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ギリシャ破綻、ゴールドマンに非難集中 Bet Against It and Won

2010-02-26 | グローバル経済
2010年2月26日(金)

ギリシャの財政破綻と金融システムの崩壊を懸念するムードはますます市場で強まっていて、国債の投売りとギリシャ政府債務の格下げへの懸念から、昨日ギリシャ国債は一日としては最大の下げを記録し、2年物ギリシャ国債の利回りは、6.4%まで上昇している。

これに伴いユーロは対ドル・対円で一年来の水準まで相場を下げた。ギリシャ政府の緊縮財政への決意を新たにしたが、市場は沈静化しなかった

米国連邦準備制度(the Federal Reserve Board)のBen Bernanke議長が議会で、「公的債務問題に苦しむギリシャをデリバティブ取引に引き込んだことに関してGoldman Sachsを調査している」こと、また強制捜査権を有する「米国証券取引委員会(the US Securities and Exchange Commission)も本件に関心を寄せている」という趣旨の証言を行った。

The New York Timesは、その見出しで、「銀行は、不良債権を束ねて売って、逆張りで大もうけ」(Banks Bundled Bad Debt, Bet Against It and Won)と一連の動きをうまく要約している。

同議長が問題としているのは、このゴールドマンサックスが使用したクレディットデフォルスワップト(credit default swaps :CDS)という手法である。これは今次のリーマンショックに象徴される金融崩壊の原因の一つとなったデリバティブであり、すでにドイツはこの手法を禁止する提案をG20に提出する方針であるとの未確認情報をFinancial Timesが伝えている。

ゴールドマンは、為替のスワップ契約を利用してギリシャ政府の公的債務を簿外化して、EUが加盟国に課している対GNP債務比率の制限から、見かけ免れるように幇助したと非難されているのである。そして同社はその取引から数百億円に上る手数料収入を得ていたこともあわせて糾弾されている。

ゴールドマンなどの金融大手は、サブプライムローン危機の際も、このCDSを使って大きく稼いだ。市場の信用度の低い債権(debt)を、複雑にパッケージ化した新規の流動化証券として仕立て売り出す。そして、ゴールドマンなどの金融会社は、債権債務にはまったく関係のない第三者にいわば債権の破綻保険であるCDSを別途売り出すのである。

そしてここからが圧巻であるが、破綻を予測して逆張りし(bet against it)、空売り(short selling)を大量に仕掛ける、そして予測どおり証券の値崩れが起こって巨利を得るという自作自演を行った。

ゴールドマン幹部は今週英国議会で証言に立ち、ギリシャに関しては、「まったく違法なことはしていない。ただ取引に不透明なところがあった」と認めたとFinancial Timesが報じている。



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