前田憙孝の牢人日誌

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看守の怒号!瞬時も気が許されない

2010-09-30 12:12:11 | 日記
検身場が終わると、今度は工場入りである。
素早く、運動靴に履き替えて担当台前に整
列である。

朝礼の準備である。ここで担当看守の号令
がかかる。「番号!」1.2.3.と順番
に言わなければならない。

当番が、安全十則を読み始める、それにし
たがつて、全員で復唱する。一人でも、遅
れたり声が出ない人がいると、たちまち看
守の怒声だ。

瞬時も気が抜けない。安全十則の次は生活
心得である。そして、最後が体操である。
結構、年寄りが多いから体もろくに動かさ
れない人もいる。それでも、看守は容赦な
く怒りちらす。

「本気で体を動かしているのか。手を抜く
な、手をー!」必死で体操をするしかない。

これで決まった席に戻り作業がスタートす
る。前にも書いたが、ビーズの皿取りであ
る。この皿取りは、まず誰でもできる。

しかし、シール貼りや袋つめととなると、
かなり技術をようする。シールの場合、袋
に貼り位置が決まっており、そこに貼れば
問題ないのだが、ただ貼るだけではなく折
り曲げる場所があり、それが熟練しないと
なかなかできない。

ビーズの袋詰めも、ただ袋につめるだけで
はなく、1メートルくらいあるビーズの糸
をカタツムリ状に巻いてから、袋に入れな
ければならない。このカタツムリ様の巻き
が難しいのである。その上看守の厳しい目
がある。とにかく、工場でも楽はさせても
らえない。

緊張する朝の瞬間

2010-09-29 17:34:10 | 日記
刑務所の厳しさは、これまでも書いた。い
っかテレビで私も見たことがあったが、まさ
にその通りだった。まず、朝起床して工場に
入るまでの間が大変である。

雑居房から、番号を言いながら出る。1とか
2とか、部屋にいる古い順から出るわけだが、
出ると直立不動壁に向かって、看守の号令が
かかるまで、待機せねばならない。

もちろん、いかなる場合も言葉を発する訳に
はいかない。いつ、不正交談で上げられるか
わからない。

看守の号令がかかると、行進が始まる。その
行進も、ちゃんと歩調をとつたもので、全員
が手の振りや、足が合わないといけない。ま
るで軍隊の行進そのものである。

下手をすると、「おーい、列外!」と、看守か
ら怒鳴られ、運が悪いとそのまま懲罰行きとな
る。

検身場に入ると、パンズ一枚になって検身をう
ける。それが、無事にすむと自分の呼称番号の
ところに、工場着がかかっているから着替えね
ばならない。

この着替えだけど、3枚なり、4枚なりを一気
に着替えるのである。一枚、一枚ではなく3,
4枚を一辺にかぶる様にして着替える。

夏場は、案外薄着だからなんとか着替えられる。
冬は、メリヤなど下着も多いから慣れないと、
なかなか、着替えるのが難しくなる。

それでも、まごまごしていると、看守の怒号が
容赦なく浴びせられる。とくに、朝の検身場周
辺には、統括主任がおり「あいつを、上げろ!」
と、看守に指示が出ると、間違いなく懲罰行き
となるのだ。朝は、誰もが緊張している。

風圧が厳しい新人時代

2010-09-28 08:30:21 | 日記
ここでは、初めて雑居に入った。雑居には房
長と言われる人がいて、まずサークル状に座
り自己紹介をさせられる。それが終わると、
房長から「ここでは、新人が新聞をとること
になっている。いいな!」と、半ば命令され
るような口調で指示される。

