2001年にその病名が確立された好酸球性副鼻腔炎は、その後もいくつかのことが分かってきました。2006年の日本鼻科学会の臨床問題懇話会で、”好酸球性副鼻腔炎の克服に向けて”というタイトルでシンポジウムが行われました。司会は、千葉大学の岡本教授と順天堂大学の池田教授です。シンポジストは、横浜市立大学の石戸谷先生、慈恵医大の松脇先生、三重大学の竹内教授、千葉大学の山本先生でした。この先生たちが、今後もこの病気に本格的に取り組んでいただけると、心強いです。
ここでは、「好酸球性副鼻腔炎は、副鼻腔粘膜または鼻ポリープに著明な好酸球浸潤を伴う易再発性の慢性副鼻腔炎の総称である。」と定義されました。そこには但し書きがあり、病因、病態、重症度が異なる様々な疾患が混在している、とされています。またI型アレルギー疾患ではないということも言われています。
疫学調査から、「手術適応となる慢性副鼻腔炎の20-40%を好酸球性副鼻腔炎が占める。」 「喘息の合併 が60~80%みられ、喘息を合併する副鼻腔炎の70%以上を占める。」ですから、10年前の私の例よりもかなり多くなっています。「好酸球 性中耳炎の合併が30%近くに見られる。」というのも、私の経験よりかなり多いです。好酸球性副鼻腔炎は、最近さらに増加し、また重症化しているのでしょうか。
文献38)第35回鼻科学臨床問題懇話会 ・好酸球性副鼻腔炎の克服に向けて . 日鼻誌46(1): 37~49, 2007.