ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

大きなお父さん(1)

2008-04-14 | 放蕩息子Part2
あるところに、小さな男の子と大きなお父さんの親子が住んでいました。お父さんは、朝早くから畑の仕事に出かけます。男の子もお父さんについて出かけます。夕方家に帰ってくると、お父さんは、夕食を作ります。男の子もお父さんと一緒に作ります。

ある日のこと、男の子は、台所にあるお米の入った壷が、ほとんど空になっていることに気がつきました。そして、心配になってきました。「これでは、明日かあさってには、もう食べるお米がなくなってしまう。そしたら、僕たちは、何も食べるものがないじゃないか。どうしよう」

食事の間も、男の子は、そのことばかり考えていました。お父さんが、男の子の様子に気がついて、言いました。
「どうしたんだい。今日は何か心配そうな顔しているけど」

男の子は、ほとんど空になっているお米の壷のこと、そして、お米がなくなったら何を食べるのか心配していることを話しました。

お父さんは、にっこり笑って、
「まずは、この美味しい夕食を食べようじゃないか。それから、いいものを見せてあげよう」

男の子は、心配しながら食べたので、ちっとも美味しくありませんでした。

(つづく)