心配ないさ~

ふくたまの日常生活のつぶやき

技術者として…

2011年01月26日 15時54分27秒 | お仕事
今ようやく家に帰ってきました。

前回のブログで書いた件はなんとか期日に間に合い、成功させることができました。

正直その時点では1/25までに作業を完了させる自信は全くなかったんですよ。
でもやらなきゃいけない。
自分を鼓舞するように、ブログを書いていました。

以前名古屋で働いていたとき、お客の部長さんからよく
「何か無理だと思えるような仕事が舞い込んできたとき、できない理由を探すんじゃなく、
成功したところを思い描き、成功するにはどうしたらいいか考えるんだ。
何が何でも成功させるという強い気持ちを持って、作業にあたるんだ。」
言われていました。

この四日間、何度もその言葉を思い起こしていました。

今日の明け方、プログラムをお客さんに納品した時、やりきったんだ…と
達成感が湧き上がってきました。

粘り強く、辛抱強く、そして何より決して諦めずにやり通しました。

順調にいったかというと、全然そうじゃなかったんですよね~。

ちょっとこの四日間を振り返ってみたいと思います。

【1/22(土) 序章】
まず、1/22(土)はメンバーのAくんと、Bくんに単体テストをやってもらいながら、
私はプログラミングと、単体テストで出たバグをつぶすという体制で作業していました。
本当はその日に終わらせる予定でしたが、いろいろな別作業が舞い込んできて、
結局作業は終わらず。

やむなく、1/23(日)は私一人だけでなく、Aくんと、Bくんにも出社してもらうことに
なりました。徹夜するつもりでしたが、二人に協力してもらうことになったので、
とりあえず、午前4時まで作業をし、椅子を並べそれに寝そべり睡眠。


【1/23(日) 転落】
1/23(日)は二人が出社するまで、昨日出たバグの改修をし、何とかそれは終わらせました。
そして、昨日と同じように私:プログラミング、Aくん、Bくん:単体テストで作業を開始。
次工程の結合テストは1/24(月)、25(火)の二日間。早く単体テストまで終わらせ、
結合テスト仕様書を書かなければ…と思いながら作業していると、ふとC社さんは
その二日間何人テスターを出せるんだろう?確認しておいた方がいいなと思いました。

この案件は私の会社だけでなく、何社かで担当しています。
結合テスト期間はうちの会社からAくん、一人ぐらいC社さんから出してもらい、
共同でテストを実施することになっていました。

すぐにC社のリーダーCさんに電話しました。

私:明日からのテストについてですが、御社は何名出す予定ですか?

Cさん:え??もう弊社担当分の結合テストは実施しましたよ。

私:え??実施した??

Cさん:はい、だから弊社担当分は実施し終わったんですよ。

私:いや、テスト実施は24、25日ですよ。

Cさん:いや、まぁとにかく弊社担当分は終わったんですよ。仕様書兼成績書をサーバーに
    アップしているんで見て下さいよ

(しばらく確認…)

私:今見ましたけど、テスト項目数が足りていませんよ。てかこれ結合テスト仕様書
  じゃなく、単体テスト仕様書になっていますよ。しかもNGが出て残っている
  じゃないですか。

Cさん:NGはうちの作ったプログラムが原因が分からない。御社にあるかもしれない。
    とりあえず、もううちは24、25日はもう人出す予定はないですよ。

私:ちょっと待って下さい、このNGは明らかに御社担当のプログラムに原因が
  ありますよ。
  (詳しく説明)
  というかこれは結合テスト仕様書として認められるレベルじゃないですよ。
  これをお客さんに出すと激怒されますよ。

Cさん:はぁ、結合テスト仕様書になっていないと?
   (↑詳しく説明したが、仕様を理解していないため意味が全く伝わらない)

私:とにかく、私の方で御社担当分の結合テスト仕様書も作って差し上げますから
  24、25日は人を出して下さい。

Cさん:いやもう、うちは出ませんよ。

何度かやり取りしてラチがあかないと思い、私は電話を切り、我々の発注元に電話し
C社さんをどうにかしてください!とお願いしました。

発注元もC社がテスト仕様書作り予定前に勝手にテストを実施したことに怒っており、
それは冗談じゃない、すぐにC社に電話する!といってC社と話をしてくれました。

でもC社は頑なに拒み続け、結局保留に。

C社から人がこなければ、とても二日でAくん一人で終わるテスト量ではない…。
急遽Bくんにもテスターとして明日は作業場所に行ってもらうことにしました。

時刻は午後10時。ようやく単体テストが終了しました。
Aくん、Bくんの協力なくして、納期ギリギリの単体テスト終了はありえませんでした。
土日なのに文句一つ言わず、作業してくれてありがとう…。感謝しているよ。

二人が帰るのを見送り、さてこれから結合テスト仕様書作成開始!
テストは明日午前9時より開始されるので、それまでに作り終える必要があります。

午前2時、私の会社の担当分のテスト仕様書を作り終えました。
ここでちょっと迷ったんですよね。C社の分まで作るかどうか。

やる気がなく、このプロジェクトに非協力的なC社のために作ってやる必要があるのか?
と思い、もう寝ようかと思いました。

でも、やはりC社が作った結合テスト仕様書で品質が保持できるはずがない。
「結合テスト」仕様書になっていないんだから。

この案件は12月から私がずっと一人で全社分の基本設計、詳細設計を100時間ぐらいかけ
担当してきたもので、C社は私の指示に従って4、5時間プログラミングしただけに
すぎません。

