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無知は罪である

2011年04月15日 23時26分18秒 | 人が人であるために【人権】

避難してきた子に思いやりを 船橋市教委、小中に通知(朝日新聞) - goo ニュース

上に引用した記事の詳細は、こちらの記事からも参照できる。

また、将来リンク先から記事が閲覧できなくなる時に備えて、以下に記事全文をコピーしておこう。 

 原発事故で被ばくを恐れ福島県から避難してきた子供が「放射能怖い」と偏見を持たれるケースがあるとして、千葉県船橋市教委が全市立小中学校長らに配慮するよう異例の指導を行っていたことが分かった。福島県南相馬市から船橋市へ避難した小学生の兄弟の事例では、公園で遊んでいると地元の子供から露骨に避けられたという。兄弟は深く傷つき、両親らは別の場所へ再び避難した。大震災から1カ月たつが、福島第1原発の深刻な事態が収まる見通しは立っていない。知識の欠如に基づく差別や偏見が広がることを専門家は懸念している。【味澤由妃】

 南相馬市の小学生の兄弟のケースは、避難者の受け入れ活動に熱心な船橋市議の一人が把握し、市教委に指摘した。市議によると兄弟は小5と小1で、両親と祖父母の6人で震災直後船橋市内の親類宅に身を寄せ、4月に市内の小学校に転校、入学する予定だった。

 兄弟は3月中旬、市内の公園で遊んでいると、方言を耳にした地元の子供たちから「どこから来たの?」と聞かれた。兄弟が「福島から」と答えると、みな「放射線がうつる」「わー」と叫び、逃げていった。兄弟は泣きながら親類宅に戻り、両親らは相談。「嫌がる子供を我慢させてまで千葉にいる必要はない」と考え、福島市へ再び避難した。

 福島県から県内に避難し、この家族をよく知る男性は「タクシーの乗車や病院での診察を拒否された知人もいるようだ。大人たちでもこうなのだから、子供たちの反応も仕方がない。でも、当事者の子供はつらいだろう」と話す。

 市議の指摘を受け、船橋市教委は3月28日「(放射能への)大人の不安が子どもたちにも影響を与え、冷静な対応がとれなくなることが危惧される」として、避難児童に「思いやりをもって接し、温かく迎える」「避難者の不安な気持ちを考え言動に注意する」よう市立小中学校長らに通知した。

 市教委によると今月から市内の学校へ通う被災者・避難者の子供は43人で、うち38人は福島県出身という。

 避難児童を多数受け入れる市立行田西小学校の中村俊一校長は、「温かく迎えるのは言われなくても当たり前のこと」と強調。「放射能を巡る偏見や方言で児童を傷つけることがないよう注意深く見守ろうと、教職員に何度も話している。始業式や入学式で『いつか古里に帰れる日が来るでしょう。その時に船橋に来て良かった、友達ができて良かったと思ってもらえるよう仲良くしてください』と呼びかけた」と話す。

 市教委に指摘した市議は「話を聞き、心がさみしくなった。船橋の子供たちにはいつも『思いやりのある人になってほしい』と言っている」と話す。

   ◇  ◇

 千葉市稲毛区の放射線医学総合研究所(放医研)は福島第1原発事故直後の3月14日、放射線や被ばくを巡る電話相談窓口を開設。研究員や退職者6人が朝から深夜まで応対している。相談は主に首都圏から寄せられ、すでに6000件を超えている。

 震災直後は「原発近くに住む親類を家で受け入れたいが、自分の子に影響はないか」という内容が多かった。その後、避難者の数が増えると「アパートの入居で難色を示された」「福祉施設や病院で被ばく線量を調べるスクリーニング検査の証明書の提出を求められた」などの相談が急増した。

 今回の船橋のケースも踏まえ、放医研の柿沼志津子博士は「大人をまず教育したい。受け入れる側が心配すべきことは何もありません。むしろ心配しすぎる方が体に悪い」と指摘。「放射線について正確な知識に基づき、『正しく怖がる』ことが大切です。もっと勉強してほしいし、私たちも理解を深めてもらえるよう努力しなければならない」と話す。放医研は相談窓口(電話043・290・4003)を当面続けるという。(毎日新聞 2011年4月13日)


別にこの記事を使って魔女狩りをするつもりはないが、改めて無知や無自覚は罪であると思った。

いや、言葉を補足すれば「無知」そのものが即罪になるとは言い難い。「無知」をそのまま放置し続けることが、結果として今回のような「罪」(風評被害)を生み出し兼ねないということだ。

かくいう私も、3月11日以前は原発についてはかなり「無知」であり、最近ようやくミリシーベルト(mSv)とマイクロシーベルト(μSv)の違いが分かるようになったぐらいだ。もちろん今でも専門ではないが、少なくとも放射線被ばくが伝染病ではないことぐらい知っている。

加害者側の児童や保護者は、この「無知」により生み出される罪の重さを真摯に受け止め反省して欲しい。

また同時に、この種の「無知」の克服に国民全体で努めるべきだと思った。

双方(加害者と被害者)の感情の応酬だけでは、差別が差別を生む負のスパイラルが続くだけだ。

これを我々国民の「学びの場」として捉え、被害者がいつ加害者になるぞやしれない現実をも自戒すべきだと考える。

それにしても、上のような悲しい理由で福島に戻らざるを得なかった親子の心情を慮るに、まさに断腸の想いであったことは察するに余りある。一人の親として、また一人の人間として、非常に居た堪れない気持ちになった......。

避難してきた子どもや親たちに罪はなかろう。 二度とこのような悲しい事件を起こしてはならない。

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2 コメント

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失礼いたします。 (tenjin95)
2011-04-16 06:24:46
> 管理人様

とても悲しいことですが、類似事例が全国で多発しているようです。

原因の1つが、放射能・放射線に対する圧倒的な無理解にあることは疑い無く、基本的に、怖がりすぎの人が多いように思います。

放射能は、伝染病(伝染病だったとしても、患者さんへの差別は許されませんが)ではないし、或いは青酸カリや一酸化炭素のように、吸引したその場で、いきなり即死するような猛毒でもありません。そして、万が一放射性物質が、皮膚などに付着したとしても、水洗いで簡単に除染が可能です。

事実を知ろうとせずにただ怖がる大人を見て、子供は避難者を差別するのです。到底許されることではありません。
助化師さま (布教師@Net)
2011-04-16 15:56:00
ご無沙汰しておりましたm(__)m

海外布教に関する再版事業、ご苦労さまです。

さて、今回のコメントを受けて記事の方も補足しました。

「無知」そのものが罪というより、「無知」であり続けるということ自体が罪を誘発するということですね。

誰しも「無知」な時期はある訳で、大事なことは「無知」であり続けることの恐さを自覚することですね。

「無知」で由とする意識がなければ、今回のような悲しい事件は起きなかったと思います。

自戒の念を込めて、無知であることの恐さに敏感になるべきだと感じました。

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