Semantic High!

グルコースの中の人のブログ

研究者から見たWeb2.0

2006-12-07 02:05:54 | Research
研究者のお仕事として、新しい分野を開拓する、文字通りの「研究」をすることはもちろんですが、もう1つ、いまの時代や状況がどういう成り立ちをしているのかといったことを言葉で説明してみるという役割があるのではないかと思っています(後者ばかりをやっていると評論家と呼ばれてしまいますが…)。個人的に2006年を振り返ると、たまたまそういった機会が多く、結果としていくつかの記事が手元に残りました。いつもは、こういう記事は同じ研究者の中でだけ流通するものですが、少し思うところがあってHTML化し、公開してみることにしました。

あれやこれやの経緯があって、Web2.0という言葉と切っても切れない世界にどっぷり浸かっています。そうすると「Web2.0ってどうなの?」あるいはもっと直接的に「Web2.0はいつ終わるの?」と聞かれることがあるのですが、ぼくはいつも楽観的な返事をしています。10年ぐらいは大丈夫なんじゃないの、とかなんとか。

まあ正直なところ、ビジネスの世界で「Web2.0」という言葉が存在し続けるかどうかはよくわかりません。Web2.0だから確実に儲かるとか、Web2.0だから絶対に儲からないとかいうものではなく、ちゃんとビジネスができるところが残って、そうでないところは残らないという、当たり前の世界でしかないのだと思います。

一方で、じゃあWeb2.0という言葉に意味がないのかというと、それはまた違う話かなとも思います。人がWebを受け入れ、その結果としてまたWebが変わっていくというサイクルのスピードは過去に例を見ないものであり、その「勢い」そのものに注目し、名前をつけたくなる気持ちは何となくわかります。

今年、立て続けに書いた記事では、そういう勢いであるとか、その勢いをなしている個々の事象なり現象を(そればかり)取り上げていますが、別にその名前が何であろうが、あるいは名前がなかろうが、それらはやっぱりあったはずです。そしてその勢いは、多少名前が消えたりするぐらいでは衰えようがないというのがぼくの見立てです。

ということで、もしご興味とお時間がありましたら「Web2.0 3部作(仮称)」をご覧いただければと思います。いわゆる論文口調で読みにくいところがあったり、それぞれ重複する記述がありますが、ご容赦ください。そして、忌憚のないご意見をお待ちしています。

「リアルワールドとしてのWeb」(人工知能学会誌 2006年7月号掲載)

「SNSの現在と展望」(情報処理 2006年9月号掲載)

「Web2.0と集合知」(情報処理 2006年11月号掲載)
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