ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ぼくはセミになったのさ(1)

2008-06-23 | 放蕩息子Part2
あるひっそりとした明け方のことです。一匹のセミの幼虫が、静かに、地面に姿を現しました。そして、木に登り、おあつらえ向きの場所を見つけ、止まりました。

しばらくすると、背中が裂けてきました。少しずつその避け口が広がっていきます。

ついに、その避け口から、セミが出てきました。まだからだは、白っぽくて、とても柔らかです。だんだん、からだが堅くなり、一人前のセミになりました。

セミは、力強く、森の中に飛んで行きました。

(つづく)