離島の思い出

2017年4月から二ヶ月の、素晴らしい島暮らしの日記。
今は更新しておりません。

つる姫の島ぐらし~2日目・歩けば自分の路になる~

2017-04-07 | 日記
さて、そんな夜が明けてみると、私の中のマイナス思考は消え失せて、あまり質は良くなかったけど、寝ると言う事は色んな意味で大切な事なんだなあと再認識。
買い物の失敗にて朝ごはんは

修行僧の朝ごはんなのでありますが、もっとも以前から私の朝ごはんはこんなもの。おまけに海苔とたまにおしんこがあるくらい。

昨夜の「食」の不安は、まず歩いて行ってみる事で解決するはずだ。
実は私はそこまで食べる事に執着しない方なんですが、今回は違いますよ。
食べるのは生きるためなんだなあと、当たり前のことを再認識。まあ無人島生活をするわけではないのですがねえ。

スーパーまでは迷うような道でもない。トライアルハウスの前にある道をまっすぐ行けばよいのだ。

9時半。
旅用の空(から、ですよ、そらじゃないですよ)のリュックを背負って、なだらかなのぼりの道を、食べ物を求めて歩く。

買い物難民になりそうだと聞き、友人がまさか釣りをして糧を得ようとしているのではないか、と心配してラインをくれたのですが、それもありかな、と思い一人でにやにやしながら歩く。
しかし、あの海岸では釣りというより、投網漁でもするしかないか。
おまけに山猿の私は全く泳げない。
沈む一方ですので、素潜りなどもできず「獲ったど~~!」もできません。
最悪、近隣の果樹園の下に落下しているかんきつ類を、小鳥やカラスと争うしかないのか。

いやいや、無人島生活ではない!
などど、楽しい事ばかり考えながら行くと、沢山の鶯の声が聞こえてきます。

私のイメージでは、山に入った時にしか身近に感じないうぐいすも、ここでは人や車が行く道のすぐそばで鳴いているものが多いのです。
ふと電線を見ると、灰色の地味な鳥が落ち着かなく身体をくねくねさせて、ホーホケキョと鳴いています。
うぐいす色という言葉があり、メジロのようなのがその色なのかな、と思っている人の一人ですが、うぐいすはそんなにきれいな鳥ではないですね。

このうぐいすは「ほーほけきょ ふぃ~~」みたいな鳴き方をしていて、本当に可愛らしく、スマホの動画にとって友人たちに送りました。
因みにうぐいすの鳴き声ですが、ほーほけきょ、というのは恋の季節の鳴き方だとか?他の時期は違う鳴き方をしているそうです。
上手下手ではなく、うぐいすさんたちの使い分けのようですよ。

さて、そんな上りの道が、今度は下り道になりました。
自転車でもあればな、と思っていたのですが、電動ならともかく、今来た道を上って来るのは大変でしょう。

そしてまさにちょうど一時間歩いて、昨日立ち寄っていただいたスーパーへとうちゃこ。
今日は何が何でも「コメ」を買わにゃあならん。
私はパンは滅多に食べないので、コメは生活必需品なのです。
この日は、まず米を二キロ。調味料関係、乾燥わかめ、野菜類、飲みたくてしょうがなかったコーヒーなどを購入してリュックとレジ袋ひとつぶら下げて
バス停に行ってみようと思った時に、ガソリンスタンドの前に、バスのカードがどうのこうのという、幟を見つけました。

ここの人なら乗り方知っているだろうと思って尋ねてみると、三人の従業員さんもバスの乗り方はほとんどご存じないとの事で、みんなでバスの時刻表とにらめっこするも、結局わからないようです。
トライアルハウスに二ヶ月滞在する事や、ここまで歩いてきた事、コメさえ入っていなければ、歩いて帰るつもりだったのですが、などと話していると、バスはダメだから、送ってあげますよ、と従業員さん達。

