今日も、畑仕事から帰っていると、隣の虎八がしかけた虎バサミに鶴が捕まっていた。
畑を荒らすイノシシやタヌキを駆除するために仕掛けた虎バサミにこうも鶴がかかるのは何故なのか。
もしかしたら、虎八の虎バサミには鶴の心を捕らえて離さない何かがあるのかもしれん。
幸い、鶴の足は細く、虎バサミの刃の隙間に収まっていたようで、罠を外してやったら少しビッコを引きながらも数歩歩いて飛んで行った。
しかし、こうも鶴ばかりかかるようでは、本来のイノシシやタヌキがかからないではないか。
そうなると、今年の芋が採れず、虎八のやつ、ひもじい思いをせねばならない。
なんせ、イノシシやらタヌキやらは芋をはじめとする穀物?炭水化物が好きだからなあ。
それに、イノシシやタヌキがかかれば、貴重なタンパク源にもなる。
なんと言っても、イノシシ鍋はうまい。
タヌキはちょっとクセがあるが。
まあ、でも、味噌で煮てしまえば、なんでも美味しいからなあ。
ネギと一緒に煮れば、全く問題ない。むしろその臭みが食欲をそそるってもんだ。
しかし、アレだ。
虎八の虎バサミにここまで鶴がかかるとなると、虎八は商売を変えた方が良いかもしれん。
つまり、鶴を商売にするのだ。
将軍さまに愛玩動物として鶴を売るとか。
しかし、鶴では観賞用にしかならないからなあ。
観賞用に高値で売れたとしても、たかが知れている。
観賞用の鶴に大金を払う人はごく少数だ。ものすごい金持ちに限られる。
一羽十両で売れたとしても、ごくたまにしか売れないのでは、年収は三十両とかになってしまう。
鶴を食用として売り出そうって言ったって、食い出はないし。
味噌で煮たところで、スジばっかりだ。
2、3時間煮れば柔らかくなるかもしれんが、だったら、ニワトリの方がよほど食い出がある。それに、コスパがいい。
ニワトリはそんなに長時間煮なくてもいいし、身も多い。
或いはウサギとか。
虎八に、また鶴が掛かっていたことを教えてやらなければ。
っていうか、こんなにも鶴が掛かってしまうのなら、虎八!追い払えよ!!