新聞をとるとは購読することで、もちろん料
金を払わねばならない。つぎが、掃除当番で
ある。新人はトイレを担当させられる。

この新聞をいつまで購読するかは、つぎの新
人が入ってくるまでである。場合によっては
半年も、一年も新聞だけでなくトイレ当番を
させられることもある。

雑居での話題は、何の罪名で入ったのか、刑
期はいつまでなのかが大半を占める。中には
自分の犯罪の手際よさを自慢するものもいる。

そして、決して反省した様子をみせない。こ
れは、ほかの人に対して弱みをみせないとす
る意識が働いているのだろう。

自分が犯した罪を正当化しようとする意識は
人間は、当然働くものなのだが、ここの中で
は過剰なくらい自分を正義の味方?につけよ
うとするのだ。

その意味では、犯罪を犯したのは当たり前の

とにかく、新人の間は
ような感覚をもっている。

話を聞いていると、犯罪者なのにまともに見
えるのも、この中にいればこその現象かも知
れない。なにかにつけ他からの
風当たりは強い。

塀の中の処世術?

2010-09-27 09:16:55 | 日記
私は、拘置所から274日目に刑務所移管
となった。移管は前日に分かったが、何
処の刑務所なのかは知らされなかった。

移管当日になり、想像していた老人刑務
所と言うことが分かった。刑務所行きの
バスが用意され、高速道路を走りながら
色んな思いにふけったのだが、なんとし
ても、久しぶりに見る山の青い木立が印
象的だった。

それと、バスのスピード感だ。本来、自
分でも車の運転はするのに、早さに気持
ちが追いつけないのか、車酔いしそうな
雰囲気だつた。

人間、一時的であれ閉ざされた世界にい
ると、そこに順応してしまって、外界の
ちょつとした刺激にも、なかなか着いて
いけないのを思い知らされた。

バスの乗車時間は、約1時間40分ぐら
いだっただろう。バスは、高い塀の中に
すいこまれた。

いよいよ、刑務所生活の始まりである。
入って何があったかは、前に別の項で書
いているので省略するが、先ず一点違っ
たことは、ここは老人や初犯刑務所では
なく、普通の?刑務所だったことである。

この刑務所には6工場あるが、老人はそ
のなかの2工場だけで、後は若い人だっ
た。

また、初犯者だけではなく累犯の人も多
かった。確かに初犯の人もいたけど、総
体に占める割合は僅かだった。当然のこ
ととして、累犯者の鼻息は荒かった。た
だ、初犯か累犯者か自分がいわなければ
分からない。

生きる術と言わんばかりに、累犯者顔を
するのだが、初犯者は総てにぎこちなく
直ぐ、新参者だとバレてしまう。

塀の中の処世術?も並大抵ではないのだ。


誤審では再審理由にならない

2010-09-26 10:05:08 | 日記
M君は、独居に入れられた。独居は未決か
らで初めてではない。壁から壁に両手を広
げると触れるくらいの狭さである。

約二畳位に、洗面とトイレが付いている。
トイレは70センチ四方のベニヤみたいな
衝立で仕切られ、自由に動かされる。また、
タテ30センチ、ヨコ42センチくらいの
食台(机とも言う)が置いてある。

壁には、衣類を収納する棚(幅32センチ、
高さ40センチ)が取り付けられている。
ほかに、洗面器、バケツ、雑巾1枚、布巾
1枚がある。

ところで、M君は独居に入っても冤罪者と
して最高裁に再審すべく、弁護士宛てに裁
判での誤認個所を詳しく書いて、四通出し
た。何故か、弁護士からの返事はなかつた。

あとで、分かったのだが、裁判で誤認があ
ろうが、間違っていようが、そんなことは
全く再審には関係がないということが、分
かった。

菅谷さんみたいに、DNA鑑定で有罪にな
った人は、その鑑定が間違っていれば、当
然裁判のやり直しということになる。が、
一般的に誤認では、最高裁は取り上げてく
れないのだ。

考えれば、日本の司法の恐ろしさは、ここ
にあるのではないだろうか。犯罪者製造マ
シンに乗せられたが最後、先ず底からの脱
出は不可能に近い。

すると、最高裁が取り上げてくれる唯一の
方法はとなると、法律違反と言うことらし
い。それを見っけ出さない限り、裁判のや
り直しはない。最高裁が、棄却を連発する
のはそこにある。

法律違反など、とても素人が見つけだすこ
となど、至難の業である。砂浜でダイヤを
探す様なものである。