前回紹介した、Cat's Eyes CE-800 なのだ
がとても良い音がするギターなので、同じ
Cat's Eyesの他の型式にも興味が湧いてき
た。
実際にCE-800を購入した店や、その系列の
店を回ってみたのだが、Cat's Eyesのギタ
ーは置いていない、あっても状態が悪かっ
たりといまいちの状態。
そこでギターショップのＷｅｂサイトを検
索したところ、某店で良さげな状態の２本
を見つけたので、仕事帰りにその店に寄っ
てみることにした。
お店だが、Ｗｅｂサイトでは、現在入居中
のビルが改装工事とあって仮店舗で営業し
ているとあった。
あいにく夕方から小雨が降っていて、地図
を頼りにお店をさがすと、うっかりすると
見落としそうな小さな看板とともに、とあ
るビルの１階にその店を見つけた。
入ってみると、小さい店にギターが所せま
しとたくさん置いてある。
アコギもあればエレキもあり、チープなも
のから高価なもの、古いものから新しいも
のまでとても賑やかな店内だった。
店内でいろんなギターをジロジロ見ている
と若い店員さんから「何かお探しですか？」
と声を掛けれられたので、Ｗｅｂサイトで
見てこのお店に来てみました、と伝えると、
さっそく「これですね？」と、２本のギタ
ーを持ってきた。
そのギターとは、CE-600とCE-700だった。
実はこのギターは委託販売しているもので
持主はどちらも同じ方ということだった。
まず状態をチェックしてみたのだが、２本
とも、そこそこ弾き込まれていて、小さな
キズや打痕などもあったが、アッセンブリ
はしっかりしていて、まあまあの状態であ
った。
さっそく２本を試奏してみる。
ジャカジャカといろいろ弾きながら、店員
さんへここへ来た経緯を話すと、その店員
さんも私の話に乗ってきて、いつしか試奏
よりも、雑談で盛り上がってしまった。
CE-600 と CE-700だが、どちらかというと
CE-700が良い感じがする。
それを伝えると店員さんも「私にも試奏さ
せてください！」と自身でチェック始めた。
店員の感想は「私もCE-700がイイ感じだと
思います」との事。それから「ヘッドの
木目がハカランダっぽくないすか？」とか
いろいろと言って、「ちょっと調べてみま
す」とパソコンに向かって何かググリ始め
た。
少しして「面白い事が分かりましたよ！」
と私に話し始めた。
CE-700は２ピースバックを繋ぐバスバーに
大きな四角いラベルが貼ってあり、それに
は型式の「CE-700」、それと製作者だろう
と思われる「R.yamauchi」のサインが印字
されている。
実はそのラベルの下には、Cat'Eyesの前身
モデルであるHumming Bird HAND MADE
という文字が刻印されているという事であ
った。
このCE-700はシリアルナンバーの右２ケタ
が「75」なので1975年に製造されたものと
判断できる。
CE-700は、1975年から1979年くらいまでの
間しか製造されなかったため、本数が少な
いのだが、その間に製造されたCE-700のバ
スバーにCat'Eyesの前身のモデルである
Humming Birdのものが流用されたとい
う事らしい。
「剥がして確かめてみようか？」と、どち
らかともなくジョーダンが飛び出して、二
人で大笑いしてしまった。
最終的にCE-700を購入することに決めた。
店員さんは、お店のネーム入りのギター用
クロスとダダリオのギター絃(音の輝きが
長く続く高級絃)１セットをサービスして
てくれた。
店に来た時は小雨が降っていたので、もし
購入した際は、預かってもらって後で取り
に来ようかと話をしていたのだが、その雨
も止んでいた。
帰り間際に、店員さんから名刺をいただい
た。
若い方なので、てっきり店員さんと思って
いたのだが、実は店長なので驚いた。
CE-800は音の輪郭がソフトで優しい響きな
のに対し、CE-700は音の輪郭がハッキリし
てシャープな感じがして好きだ。
あれから、その店には行っていないが、
Ｗｅｂサイトは時折チェックしている。
ちなみにCE-700には、CE-700Sというタイ
プも存在する。
これは1980年～1982年にかけて製造され
たもので、マーチン社のD-21のレプリカ
という設定になっているようだ。
CE-700とは違ってサドルがロングサドル
になっている。
どちらも東海楽器の当時のカタログには
記載されていない、不思議な型式である。
ブランド：東海楽器
モデル名：Cat's Eyes
型 番：CE-700
製 造：1975年
ト ッ プ：スプルース単板
サ イ ド：ローズウッド
バ ッ ク：ローズウッド
ネ ッ ク：マホガニー
指 板：ローズウッド
ペ グ ：GROVER
シリアル：162475
