そこここに かなへびすべる けはひせり ③(花山多佳子)
今年は空梅雨で、晴天の乾燥した日々が続いていましたが、やっと梅雨らしくなってきました。
雨模様の湿気を帯びたこの季節になると、食堂を兼ねた我が家のキッチンの窓ガラスには、夜な夜なヤモリが現れるようになります。
摺りガラスにへばりついて、小さな虫を待ち構えています。現れそうな日に現れないと寂しいもので、カミさんとの会話も「今日はお出ましいただけませんね」てな具合となります。
今年は初夏を迎えたばかりの早い時期に初見参となりました。尻尾がちぎれており、この個体を襲った事件めいたものを想起しました。
外敵といえば、時々庭を横断する近所の猫か鳥ぐらいしかありません。しかも暖かくなって行動し始めた矢先のことであったでしょうか。その後は、一月ほどは現れることもありませんでした。
久しぶりに現れたヤモリは、同じ個体でちぎれたシッポは少しばかり回復しておりました。形をみるとこの個体はオスのようです。
4日後には小さな個体が現れました。推測するに今年生まれた幼体と思われます。体長は5cmほどありました。
昨年も幼体を見ました。前年に生まれたと思われる大きさでした。長いこと成体しか見たことはありませんでしたので、世代交代がなされているのかはわかりませんでした。家の北側裏手で除草作業などをした際に、よく現れる窓辺付近を注意深く見たのですが。卵らしきものを見つけることはできませんでした。今年誕生の幼体は、どこに産み付けられた卵から孵化したのでしょうか。
翌日もこのヤモリと思しき個体が現れ、小さな羽虫を器用に捕獲していました。ガラス戸にへばりついている時はかわいらしいものですが、時折招かれざる客となって、我が家に侵入します。
年季の入った我が家ですので、網戸とガラス戸に隙間があるようです。油断しているとガラス戸と網戸の間に侵入し、対応がまずいと家の中まで奥深く侵入します。招かれざる客となって大捕物となります。浴室も含めると今までに3回も侵入されました。
同じ個体と思しき幼体は、その後毎夜訪ねて来るようになっています。小さいからより侵入しやすいものと思われますので、今後注意が必要です。内側からはガラス越しに接近し、体に触れるようにしても逃げることもありません。外に出て被写体に収めようとしましたが、近づくとすぐに隠れてしまいなかなか被写体に収まりませんでした。
月末にはツーショットに成功しました。大きい方の個体はオスのようですが、シッポが切れた風でもありません。以前現れたのとは別の個体のようです。素早く羽虫に襲い掛かり、我が物顔で動きまわっています。幼体は怯えた風で端っこに退散し、しばらくしてその場を放棄しました。
今年は大捕物など勃発しないよう十分な対応に心がけ、シーズンを無事に乗り切りたいと思います。
2017.6.29