、この乾燥期間にカビも発生するので、まず最初に外皮から繊維を分離することにし、その方法として金ヤスリ目立て用のワイヤブラシを使うことにしました。(下写真上)。この方法は古代人が果実をしゃぶってから乾燥させる過程と似ているのではないかと思っています。
これは思いのほか有効な道具で、どんどんと作業が進みました。上の写真のネジ回しはワイヤブラシに付着した外皮のカスの除去に使います。
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それでは動画を含めて加工の過程をご紹介いたしましょう。いくつかの写真では画面をクリックすると動画が現れます)
まず水道の水を流しながらスタートです。
この臍帯(じゃないと思いますが・・・・汗)は果実を拾ったばかりのときは簡単に除去できるのですが、ちょっと乾燥してしまうと結構除去に手間取ります。
果実ににワイヤーブラシを掛けると、簡単に外皮が除去できます。
内部に残っている果汁はカビの元になるとともに刷毛が固まってしまう元にもなるのでできるだけ除去します。
カビ防止用のためブリーチ液に浸します。
その次は熱湯の中で流し洗いをして、ブリーチ成分を除去するとともに(完全ではないにせよ)熱湯消毒をおこないます。
次はできるだけ水切りをして
ブラッシングしながら一個ずつヘアードライアーで水分を飛ばします。
でも、よく考えると古代人はヘアードライヤーなどは持ち合わせが無かったでしょうから、途中からこの作業は取りやめ、自然乾燥に任せることにしました。
なにしろ「大量生産」に挑戦していますので・・・・・
ただし、乾燥中にも刷毛の毛同士がくっついてはいけないので適宜ブラッシングをすることにいたしました。
これに使うブラシとして最初は歯ブラシを使ってみたのですが、歯ブラシの毛の密度が高すぎるのでヘアーブラシを採用することにいたしました。それも安物のブラシが適当でした。(下写真中央)
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カビ対策としてブリーチと熱湯(に近いもの)を使いましたが、最後の対策として日光消毒というか紫外線の助けを借りることにしました。これでしたら古代人も文句を言わないでしょう。
箱に収めたハラ製の刷毛に
コンドの施設であるプールサイドで日光浴をさせることにしました。
この場所は我が家の窓から良く見える場所ですので、日光が当たっていることを監視できるのです。
日が翳ったら箱ごと引き上げて刷毛の完成です。
一緒に日向ぼっこをさせたシリカゲルと一緒に袋に詰めました。
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・・・・ということでハラの刷毛作りは終わりましたが、さて、お前はこんなに作ってどうするのだ?という疑問がわいてくるでしょう。
残念ながら作る事にがんばっただけで、その後は考えていません。
もしハワイにお見えのかたでこの刷毛をご入用でしたら声を掛けてください。(廃棄する前によろしく!)
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