私は全くそんな事を期待していなかったので、びっくりでした。ここに住む限り、自力で何とかしないといけないと腹をくくったばかりでしたし。
二人のご婦人のうちの一人が自分の車をとってきて、送って下さる間に、色々お話をさせていただきました。
町の方で自転車位貸してくれればいいのにね、とご婦人。
うちには、役場の人が給油に来るから、色々伝えておいてあげますよ。などと親切な事を言ってくださいました。
私自身は、島暮らしは不自由だろうとは覚悟していたし、この日は歩いて一時間でスーパーに行けるとわかったので、とにかく自分で何とかするように考えます、などと話しました。

トライアルハウスまで送ってくださり、何かあったらいつでも来てくださいとまで言って下さったご婦人に心から感謝して、合掌。
颯爽と去って行く車を見送って、帰宅。

いやいや、有り難かったけど、二度とお世話にならないよう頑張らなくては、と思いながら買った物を整理して想う。
世の中って、本当はいい人が多いのだろうか。
旅の途中でも色んな人の温かさに触れる事もあったけれど、今回のはなおさらこころにしみる。
どこから来て何を考えているかわからないオバサンが、この町にしばらく滞在しようとしている。
なんのかけひきもなく親切にしてくださるこの方達の、根っこからの温かさを感じました。
この町にも色んな方がおられるでしょう。どこでも同じですが、この有り難いご縁はたぶん、これまで積み重ねてきた自分が引き寄せたご縁なのだ。
そう思えました。
そう思えること自体が、有り難い事でした。

しかしまず、この出会いは基本「コメ」のお蔭だ。
コメがなければ、私は歩いて帰ったのだから。
さすが農耕民族。コメがつなげる素敵なご縁。
しかし、二キロの米って一人でどの位で食べつくすんだろう。。

さて、ある程度食材や調味料もそろったし、歩いたことで、道や状況が把握できたので、不安要素はほとんどなくなりました。
卵を調達したので、昼ごはんは。。

アハハで、朝ごはんを二度食べた気分ですが、作り置きのみそ汁に、わかめが入った♪
ふりかけ的なものもあるし、味噌は初日に買ったから、最悪ご飯とみそ汁で生きられる。

お皿の種類がふたつしかないので、盛り付け等はご了承ください。
初日に買ったレタスが、むいてみると中がずるずるになってて(汗)いいとこだけとって早く食べつくさないと。

しつこいようですが、二キロの米で食に不安がなくなった私は、そろそろ落ち着いて絵の一枚も描こうかな、と大中小のサイズを持ってきたスケッチブックの中(なか、じゃないですよ、ちゅうですよ)を選んで、持ってきた鳥の図鑑からニュウナイスズメを選択。
晩御飯を挟んで夜には完成。





しかし、ホントは目の上は白いのに、つい手が・・。
消せないので、一発勝負なボールペン画。デッサンの練習にもなるので頑張ってみます。

油絵の道具は持ってこれないので、来る前にボールペン画に目覚めておいてよかったと思いました。

テレビがないし、何故かGyaoが繋がらないのでUtubeの映画を一本観ましたが、さすがに三流でした。ただし、とてもいい場面もあったのでそのうちご紹介します。

晩御飯は、安いから買ってきたささみのマヨネーズ焼き。次に買い物に行ったら油を買ってこないと。


今は、朝起きたらすぐにクラシックを流します。
いやなニュースも全く見ずに済んでいます。

このまま行くと二ヶ月で神か仙人になるかも知れません。
千人に一人の確率でしょう。

頭痛も嘘のように収まりましたが、昨夜のあの異常な寝汗。
もしや熱でもあったのかな、といまさら思いながら就寝。
そう言えば、口の端に熱の花のような物も新たにできている。。。まじか。
風邪も熱も何年も出したことのない、心臓の悪い私なのでした。


バスに乗る方法を案ずるよりも、自分の足で歩いてみたことで、この島の一部が自分の路になったような気がした一日でした。
一歩踏み出す事の大切さ。大袈裟なようですがそれもこれも、身体が元気なお蔭です。



今日も最後までお付き合いくださりありがとうございました。

感謝をこめて