
日経ECOLOMY(-環境+経済+私-)のコーナーで、7月9日付インタビュー記事として公表されている記事である。
「2050年に世界で温暖化ガス半減という長期目標に対し、日本の産業界はどうクリアするのか。ハイブリッド技術などで世界をリードする自動車産業の環境対応の今後の道筋を、日本自動車工業会(自工会)地球環境部会の大野栄嗣副部会長(トヨタ自動車CSR・環境部担当部長)にインタビューした」際の記事である。
地球温暖化等、環境悪化の元凶はCO2の排出増大であるとの考え方が、一般通説となっている。
地球の人口増と、減少することのない自動車保有台数増加、それにともなう自動車燃料消費の増大が、CO2排出量の増大の主たる原因であることは間違いないところである。その「主たる原因排除への道筋」が明確になり、具体的にその解決に向かっていくことにより、「地球環境にかかる負荷の軽減」が現実化することになる。
![]() | 地球温暖化防止の市民戦略中央法規出版このアイテムの詳細を見る |
自工会地球環境部会の大野栄嗣副部会長によると、自工会として、「温暖化ガス削減に向けたパンフレット」を作成したとのこと。
大野氏の説明によると、「運輸部門では2001年度をピークにかなり減り始め…私どもは目標を達成できるとみています。ただ、このまま何の対策も講じなければ、2010年には3億トンくらいまで増えてしまうため、目標との差である5千万トンをどうやって削減するのか、様々な対策が達成計画にまとめられています。燃費改善で2100万トン削減せよとか、交通対策をせよとか、細かくみると20~30の対策がある」とのこと。
運輸部門のCO2排出量が、2001年以降減少に転じているということについては初耳である。
運輸部門のCO2排出源の90%は自動車で、乗用車と貨物自動車に大きく分けると、貨物自動車は物流事業者の対策などが効いて、以前からCO2排出量は減り始めていたが、その一方で、乗用車からのCO2排出量は増えていたが、2005年に初めて減少に転じたとのこと。
![]() | ハイブリッドカーの時代―世界初量産車トヨタ「プリウス」開発物語光人社このアイテムの詳細を見る |
しかし、減少に転じたからそれでいいということにはならず、運輸部門における2010年までにCO2を5000万トン削減目標を具体的に達成していかなければならない。 ハイブリッドは燃費が良いことで知られているが、台数はまだ極わずかで、国内自動車保有台数8000万台のうち、エコカーは30万台にすぎず、比率的には0.375%にすぎないとのこと。
その意味で、クリーンエネルギー車の効果というのはまだまだ少なく、普通のガソリン車で燃費対策しているのが効いているのが実情とのこと。
このように見てくると、自工会大野氏が説明している点、クリーンエネルギー車(エコカー)の普及に伴うCO2削減効果、不断の燃費向上対策、米国のグーグルが取り入れているような交通対策、等々により相当程度削減できる可能性があるのかもしれない。
いずれにしても、政府行政レベルによる強い指導、企業のたゆまぬ努力、ユーザーの環境意識の向上等が総合されて始めて達成可能となるのではないか…
また単に、自動車業界のみならず、各企業体におけるCO2削減努力も見逃せないところである。。。
Written by Tatsuro Satoh on 17th July, 2007