この案件は自分のSE人生の中で最も難しい案件だったと思います。
徹夜を繰り返し苦労してお客さんに承認を得た仕様だけに、思い入れがC社の何百倍
もあります。
この案件最後の確認である結合テストを(総合テストは全く別会社が担当)、
こんなふざけたもので終わらせたくない!という思いが湧き上がってきました。

C社のテスト仕様書は全て破棄!作るぞ!と決心し、何とか午前5時に作成が完了
しました。

これでようやく、明日午前9時からの結合テスト開始に間に合う…。

安心した私は椅子の上で気持ちよく眠りにつきました。


【1/24(月) 決意】
午前7時。椅子の上からむくりと起床。

睡眠時間は2時間。1月に入ってからまともに睡眠をとっていない。

眠い…。

でも月曜日は午前10時から毎週定例の進捗会議があります。
この案件に全パワーを使っているので、進捗資料を作っておらず、あと3時間で作り
上げなければなりません。
午前9時半になり何とか作成完了。

作ってみると、やはり全体的に遅れが生じている。
お客の部長さんから怒られるかな~。でも、他の会社さんの分もやっているし。
まぁとりあず乗り切ろう、と思った矢先、お客のD課長からみんな忙しいから進捗会議は
中止という連絡が入ります。

嬉しいやら残念やら…。

Aくん、Bくんはテスト作業場所に乗り込み、ちょっと準備に時間がかってしまいましたが、
午後1時よりテスト開始!

二人は非常に優秀で信頼のおける技術者です。
予想していた通り、午後8時に我々の会社の担当分を消化しました。

これで明日は開発作業をやってもらうことができる、進捗遅れが少し取り戻せるなと
安心しました。

結局C社はこの日はこず。
リミットは明日まで。

発注元であるD社のD課長に電話で「明日C社さんにも来てもらい、C社さん担当分のテスト実施を
再度お願いしていただきたい」と依頼しました。

電話を切った後、私は「あのC社さんの強硬な態度から、明日も無理だろうな」と思いました。
期限の明日までに終わらなくても、終わらなかった部分はC社担当分。
うちの会社が文句を言われることは絶対にありません。

でも、我々は別会社同士が集まり作業していますが、チームとして作業をしているのです。
クライアントから見れば、それは一つのチーム(会社)であり、遅れが出ればチーム全体が
クレームを受けることになります。

今回の案件は翌月リリースの中でメインのものであり、これが遅れるとクレームどころの
話ではなくなってきます。

直接クレームを受けるのは発注元のD社さん。
D社は私をリーダーとして選出してくれ、この五か月間、私の会社とD社さんは持ちつ
持たれつの関係を築き、共に困難を乗り越えてきました。

D社さんは私の会社を非常に信頼してくれていて、明らかに他社さんとは違う扱いをして
くれています。
私の会社が大ポカをした時も、文句一つ言わずに、むしろ先頭に立って解決してくれた
こともありました。

私は自分の会社だけが文句を言われず、利益を出したとしても、プロジェクト全体として
クレームを受ければ決して成功したとは言えないと考えています。

趣味や遊びではなく、ビジネスだから自分の会社の利益を最優先に考えるのは当然の
ことです。

でも大事なのはそれだけではないと思っています。


私と、私の会社がD社さんから受けた恩は…。

品質保証はどうなるのか…。

そんな思いが私の頭の中をよぎります。

そして何より、

技術者として…。

私は意を決し、D課長に電話しました。

「明日やる予定のC社担当分のテストを、私の会社にやらせてください。」


【1/25(火) 終焉】
25日はAくん、Bくんともに開発作業をやってもらう予定でした。
でも、結局私の判断でテスト作業場所に残り、C社分のテストをやってもらうことに
なりました。

前日Aくん、Bくんには
「このままでは品質が保証できない。C社分のテストまでやってこそ、この案件の品質が
 保証できる。
 これまでうちの会社が苦労して設計をして作り上げてきたものを、こんな程度の低いC社
 作成のテストで終わらせたくない。
 私が今日の朝までかかって作ったC社分のテストを実施してこそ、お客さんに品質を保証
 していますと言い切れる。
 わがままを言って申し訳ないが、C社分のテストを明日二人で実施してほしい」と
お願いしました。

二人は私の思いをくみ取ってくれ、快く了承してくれました。

リミット最終日。納期を守れるかどうかは二人にかかっています。

うちが開発した個所ではないため始めは操作に慣れず苦労していたようですが、
二人ともさすがといか、午後からスピードアップし、次々にテストを消化していきます。

C社がプログラミングしたところでバグが発見されましたが、C社に投げると時間だけが
かかるので、私が即座に改修。

そんなやり取りを繰り返し、午後6時に無事テストは終了。

D課長に電話で無事テストが終了した旨を報告。

その後、いろいろな作業があり、結局昨日も会社に泊まりました。

今日の朝9時にD課長をはじめ、D社さんの社員の方々に「結合テスト結果報告」の
メールを送信しました。

そのメールを送信した直後
「ああ…、本当に終わったんだ…。」と、実感がわいてきました。


【最後に】
Aくん、Bくんには本当に感謝しています。
技術者としての考え方を共有できるというのは幸せなことです。

私とC社の考え方は相混じり合うものではなかったんだと思います。

納期を死守できた。
とにかく、安堵感でいっぱいです。

今回自分が取った行動は本当に正しかったのか分かりません。

自分の会社の進捗を遅らせてまで、自分の会社以外の担当分を肩代わりしたことになります。

私の取った行動は本当に最善だったのか分かりません。

でも私は今回私のチームが取ったこの一連の行動を心から誇りに思います。

技術者として…。

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