※キタキツネの死骸写真がありますので、ご注意ください。
昔、天子などの巡遊した跡を、車のわだち、馬の足跡から、車轍馬跡(しゃてつばせき)と言ったそうだ。で、題はそれからいただいた。
しばらく以前、車を借りた時に弟子屈町を走っていたら、木が樹氷のようになっている場所があり、
車から下りて夢中で写真を撮っていた。
けものの足跡が無数にあって、(あぁ、キタキツネが通ったんだなあ)と見ていた。
ふと、足元に目をやり、思わず飛びのいた。
キタキツネが横たわっていたのだ。
血は出ていたが、まだカラスなどには荒らされておらず、死んで間もないようだった。
毛皮やヒゲにも霜が下りていて、まわりを静寂が支配していた。
何度も何度もこの道路を横断して生活していたのだろうに、ちょっとしたはずみで車に轢かれてしまったのだろう。
最近は、北海道でもエゾシカが増えすぎて農業被害が著しいというが、生き物の側からみても、ニンゲンといういろいろな機械や車を使うやっかいな生き物と共存するのはなかなかたいへんなことだろう。
オスだったのか、雌だったのかも、私には知れないが、どんな一生を送ったのだろうかと、キタキツネの生涯を想いながら、また車に乗り込んだ。
車轍狐跡(しゃてつこせき)
それは、自然生物との共生を模索する北海道の姿。