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東京電力の損害賠償額

2011年03月21日 10時34分40秒 | Weblog
福島原発の爆発に関して、東京電力が支払う賠償額がどの程度になるのか、考えてみたい。


原発から60km離れたところの農産物から放射能が検出された。
このため、60km範囲の内側の土地は、全て「買い取る」必要がある。地主が「買い取り」を求めなかったとしても、一定程度の保障の支払が必要になる。と仮定する。

半径60kmの円の面積は、約1万1300㎢ =113億㎡? =約35億坪?
片側は「海」なので、実際に買い取る面積はこの半分の約17.5億坪
基準として、坪1万円で買い取るとすると、17兆5000億円?

山がちな土地が多くて平均単価が5000円で済むのであれば、8兆7500億円
住宅地、工業団地とかが多く、坪2万円になるのであれば、35兆円


農地が大きいようなので、そこまで膨らむことはないと思いますが、金額はかなりの額になりそうです。
東京電力の時価総額は、約2兆円なので、
例えば、「18兆円」を支払うとしたら、約10倍に増資しなければなりません。

金利2%で18兆円を借り入れた場合、年間の利払いだけで3600億円になるので、現実的ではありません。
「増資」で対応するのが常識的でしょう。

とは言え、時価総額2兆円の企業に18兆円の増資をする投資家はいないので、ほとんどが日本政府引受になるでしょう。先週末の株価で増資を実行するとしても、既存株主の所有権は10%にまで圧縮され、90%を日本政府が握る「ほぼ国営企業」になります。

一部を「増資」、一部を「借入」でまかなう場合も考えられます。その場合、「利払い」に必要なキャッシュフローを確保するために、電力料金が値上がりする心配があります。現実に、電力料金が大幅に値上がりした場合、関西地方にオフィス機能を移す企業も出てくるでしょう。


東京電力は民間企業なので、日本政府が無条件で賠償の肩代わりをすることは考えられません。
そんなことをすれば、モラル・ハザード(倫理崩壊)が起きます。原発を爆発させても、企業・経営陣が責任を取らなくてよいのであれば、関西電力、中部電力等々でも、モラル・ハザードが起きます。



原発の安全対策に投資する電力会社はなくなります。なぜなら、問題が起きても「国が保証してくれる」と考え始めるからです。例えば、今回の事故を受け、関西電力は原発の安全設備の増強に1000億円を投資する計画をつくりました。どれだけの事故を起こしても、電力会社の責任が限定されるのであれば、「経済的」に考えれば、電力会社は安全設備に投資するインセンティブを失います。電力会社の責任が限定されるのであれば、関西電力は投資計画を白紙撤回するかもしれません。


一次的に、国が賠償額を仮払いする可能性はあっても、最終的には東京電力が損害賠償を支払います。
当然ながら、上記の試算は「土地の購入代金」だけであり、「精神的な損害」等々への賠償は別です。
漁業関係者への保障も、計算しません。なぜなら、金額が既に大きすぎるから・・・・・

避難地域で入院をしていた高齢者が数名、避難先の病院で亡くなりました。
遺族はなんらかの賠償を受け取れるのでしょうか?



いずれにせよ、相当な金額になりそうです。


一度買い取った土地を、何らかの手段で再利用できる状態にし、キャッシュ・アウトするしかなさそうです。

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