CBTセンター

認知行動療法の使用感・使用例などを具体的に書き込む

震えるという悩み③

2006-04-19 | 様々な困りごと
書痙へのエクスポージャーは
①例外的に上手く書けたときの記憶を思い出して(in vitoro)みる
②実際に(in vivo)誰かの目前で字を書いてみる
という二段構えでした。

①カウンセリングルームで、カウンセラーの前で紙にぐちゃぐちゃの線を書いてもらう。
人前で何かを書くと「ひょっとしたらまた震えるかも」とよき不安を持たれ、緊張されるのですが、ぐちゃぐちゃの線であれば震えようが無いというか震えもぐちゃぐちゃの一種になるので失敗が無いからか、抵抗無く書けます。

②同様の状況で、線をぐちゃぐちゃになぞってもらう。
私が引っ張った線上を、わざとのたくりながらうねうねとなぞってもらいました。これもまあ書く事の抵抗を感じずに書けます。

③同様の状況で、線のぐちゃぐちゃを半分にしてもらう
より線に近くなぞってもらいます。

④以下、より半分にをくり返して、線分をまっすぐなぞるようなところまで行く

こんな感じで段階的な暴露をしました。

次は○を描いてもらいました。ものすごく小さな○から徐々に大きな○にしていってもらいます。

てな感じで、部屋での暴露は進んでゆき、カウンセラーの前ではおおよそ文字まで書けるようになった。
最後に認知的再評価を行って、課題。
課題は「銀行で1000円引き落とすのを振込用紙を銀行内の用紙を書く場所で書いて出す」というもの。その後カウンセリングが進むに従って「他の人が向かいで書いているカウンターで書いて出す」⇒「受付の差し向かいで書く」みたいに展開してていった。

他にも2,3種類の「人前で書く」課題が出され、同時に人前で書いた時のセルフモニタリングを書いてもらう事で認知再構成を促し、4,5回で書く事を回復されました。

私の記憶の中ではその方はもう1つ特徴があって、確か76歳男性というちょっとない年齢の方だった事が印象に残っています。高齢の男性の方はカウンセリングどころか誰かに悩みを相談するという事も少ないと思っていたので、びっくりしました。
その方が自ら治療を求めていらっしゃったという事だけでも、ほとんど治ってたのでは無いかなと思います。