ふとしたこと

日々に気づいたことを書きます

ああ、大文字・・・

2010年08月12日 06時05分44秒 | 
幼稚園の頃、今で言う年少組に属していた4歳の頃の記憶が膨大に詰まっている。

京都にあったマクリン幼稚園というのに通ったのは、

昭和24年の4月から7月までのわずか4ヶ月。

8月に父親が会社を首になって、東京へ帰ることになり幼稚園も中退した。

その後は幼稚園には行かず、小学校に入るまで遊び暮らしていた。今と同じだ。

その最後の8月に、家の南の北大路通りから東に大文字が見えた。

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昭和48年から大阪暮らしが始まった。

これは足掛け5年続いたが、このときも大文字を見に行こう!と思ってた8月16日が

大雨で、こりゃ中止だろうと勝手に判断して行かなかった。

翌朝、毎日新聞一面に、「雨にしっとり大文字」と写真入りで載ったのには、ガックリ。

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平成14年 一年だけ大阪で仕事をしてた。

Nikon S2にASA800の高感度フィルムを詰めて、8月16日に京都へ出かけた。

その日もとても暑く、阪急四条河原町駅から鴨川沿いにテクテク歩いて、出雲路橋。

橋のたもとにCafeがあり、大勢の人がビアを飲みながら大文字が浮かび上がるのを

待ってる。

オイラが座る場所なんて、どこにも見当たらなかった。

情けねぇ顔してボンヤリしてたら、どこからともなく、「こちらへ来られませんか?」

ふと、声の方を見ると、まぁ~。

二十歳くらいの女性が、「こちらでよければ、ご一緒に見られませんか?」と。

ンな、ことってあるんかいな?

当方57のお爺だぜ。

「ヨ、ヨ、ヨロシイので?」とよろめく足でテーブルに近づく銀。

なんちゅう美人二人組だ!!

鼻の下がズヨ~んと思いっきり伸びてしまったではないの?

有難く座らせていただいたので、これはお礼にとビアやツマミを差し入れる。

差しつ、差されつを繰り返してるうちに、美しい大文字が浮かび上がった。

ああ、生きてて良かった・・・こんな大文字見物は生涯二度とあるまいよ。

で、しばらく見ていたが、ここは「キッパリ」席を立つことにした。

「どうです?お近づきの印に先斗町で改めて一杯やりませんか?」

と、言えなくもなかった。

しかし、ここは初老の男としての意地を張りたい気持ちが勝った。

「今日は本当に有難うございました。私はお先に失礼致します」と銀。

「もう、お帰りどすか?」とお嬢。

「はい!50年ぶりの大文字はことのほか綺麗でした」と銀。

ひっくり返るほど後ろ髪を引かれたが、気持ちがなえぬうちに退却した。

そうしないと、折角の大文字が汚れるような気がして。

帰りの阪急電車の窓からは、舟形が見えた。

結局、オイラなんて、この程度の男なんだなぁと思いながら。

参考までに、フィルムは露光せずでした。

8年前の思い出です。

また大文字が見られるのだろうか・・・・






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